薄井和夫「はじめて学ぶマーケティング[基礎編] 現代のマーケティング戦略」(大月書店、2003.12)を読んだ。たまたま図書館で手に取ったものであったが、マーケティングの本は数々あれど本書は非常に良い本である。基礎編と称しているとおり、非常に基本に忠実で体系立てて分かりやすく書かれてある。ただし、マーケティングの限界・問題点や課題を指摘しているが、その解決法を示していない点が気になるがこれを割り引いても良書である。
特に、ニーズとは「消費者のある種の欠乏状態」でウォンツとは「知覚されたニーズ」であり、具体的には「空腹感」がニーズであり「ご飯、パン、ハンバーガー」がウォンツであるとの説明は納得した。また、マーケティングと研究開発に関して、「売れるものをつくるためのマーケティング主導型の新製品開発は、いつかは売れるものがなくなってしまう」・「微細な差別的優位性を求める製品差別化のための新製品開発競争を無限に繰り返す危険性がある」との指摘は秀逸であり、自分が無意識に求めていたフレーズであった。この指摘は、マーケティングは何かを作り出すことはできないのではないか・既にあるものにちょっとした改良を加えることにしかならないのではないかとの思いがあり、何か研究開発を小馬鹿にしてマーケティングが新製品開発に万能であるような風潮が納得できなかった状態であったので、非常に「腑に落ちた」。[応用編]の続編もいつか読もうと思う。(★★★★☆)
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Last updated
2008.05.10 17:46:14
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