映画大好き夫婦のパリ新婚日記

2007/11/20(火)03:27

続・ノンフィクション!フランスでのできごと

フランス社会を泳ぐヒント(14)

(昨日の、Sさんの体験談の続きです。)ようやく、今自分の居る支店こそが「訪問すべき支店」である事を証明できたSさん。受付を突破したので窓口に進み、「これこれの事情で転送をお願いしていたカード、そろそろ届いていると思うのですが」と、本題を提示しました。相手は少し探した後、「まだ届いていないです」と、たったの一言だけ発しました。どうやら彼(彼女?)からすると「私は『まだ届いていない』という事実をお客様にお伝えした=業務終了」という意識があったみたいです。 でも苦労してせっかくここまでたどり着いたSさんにしたら、このまま黙っては帰れません。「向こうの支店に電話して、いつ送る予定なのか確認して!」と指令を出しました。 私はここまで話を聞いて「さすが!」なんて思ってしまいました。細かい描写は聞いていないのですが、管理職のSさんがいわゆる若いニイチャン(かネエチャン?)に指示を出している姿を思い描いたのです。(Sさんはいかにも効率重視で生きている感じのキビキビした方なので、想像が容易かった。)きっとふだん会社で若い人達に色々と指導をしていらして、この時もその感じで動いたのでしょうね。 でもSさんの奥様によると、ご本人のその日の帰宅後の報告は「今日は完敗だ~」の一言から始まっていたとか。というのも、目の前の窓口職員は地方支店に電話をかけた後「明日送るそうです」と報告してくれたものの、横で電話の会話を聞いていたSさんには、目前の銀行員も地方支店の行員さんも、いかにも面倒くさくて適当にあしらっている感じがしたそうなのです・・・。相手にアクションを起こさせる事はそれなりの気迫があれば出来るけど、やる気を出させるのは相当難しいですもんね・・・・仕方ないか・・・・。 このお話を聞いてからずいぶん経ったある日Sさんにその後の経過を聞いたところ、3回目の訪問でようやくカードを入手できたとの事でした。最初の訪問は9月末だったのですが、10月末の3度目の訪問の際にそれまでとは違う人にあたり、その人がいつもと違うところを探したら出てきたそうです・・・。しかもカードを受け取ってからSさんは「○○支店到着日:9月5日」と書いてある事に気付いてしまったとか・・・・オイオイオイオイ。Sさんの悪い予感は当たっていたのですね、恐ろしっ! 終わりよければ全てよしとでも言わんばかりにこの仰天エピソードの結末を笑いながら話してくれたSさんですが、「笑う」のはとても良いことだと思います。フランスに住んでいるとどうしても、日本では考えられない事が起こるのです。発展途上国に引っ越す日本人はある程度のカルチャー・ギャップを覚悟して出発すると思うけれど、フランスに来る人の場合は、この国が先進国であるばかりにあまり構えていないケースも多いのではないでしょうか。パリ在住の精神科医太田医師は、フランスでうつ病の様な精神状態に陥いる日本人のケースを「パリ症候群」としてくくっています。 私は同名の著書を手にした事もなく、以前入会していた日本人会の通信に掲載されていた記事を少々読んだだけなのでよくは分からないのですが、たとえばSさんのケースの様な「日本では起こりえない訳の分からない経験」を深くとらえる生真面目な人も、鬱状態になりやすいんじゃないかな、と漠然と思います。 Sさんは最近トラブルに巻き込まれる事が多く、マンションは(住民全員が使う)正面入り口の鍵も、個人宅入り口の鍵も調子が悪い上、おうちの電源コードも半分が急に使用不可になったり(そんなに古いマンションじゃないのに!)、会社は浸水で丸一日電気が使えなくなったり、色々な事態に見舞われています。こうも色々続くとさすがにストレスが溜まりそうな気がするのだけど・・・・Sさん夫妻はいつも笑い飛ばしています。 お2人を見て、これこそがフランスに生きるコツなのかな~なんて思う私でした。 ・・・・なんだかフランスのネガティブな面をたくさん並べてしまったので、明日はフランスの好きなところを書きたいと思います♪(ちなみにSさんはこれだけ色々あっても、日本よりフランスの方がお好きなんだそうです。私は・・・・今は微妙かな。) 《写真も昨日の続きで、アルマ・マルソーにある像を夜に撮影したものです。セーヌを挟んで斜め向かいにあるエッフェル塔も一緒に収めました。》

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