【 グリーン革命 (上) 】
著 者=トーマス・フリードマン(Thomas L. Friedman)訳 者=伏見威蕃書 名=グリーン革命(上) 温暖化、フラット化、人口過密化する世界原 題=Hot, Flat, and Crowded発行所=日本経済新聞出版社発行年=2009.3評 価=★★★☆☆グリーン革命(上)増補改訂版フリードマンといえば、前作の「フラット化する世界」が名著で有名である。本書も、世界の動向を三つのキーワード(Hot, Flat, Crowded)から、エネルギーを再生可能エネルギーというグリーンに変革する必要があり、これは一筋縄ではいかずに「革命」が必要といった趣旨である。ただ、その主役は今でもエネルギーを浪費するアメリカであり、アメリカが先導してグリーン革命に金と人と技術を投入すべきであると主張する本である。この点、自分の母国アメリカ国民(あるいはオバマ政権)に対してのメッセージであり、世界全体の利益を考慮している訳ではない。この点が、読後の違和感につながり、全体を通じて、当たり前で退屈な「新聞や雑誌報道の転記集」と一面的かつ一方的な「有力者へのインタビュー発言集」をちりばめた、名作とは程遠い作品となり下がっている。今回は、上巻のグリーン革命の現状認識だけでの評価であるが、下巻はグリーン革命の具体的取組みを示すようであるので、少しは期待したい。