マーケティングは経営学の学問としても重要であり、商品・サービスの最前線に携わる人々にとっても最も重要な考え方であることは間違いない。また、イロハとしての4PやSTPはコンセプトとして秀逸であり体系的にも優れたものである。しかしながら、いざ実社会において実践された事例を、当事者でなく書籍やケーススタディで追体験する時に受けるマーケティングの胡散臭さを感じるのはなぜであろうか。本能的に他人の成功を羨んでしまう感情や、これはこちらには適用できないね・個別ケースだねといった論理的思考のためであろうか。実際のところの因果関係は良くわからない。
先日、2008年4月から神戸流通科学大学学長に就任される神戸大学大学院経営学研究科の石井淳蔵教授の神戸大学での最終講演を拝聴した。神戸ベンチャー支援・研究会主催の講演ということで、テーマも「ベンチャーに必要なマーケティング」であった。重要な点は、「ブリコラージュ(器用仕事)」「市場に向けたマネジメント」「インサイト」の3つであり、その実例も多数紹介された。ブリコラージュの例では、就職内定者に会社の企業紹介を書かせるリクルート、桜咲くキャンペーンのキットカット、従業員と顧客の垣根が低いクラブメッド、レジ前を事業化しているウォルマート、観光客自体が観光資源の発想で実施された長崎さるく博(現長崎市長の田上富久氏が提案)であった。マネジメントの例では、ウォルマートの店舗管理、積水ハウスの納得工房であり、インサイトの例では、富士電機冷機の自動販売機、宅急便の小倉昌男の経営学である。これらはいずれも興味深く話も面白いのであるが、残念ながらどうしてもマーケティングの胡散臭さの個人的感覚が消えなかったことも事実である。単に、実はマーケティングの真髄が本当は分かっていないだけなのかもしれないので、今後もこの分野の勉強はしていこうと思う。
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Last updated
2008.03.29 17:38:43
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