|
カテゴリ:判例、事件
刑事裁判の判決から。
マンションの玄関ホールの郵便受けに政党のビラを配りに入った男性が、住居侵入罪で起訴された事件で、1審の東京地裁はこれを無罪としていたが、2審の東京高裁は有罪とし、罰金5万円の刑を科した。 「正当な理由」がないのに人の住居に入ると、住居侵入罪になる(刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)。 いかなる場合が「正当な理由」がない、つまり不法侵入かというと、見解はいろいろありますが、現在の判例の傾向は、その住居や建造物の管理権者(要するにその建物の持主または住んでいる人)の意思に反する立ち入りである、としています。 政党のビラを配りにマンションの玄関ホールに入ることはどうか。 玄関ホールも、居住者らだけが利用しうるスペースで住居とされる。 そのマンションに居住する多くの人は、 「そんなもの要らんし、そんなものをポストに入れるためにウチのマンションに入るのは私の意志に反する」と思うでしょう。 ただその一方で、自らの政治的主張を行うことは「表現の自由」(憲法21条)の行使でもあり、だからこそ1審の東京地裁は、その表現の自由の重要度に鑑みて「正当な理由」にあたるとして無罪にしたと思われます。 さて私ごとながら、結婚後、生まれて初めて、マンション暮らしというものを経験しています。そしてポストに投函されてあるビラ、チラシの多さに驚いています。 ピザの宅配に始まって、キャバクラから出張ヘルスらしきものまで。率直に言いまして迷惑です。すぐ捨てています。出張ヘルスのチラシは興味ありますが(利用しないけど純粋な興味として)、妻の手前、ジッと見ることもできず、やはり捨てています。 こういうのは何らかの規制が必要なのかな、と思わなくもないですが、犯罪として刑罰を科してよいかというと、少しためらいを感じます。 例えば、私のマンションの近くの空堀商店街で細々とパン屋や豆腐屋をやっているご老人が、進出してきたコーヨーやスーパー玉出に押され気味だからと(ローカルな話ですみません)、付近にできた新しいマンションにビラ配布に行ったら犯罪になると考えると、酷な気がする。 それに、ビラ・チラシ配布で逮捕されて刑事事件になるのは、冒頭の事例でもそうですが、政治的主張のビラ、しかも反体制的な主張を行っているものばかりのように見受けられます。 日経朝刊である憲法学者の見解として、商業ビラが野放しなのに政党ビラが規制されるのは矛盾だといった指摘がありましたが、まさにその通りだと思います。 住居侵入罪が「正当な理由」という曖昧な条文になっているために、体制側による恣意的な運用によって処罰範囲が不当に広がることのないように注意すべきでしょう。 事件は最高裁へ行くようですが、その判断にも注目したいところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/12 10:10:18 AM
[判例、事件] カテゴリの最新記事
|