テーマ:最近観た映画。(40124)
カテゴリ:その他の映画('60&'70)
映画の感想というよりも、ある憂鬱な人間のひとり言日記です。 (たまにはいいよね。あ、ネタバレします。) なんだか憂鬱な日曜。 別に主人が居ないからじゃない。そんなの慣れたし。 最近、何にも熱中していない自分に気づいてしまった。 (実は長い間そうなんだけど・・・。) しかもやらなくてはいけない事がたくさん溜まっていて 「誰かに会おうかな」とか「映画を観ようかな」と思っても 「いや、あれとこれをやらなきゃだから」 とつい、1人で家に残ってしまう。 時間があっても雑用はいつも後回しにしているのだから、 どうせ何も片付けやしないのに・・・。 平日は時間が短いながらも会社があったりで忘れているけれど、 人に会う心の余裕すらない週末を迎えると急に落ち込んだ。 この日こそ色々片付けるべく頑張らないといけないんだと思ったけど 「もういい!」 と家を飛び出て向かったのは某名画座。 気持ちが沈んでいるなら いっその事陰鬱な映画を観てやれとばかりに、 『ベニスに死す』を選んだ。 (以前大学で、 あのとんでもないラストシーンを観た事があったので・・・。) 映画館はパリでのリバイバル上映の割に混んでいて 半分以上の席が埋まっているのにびっくりした。 私はうっかり室内用眼鏡で来てしまったのだけど、 こういう時に限って字幕の字体が小さくて読みづらい。 しかも、文字が常に真っ白なので 背景も白い時なんて全くもって読めない。 (字幕が出る度に心の中で 「そこの色つきの服を着た登場人物よ、 どうか手前までやってきて!!」 と祈っている状態・・・。) その上、どういう訳か上映中に 映画館のスタッフが何度も出入りしたので 最後列に居た私の集中力はたびたび途切れ、 最初のうちはもう帰ってやろうかとすら思っていた。 でも憂鬱な日に陰鬱な映画を観て途中退室したら 哀しすぎな週末になりそうだったので我慢して観続ける。 最後10分のところでフィルムが途切れて室内に明かりがつき、 その隙に私の近くまで移動してきた見知らぬ男は ピーピーと音を立てながら鼻呼吸をし続けるという 最後の最後まで悲惨な状況の中での鑑賞だったけど、 ただでさえ少ない台詞も字幕のせいでよく分からなかったというのに、 それでもあっと言う間に終わってしまった映画だった。 ダーク・ボガード演じたアッシェンバッハは静養に来たはずの ヴェネチアで自分よりも数回り以上若い少年に恋して その地を離れられなくなり、無残な姿で死んでしまう。 映画が進むにつれて疫病と恋の病にやられた彼の姿はやつれ出し 途中ではカムフラージュのためなのか何なのか 化粧までされて滑稽極まりないんだけど、 人生の最期になって何かに夢中になれた彼が この日の私には羨ましく思われた。 人間は年取ると赤ん坊に戻ると聞いた事があるけれど、 タジオ(ビョルン・アンドレセン)を前に 初恋の様にとまどうアッシェンバッハは 死を目前に少年に戻っていたのかな。 ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 数年前にパリのフォーラム・デ・アルで観た 柳町光男の『カミュなんて知らない』が結構好きだったんだけど、 先に『ベニスに死す』を観ておけば 本田博太郎演じる教授と黒木メイサの関係がもっと面白く見られたのに、 と映画の途中で何度か悔やみました。 本来は反対の方向から観るべきなんだろうけど・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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