|
カテゴリ:判例、事件
ブルドックソースの買収防衛策の発動を合法と認める最高裁の判断が出ました。
が、私個人としては社会面の小さな記事のほうが好きなのでそっちから拾ってみます。 今朝の毎日から。ブルドックではないと思いますが、ペットの犬の医療過誤の話。 末期ガンにかかった愛犬がヘルニアと誤診されて入院措置を取られ、そのためペットの死に目に会えなかった、それを理由に85万円の損害賠償を求めていたケースで、大阪地裁で50万円で和解成立したと。 裁判所による和解勧告に基づく和解らしい。 (和解勧告とはどういうものかについては過去の記事を) 大切なペットを亡くしたんだからそれくらいは当然、と思う方も多いかと思いますが、法的に考えると、冒頭につい小さな記事と書いてしまいましたけど、かなり画期的なことなのです。 ペットを亡くした場合の損害賠償請求の根拠は何か。 これが人であれば、殺人や事故である人が殺されると、その相続人は、その殺された人の生涯収入などを「逸失利益」として請求できるし、一定の親族(親、子、配偶者)は、その人を失ったことの精神的苦痛について慰謝料請求ができる(民法第711条)。 ペットの場合は、エサを食べてるだけだから生涯収入などないし、上記の民法711条のような条文もない。 以前にも書きましたが、動物は法律上は「モノ」なのです。ペットを死なせたというのは、法的には、モノを壊したというのと同じ。だから素直に考えると、モノの代金を弁償して終わり、ということになる。 現に、過去にもペットの医療過誤訴訟というのはあったけど、認められる賠償額は数万円程度というのが多かったらしい。 ただ、損害賠償の裁判は、要するにその損害をどこまで立証できるかの問題であって、人間の場合のように自動的に慰謝料請求権を認めてくれる条文がないのなら、証拠を持ってきて、自分はこんなに精神的損害を与えられたんだ、ということを証明すればいい。 冒頭のケースの原告がどんな方法でそれを立証したのか、さすがにそこまで報道では触れられていません。 でも、裁判所も、「しょせんはモノでしょ」というスタンスでなく、そういった原告側の主張・立証に耳を傾けてくれるようになりつつあるということで、そのこと自体は、獣医さんにはプレッシャーでしょうけど、一般論としては望ましいことだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/08/09 09:44:53 AM
[判例、事件] カテゴリの最新記事
|