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カテゴリ:雑感
前回、職業に必要な重みや威厳について書きました。では我々弁護士はどうか。
弁護士なんて、単なるサービス業の個人商店主であって、本当は威厳なんてない。 同じ法曹でも、裁判官や検察官は国家権力そのものだけど、弁護士には何の権力もない。 ただ世間的にはそれなりにインパクトのある肩書きみたいで、弁護士事務所の敷居が高いと感じられていることも多いようですが、そういう点はこれから改められるべきだと思う。 では、弁護士は、親しみやすさ一辺倒でよいか、重みや威厳は全くなくてよいかというと、これもまた違うと思う。それなりの威厳が要求される、と言いますか、威厳を前面に押し出したほうが問題が解決しやすい場面もある。 たとえば、会社の給料不払い。 従業員が相談にきて、弁護士の名前で内容証明を出したら、すぐ支払ってきた、というケースを何度も経験しています。この場合は、多くの人が有する弁護士という肩書きに対する厳めしいイメージが活かされて、「弁護士が言ってるから仕方ない」と思わしめたといえます。 内容証明郵便という形式で出すのも、手の内の一つです。別に普通郵便やファクスでもいいのだけど、あえて内容証明という硬い方式でもって、厳めしさをかもし出してみる。 それから、他の法律職、たとえば行政書士や司法書士のところに相談に行ったけど、どうも結論が納得いかない、本当にこの結論でよいのか、とウチに来る方もいる。 聞いてみると、その行政書士や司法書士が言っていることは法的に正しい。私もそれと全く同じ回答をすることになるのだけど、依頼者はそれで満足して帰る。 他の法律職の方に対して気が引ける言い方になりますが、「弁護士のセンセイが言ってくれたから納得しました」と言われることは実際よく経験します。 こういう場合は、「私は弁護士だ」ということを押し出して、ある程度、上から物を言うような感じで言い切ってあげるほうが、相談客はいっそう満足するように見受けます。 私自身は気楽な相談しやすい事務所を目指していますが、中には弁護士の威厳を求めて相談に来る方もおられます。そういう方にも満足してもらえるよう、ある程度の威厳を、あくまで「道具」や「方便」として、持っていたいと思っています。 そんな私の椅子はもちろんパイプ椅子ではありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/01/26 07:43:55 AM
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