フランスの大学編入時の学年選び(6) ~余談:LMDに切り替わって
最後に、内容的にはおまけ程度にしかならないのだけどDoctoratに1年だけ在籍していた時の事、というよりもLMD改革後の個人的感想を書いておきましょう。何度かちらちらっと書いてきた通り、フランスの大学システムが2005年秋から変わりました。私にとってはDEAを修了した夏までが旧制度の時期で、Doctoratに登録した同年の秋以降からが新制度のLMDに切り替わった時期です。詳しくは知りませんが、それまでフランスの大学制度(学年の数え方)が他国の大学制度と異なっていたので足並みを揃えたい、というのもLMD制度導入の狙いの1つ・・なのだと思います。なのでLMDになってからは学年の呼称や要綱があちこち変わりました。月並みな事しか書けないけれど、LMDになってから学生は一層大変になったな~という感じです。たとえば、私の場合。私達の学年はLMD制度が導入されてから初めての、Doctorat1年生でした。前年度までの同学部のDoctoratの学生は授業やゼミを履修する義務が一切なく、最後に500枚前後の論文さえ提出して試問を受ければ博士号が取れたというのに、私達は初年度に25時間分のゼミに出席する事が義務付けられました。そこで映画学科では週2時間のゼミが12週に渡って行われる事になったけれど、これはDoctoratの学生にはキツかったんじゃないかと思います。平均年齢が上がってきているだけに昼間はお勤めをしたりで2足のわらじを履いている人も居たはずだし、人によっては論文のために旅行に出かけたり研修を受けたりしているんじゃないかと思うのに・・・。もちろん他の学部のゼミに出席するのもアリだったので、こちらのゼミでは都合がつかないという人はよそのに行けば時間調整を出来た訳だけど・・・研究重視の生活を送るべきDoctoratの学生を縛るこの制度に私は内心驚きました。(別に、実際に身近に困っている人が居たわけではないのだけど、ね。)あと、日本的な私は最初から気になっていたんだけど、「2時間×12回」だとどうしても規定の「25時間」に満たないんですよね。この話は年度末あたりにようやく(ゼミの担当教授も含めた)みんなの前で大々的に話題に上ったものの明確な回答が公表される事はなかったし、その後どうなったのかはDoctoratを1年で辞めてしまった私には分かりません。とにかく新制度導入直後で学校側の対応が追いつけていないのかもねという印象が残りました(^^;話は変わるけれど、2004年の秋に文学部のMaitriseに編入した知人が居ました。今まで語学学校で勉強してきたのに急にパリの大学に編入したのでとっても大変そう。それでもものすごく頑張って、見事その1年後の秋(=2005年の秋)にはMaitriseのディプロムを取得しました。それからしばらくして彼女から聞いたのが、こんな言葉です。「やっぱり頑張って、大学のシステムが変わる前にMaitriseのディプロムを取っちゃって良かったわ。だってLMDになってからあの学年の必修科目数が増えちゃったから、もしも今年もあの学年にいたなら今年は追加分の単位を取得しないといけないところだったのよ」えええええーー!!同じ2004年の秋にスタートしても、2005年の秋に終えるかそれとも翌年に回すか、で必要授業数も変わっちゃうんですか!!だったらほんとに、LMD導入前にディプロムが取れてよかったですね。・・という訳で、前回までつらつら書いてきた私の個人的体験と2005年秋のLMD導入以降の状況は随分と異なっているんじゃないかと思います。なので私の体験談はあくまで参考程度にしてくださいね。フランスの大学に編入するならMaitriseかDEAからにした方がまだ少しは楽なんじゃないか(思い返せばその中でも、MaitriseはDEAに比べると楽でした)、パリの大学と地方の小さな大学だったら(刺激や満足度が下がるかもしれないけど)後者から始めた方が着実なんじゃないか、などと言う事を具体的に書こうとしたらどんどん長くなってしまったこのお話、これにておしまい!ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。写真は秋の並木道。これはちょっと前に撮ったもので最近はもっと散っています・・・。