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ねぼすけの読書感想日記

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ねぼすけ2004

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2014.11.13
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カテゴリ:書評

著 者=ダニエル・ヤーギン
訳 者=伏見威蕃
書 名=探求 -エネルギーの世紀 【上】
発行所=日本経済新聞出版社
発行年=2012.4
評 価=★★★★★

筆者のダニエル・ヤーギンは、エネルギー問題の世界的権威であるが初めて著者の書籍を読んだ。まだ上巻であるが、著者の見識とエネルギー問題に関する深い洞察が十分に読みとれる本であり、十分に評価できるものである。導入は、中央アジア・カスピ海周辺における、エネルギー問題の動向としての石油から始まる。

アゼルバイジャン・バクー海上油田をどのようにパイプラインで輸送するか、次にカザフスタン・テンギス油田の輸送をどうするか、トルクメニスタンの天然ガスの輸送をどうするか、ロシアと欧州、中国・米国を巻き込んだ実話として非常に興味深い。ことは、単なる一エネルギー資源の輸出に留まらず、どのルートを通してどこへ運ぶか、エネルギーセキュリティや国際情勢と密接に絡み合っており、ほんの少し前の1999年や2006年に起こった話にもかかわらず、全く知らなかったことがまだまだ世の中にはあるということが、つくづくと分かる非常に良書であった。

また、1990年代末から2000年代初頭は、原油価格の低位安定と新しい技術がなく石油産業の衰退が唱えられた時期で、石油メジャーと呼ばれる企業が収益改善を目指し、合従連合を1998年から2001年にかけて次々と行われた経緯やその内情が次々に明るみに出て手に汗を握るドラマティックな内容もある。その後の2004年から2008年にかけての原油価格急騰についての原因を丹念にトレースしており、供給側の流通問題(ベネズエラでのチャベス大統領による石油公団の国有化、ナイジェリアでの原油を巡る武力抗争、米国でのカトリーナ台風の影響、そしてイラク戦争)と需要側の中国の成長により、単一の要因ではなく複数の原因で140ドル/バレルまで原油価格が急騰したと述べている。ここまで綿密に調査リサーチした上で要因を示した書籍は見当たらず、さすがエネルギー問題の権威と呼ばれるだけあって感心する。

石油・天然ガスの今後の展開や非在来型に関する話は、現在エネルギー業界を賑わしているシェールガス・シェールオイルに留まらず、カナダ・オイルサンド、ブラジル・プレソルト、ベネズエラ・オリノコタールにも言及しておりこの面でも読み応え満載である。

十分にこの上巻の時点でも評価できるとともに、下巻では目次から見ると「電気」・「気候変動」・「新エネルギー」が論点のようで、これもまた読むのが楽しみである。



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Last updated  2014.11.23 19:06:30
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