ブログ版 南堀江法律事務所

2008/03/27(木)09:49

大阪府の朝礼風景に思ったこと

雑感(106)

結婚してから、家でテレビを見る機会が増えました(結婚前はほとんど家にいませんでした)。 少し前のことですが、こんな光景がテレビで繰り返し流れていたので、ご覧になった方も多いでしょう。 橋下知事が大阪府の若い職員の前での朝礼中に、ある女性職員が立ち上がって 「どれだけサービス残業やってると思ってるんですかー」と反論(?)しました。 同じような立場の公務員の人なら(大阪府職員に限らず)そうだそうだと快哉を叫んだかも知れないし、民間ならサービス残業は当然だという意見もあるでしょう。 そういうこととは別にして、朝礼中にそんな不規則発言をするのは非常識だという感想もあるでしょう。 ワイドショー的に面白いネタというだけでなく、サービス残業の是非(法的には明らかに「非」なのですが)、仕事のあり方、職場の形といったものについて、色んな問題を提起していると思います。 新聞報道でも、この発言に触れるものを散見しました(産経夕刊の小欄など)。 私の感想はと言いますと、この女性職員は上記発言に引き続いて、正確には忘れましたが、 「知事は私たちを分断させるようなことばかり言うてはるんですが…」 と言ったのが興味深かったです。「言うてはる」というのが何とも大阪的です。 大阪や京都の人が敬語的に使う「はる」は、こういう場面で使うと、論争相手に一応の敬意を示しつつ、かつ言葉が先鋭的になるのを防ぐ効果を持ちます。 「言ってらっしゃる」というよりは、場が和みます。この女性職員もそれなりに配慮したのでしょう。 と、どうでもよいところをフォローしておいてから私見を述べると、やはりこの女性職員のやったことは非常識だと思います。 知事に本当に言いたいことがあるなら、メールするなり、知事室に出向くなり、何らかの方法があったはずです。 朝礼の場で突然発言するなど、勇ましいことであって一時的にはスッキリするかも知れないですが、朝礼の進行を乱し、周りを気まずい思いにさせるという結果しかもたらさない。 しかも、報道機関が入っており、その姿が報道されるであろうことはわかっていたはずで、それらが今後自分たちの職場にどのような影響を与えるか考えなかったのか。 大阪府庁にはこの発言に対する批判のメールが多いという話も聞きましたが、事態収拾のためにこの女性職員が知事や府民に釈明したという話も聞かないし、現に上記産経新聞の記事によると、この発言の真意について取材を申し込んだところ、(本人はどう思ったか知りませんが)上司を通じて断ってきたとか(25日夕刊)。 大阪府の職員にとっては、なるべくことを荒立てずに日々の仕事をこなしていくことこそが大事なのであって、知事や府民を相手にサービス残業について論争することは本意ではない。 後々を考えない発言で職場をかき乱してしまった女性の発言は、やはり妥当ではなかったと思います。

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