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カテゴリ:コラム
地球環境負荷への低減を契機として、今、太陽光発電が熱い。太陽光発電パネルは、長らく日本企業4社(シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機)が地道に研究開発を続けてきたこともあり世界シェアの太宗を担っていたが、ヨーロッパ特に2年前のドイツの高額買取価格保証制度(常識はずれの60-80円/kWh)導入によりドイツ国内企業や中国企業が着々とシェアを伸ばしてきた。このままでは、日本のお家芸であった半導体産業が、韓国・台湾との巨額設備投資競争に敗北・壊滅したことと同じことに陥る所であったが、最近のシャープの大阪府堺市での薄膜型太陽光パネル工場投資や三洋電機の貝塚工場投資、三菱電機の中津川工場投資などに加え、九州地方でのカネカやホンダの非シリコン系CIGS太陽光パネル開発等資金投入にためらいはない状況であり心強い限りである。
世間では、欧米に比較して太陽光パネル設置の補助金を廃止した日本は、どうなっているのか・何とかしろとの論調が多いが、冷静にこの事態を見通す必要がある。おおよそ太陽光パネルの現状の製造コストが50円/kWh程度で家庭用の電気料金が20-30円/kWh程度であることを考えると、ドイツで太陽光発電を設置するコストは十分ペイするが、発電した電気を買う電力会社は法外な値段で買いかつこのコストを電力会社の客すなわちドイツ国民が負担していることに他ならない。日本人は、企業不祥事や食品問題などからも分かるように、ちょっとしたことで大騒ぎする。欧米を見習って太陽光発電電力買取価格を高額にする制度を、今の電気料金が上がる・あるいは下げる機会が減ることに騒ぎ出さずだまっているのだろうか。 これからも地球環境負荷に優しい太陽光発電は、ひょっとすると世界中で爆発的に需要が拡大し、半導体メモリが過去辿ったように劇的に製造コストが下がるポテンシャルはあると考えられる。NEDOロードマップでは、太陽光発電が現状発電コスト並みの7円/kWhに下がるのは2030年目標らしいが、こういったことはDVDレコーダーや薄型TVと同じように、もっとずっと早いのかもしれない。今なすべきことは、補助金や強制買取などの歪んだ市場メカニズムでなく、王道の需要拡大なのではないかと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.03.29 18:34:08
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