ブログ版 南堀江法律事務所

2008/02/19(火)15:03

「ハゲタカ」は身近にいる

雑感(106)

イギリス政府が、経営難に陥ったノーザン・ロック銀行を国有化したと。昨日の日経朝刊から。 と、普段は国内の小さな事件を取り上げてばかりの当ブログにしては異色のテーマを冒頭にあげてみました。 今さらですが、最近になって真山仁の小説「ハゲタカ」(講談社文庫)を読んだのです。以前NHKドラマで断片的に見たのに興味を持ちましたので。 外資系ファンドによる日本企業の買収を書いた作品です。 上記のノーザン・ロック銀行は、サブプライムローン問題(これも分かったような分からないような話ですがさておき)などをきっかけに経営が悪化し、民間による買収や、経営陣自身が買い取るという案もあったようですが、信用不安を落ち着かせるために国が買い取ったとか。 まさに「ハゲタカ」に書かれているような話です。 この小説がどこまで事実に近いのかは知りませんが、大阪の片すみでひっそりやってる法律事務所では企業買収なんていう問題を扱うことはないだろうと、気楽に読んでいたところでちょうどこのニュースが出ました。 しかし改めて考えてみれば、本質的には同様のことが、私の事務所でも起こっていることに最近気づきました。 たとえば、借金問題で相談に来た方の債務整理手続きを進めていると、銀行や大手消費者金融の貸金債権が、聞いたこともないような業者に譲渡され、今後はその業者と話をつけてくれ、と通知がくることがある。 これなどは、「ハゲタカ」で外資ファンドが銀行の不良債権を安値で買い取る話と同じです。 規模は数十万円か数百億円かという違いはありますが。 また、資産を有する個人または会社が、経営難の会社から資金援助を求められ出資するといった話も何件か聞きます。これはまさに企業買収の一つでしょう。 もちろんここでその中身に触れることはできませんが、なかなか、うまく企業が再生したという話は聞きません。 お金を出すだけでは企業は再生しない、「ハゲタカ」にもそうありました。 そんな次第で、読後はこの小説の世界が(規模は違えど)妙に身近に感じられ、早速、続編「ハゲタカ2」を読み始めた次第です。

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