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カテゴリ:法律、制度
たしか昨日の日経だったかたと思いますが、
刑事事件において、被害者にも国費で弁護士をつける制度が検討されているらしい。 いい制度のように思えますが、全く手放しで喜んでいいものかどうか。 被害者側の弁護士の役割は、おそらく、これから制度化されるであろう刑事弁護への被害者参加において、その指導をするとか、民事上の損害賠償請求の代理人に立つとか、社会的に注目される事件であればマスコミ対策をするとか、そういったことが考えられるでしょう。 刑事事件において加害者である被告人には国選弁護人がつく、被害者にも国費の弁護士がついて当然だ、という均衡論は、たしかにわかりやすい。 ただ、刑事事件においては、加害者を訴追する検察官が被害者の気持ちを代弁し、それを裁判官がくみ上げて判決を下すというのが、本来の刑事訴訟制度のあり方のはずです。 被害者側に弁護士をつけるというのは、検察官が「私ら被害者の気持ちを代弁できてません」と言っているに等しいのではないか。また、「被害者の参加」を標榜する近年の刑事訴訟制度の改正が、実は被害者や一般国民にとって理解しがたい、場合によっては負担となりつつあることを、国が認めているに等しいのではないか。 私を含めて、刑事事件をやっている弁護士はみな同じ考えだと思いますが、従来も、刑事事件の弁護人は、「加害者の弁護をするのか」と時になじられながら、実は被害者救済のために一番役割を果たしてきたという自負があります。 そのあたりの話は過去の記事。 今回、国費で被害者のために弁護士をつける制度が検討されているというのは、 検察その他の国家機関は被害者保護を実際に果たしてこなかったこと、それを果たしていたのは弁護士であることを追認するものであって、かつ、「国の制度上、何か問題があったらそこは弁護士にやらせよう」という国の安易な思考の表れであるように思うのですが、これは一弁護士の思い込みに過ぎないでしょうか。 まあ、国費で弁護士の仕事の領域を拡大してくれるというのですから、ありがたいことではあるのですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/08/25 07:30:13 AM
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