2010/09/13(月)23:25
愛情
高校時代の現国の教科書に載っていた教材で、とりわけ印象に残っているものが二つあります。
この二つの教材の授業の時は、授業が非常に盛り上がったのです。
一つは、恐らくどの教科書にも載っている、夏目漱石の「こころ」。
「私」と「お嬢さん」と「K」の三角関係、そして「K」の自殺、という衝撃的な内容に、議論は白熱した記憶があります。
そして、もう一つは、井上靖の散文詩だったのですが、題名は覚えていません。
父の子に対する愛情をうたったものだったのですが、それが「烈しさ」「寂しさ」というような言葉とともに語られていたのが、かえって新鮮で、胸に強く残っていました。
その詩の授業の時も、活発な意見がいくつも出て、授業がとても面白かったのです。
私も発言したのですが、
「私は子供を産んだことがないのですが…」と前置きして、
クラスから「当たり前や!!」と総ツッコミを受けたこともはっきり覚えております(笑)
今日、「現代文学と古典を比較する授業」について、とある先生にご相談する機会があったのですが、古今の「子に対する愛情」をうたった作品について話題が及んだとき、突如として、この井上靖の詩のことが頭に浮かびました。
一旦思い出すと、気になってしょうがない。
iPhoneを使って、いろんな言葉で検索をかけるけど、どうもそれらしきものに当たらない。
高校の時の同級生の国語教師にメールで聞いてみるものの「覚えていない」との返事。
そりゃそうだよな、20年以上前だもの。
Amazonで見ても、井上靖の詩集は在庫切れだったり中古のものしかなかったり。中古に抵抗はないけどちょっと高い。
あきらめきれずに、しつこく検索して、やっと発見しました!!
北国 全編
↑リンク先の五つ目にある「愛情」という詩です。
この詩を初めて読んだ時は、「子供」の立場でイメージする「親の愛」と、ここに描かれるものがあまりに違うので、衝撃を受けました。
授業での話し合いの内容は、恐らく最後の「何ものかに烈しく復讐されつづけた」の「何ものか」とは何か、なんてテーマだったのではなかったかなあ。
これを学んだ当時は、等しく「子供」だった同級生。
今やそのほとんどが「父」か「母」になっている訳ですが、
彼らに「今この詩を読んで、共感する?」と聞いてみたいです。
そういえば、この詩のことをメールで聞いてみた「同級生の国語教師」は、ちょうど5歳の子の父親だった!
カワウソさん、いかがですか?(笑)
今日も昨日に引き続き「差し迫った仕事」を抱えている私ですが
20年ぶりの「再会」が嬉しくて、備忘録のつもりで記しておくことにします