【 眼の誕生 】
著 者=アンドリュー・パーカー(Andrew Parker)訳 者=渡辺政隆、今西康子書 名=眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く原 題=In the Blink of an Eye The Cause of the Most Dramatic Event in the History of Life発行所=草思社発行年=2006.3評 価=★★★★★眼の誕生カンブリア紀の爆発、生命大進化がなぜ起こったのかは諸説あるが、本書は「光スイッチ説」すなわち眼の誕生によってもたらされたとする仮説である。これまで、酸素濃度増加説やスノーボールアース説などがあるが、本書のように周辺の事実を一つ一つ取り上げながら、核心に近づいていく論旨は非常に説得力があり・納得させられる本である。眼=視覚は生物の生存にとって最も重要な感覚であることからして、これが真実かもしれない。ただ、受光器としての眼が誕生してもこの光の刺激を映像として構築する脳がなければ視覚(見えるということ)にはつながらない。本書には、どのように眼が進化できたのかは記述があるが、残念ながら視覚を形成する脳の進化についてはまったく触れられていない。この点が少し消化不良の感があるが、全体としてはすばらしい本であることには変わりはない。良書でした。