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カテゴリ:判例、事件
朝のテレビでもチラと見ましたが、今朝の日経記事から。
「女児用の下着を民家に投棄」した容疑で、茨木市の40代の男性が逮捕されたと。 さて、下着を盗んだというなら窃盗罪だけど、下着を投棄したこと自体が罪に問われるのか? と思ったら、「廃棄物処理法」違反だそうです。 テレビや新聞の報道によりますと、この男性は、自分で女児用の下着を買って(だから盗んだわけではない)、それを履いたあとに、民家に投げ込んだり、軒先にくくりつけたりしていたらしい。 それにしても女性の下着は「廃棄物」なのか…。 調べてみますと、廃棄物処理法の正式名は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」。 その第2条によると、「廃棄物」とは、「ごみ(中略)その他の汚物又は不要物」とあります。 となれば、履き古しの下着も、「不要物」にあたるのでしょう(今朝のテレビ報道によれば「汚物」がついていたこともあったらしい。そうなるといっそう廃棄物の定義にあてはまる)。 そして第16条によると、「何人(なんびと)も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」、とあって、それに違反すると第25条14号により、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金という、意外に厳しい刑罰が定められている。 下着を他人の家に投げ捨てるだけで(充分に悪い行為ではありますが)5年の懲役は重いと思われます。おそらくこの法律は、粗大ゴミや産業廃棄物を不法投棄するような業者を処罰するために作られたと思われ、法律を作った側はあまりこういうケースを想定していなかったと思います。 住民から通報を受けた警察の側が、何か使える条文はないかと苦心した末、この条文を使ったのでしょう。 このケースは度々繰り返されていたという悪質さが立件につながったのだと思います。 ただ、考えてみればタバコのポイ捨てなどといったちょっとした行為も「廃棄物を捨てる」行為に該当するわけです(タバコを捨てる行為は当然悪いとしても、「犯罪」として処罰すべきかは別問題)。 ですから捜査当局によるその運用のあり方には常に注意の目を向けておかないと、処罰範囲はかなり広がってしまいかねない危惧感を抱きます、と最後に弁護士っぽいことを言って締めくくります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/03 03:03:36 PM
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