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カテゴリ:判例、事件
今日の朝刊から。社内での飲み会帰りに階段で転落死した人が労災認定されたと。
この人は、ある会社に勤める40代の中間管理職の男性。勤め先の会社内での会議のあと、午後5時ころから同じ社内で開かれた会合で飲酒して、午後10時に出社、帰り道の地下鉄の階段で転落して頭を打って、不幸にも亡くなったとのこと。 通勤・退勤の経路での事故は労災として補償金が出ます。この男性の遺族が遺族補償を求めたところ、労基署は、「会合は『業務』ではない」「酒を飲んでいたことも死亡の原因」 ということで、労災じゃない、と言った。 労基署(行政)の判断が不服であれば、裁判所(司法)で争うことができます。 遺族は、労基署を被告として相手どり、「労災不支給の決定を取り消せ」と東京地裁に訴えたところ、司法はそれを認めた、というわけです。 労基署の「会社での会合は業務じゃない」というのは、無理があるように思います。 会社の近くの居酒屋で一杯とかいう話でなく、会社でたぶん重要な会議があって、会議終了後にたぶんその場でお酒とつまみが出た、という状況でしょう。懇親・慰労が目的でしょうが、きっと会議の話の続きも出たでしょう。 そんなときに、「会議が終わったんで私これでドロンします」とか言って帰ると、やはりカドが立ちます。ことのよしあしは別にして、仕事の延長の会合、というのは、日本の会社ではザラにある話だと思います。 私も酒は嫌いではないので、どうしても、この人がどれだけ飲んだのか、そっちのほうに興味がいくのですが、新聞報道によると、「缶ビール3本、ウイスキーをコップに半分ほどの量で3杯」とのことでした。 ウイスキーをコップに半分しか入れなかったということは、おそらく水割りではなくストレートかロックでしょう。市販の紙コップに半分だと、ダブル(60ml)強くらいでしょうか。それを3杯。 普通にお酒を飲む人なら、決して多くはない量です。東京地裁も、飲酒量は必ずしも多量ではない、と認定しています(この裁判官は酒飲みかも知れません)。 あと、ビールとウイスキーだけで5時間もよく飽きなかったものだとも思います。 社内の飲み会ですからアテはせいぜいスルメ程度でしょう(勝手に想像)。 やはり、それだけのお酒とアテの会合で5時間も時間をかけたのは、単純な飲み会ではなくて、仕事の話が絡んでいたからでしょう。ということで労災認定は妥当なものと考えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/03/29 10:38:13 AM
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