|
カテゴリ:判例、事件
前回書いた、訴因変更命令の続きです。
危険運転致死罪は認められないかも知れないから、裁判所は業務上過失致死罪に変えなさい、と検察側に命令した。 危険運転致死罪だと、「酩酊して危険な状態で人をひいた」ことが証拠によって証明されないといけないけど、業務上過失致死だと「うっかり人をひいた」ことだけ証明されればいいから、有罪判決を出しやすいわけです。 報道されているところを見ると、正確にいえば、細かい話になりますが、 裁判所は、「危険運転致死罪での立件を取りやめて、業務上過失致死罪のほうに置き換えなさい」と言ったわけではない。 「危険運転致死罪が認められなかった場合に備えて、その予備として、業務上過失致死罪も起訴しておきなさい」と言ったようです。 訴因を置き換えてしまうのでなく、予備の訴因を追加しなさいという命令です。もちろんこのような命令も刑事訴訟法上、認められる。 呼気検査の結果は「酩酊」とは言えない程度のアルコールしか検出されなかった。 検察官なら、危険運転致死罪を適用するには、「酒気帯び」程度では足りないことを当然知っているはずです。でも、事故結果の悲惨さと、被害者遺族の気持ち、そして世論にも押されて、危険運転致死罪を適用して起訴したのでしょう。 では、検察官は、最初に起訴する段階で「危険運転致死罪の成立が認められなかった場合に備えて念のために業務上過失致死罪のほうでも訴えておきます」とはしなかったのか。 起訴する段階で、予備的な訴因をくっつけることは可能です。 ただ、実際にはそのようなことはほとんど行われません。 なぜ行われないかというと、検察側のプライドです。 検察側は起訴する以上、「こいつには危険運転致死罪しか考えられない! 」といったつもりで起訴状を書く。 仮にそうではなく、 「こいつは危険運転致死罪だ! (大声) でもそうじゃなかったら業務上過失致死罪にしといてね(小声)」 なんて形での起訴を行うのは、いかにも弱々しいでしょう。 訴因の変更であれ追加であれ、そんなことを裁判所から命じられるのは検察のプライドにも関わると思われますが、さて検察側は訴因の追加を行うのか、そして裁判所は最終的にどちらの結論を取るのか、注目したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/20 02:31:57 PM
[判例、事件] カテゴリの最新記事
|