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わたしの幼い頃と申しますと、それはそれはかわいくない子供でした…。 いつも口をぎゅっと閉じてしかめっつらをしておりました。 頭の中でいつもいつも物語りを考えて自分の世界にひたっていたのです。 しかし、なにしろ、自分の世界ですから、それがどんなに楽しいお話しでも、悲しいお話しでも顔に出すわけにはいきません。 それで、いつもしかめっつらをしていたのです。 しかし、私はとても喜怒哀楽のはっきりした子供でした。 内弁慶とでもいうのでしょうかねぇ…。家の中ではとてもはっきりしており、笑ったり怒ったり忙しかったものです。 しかし、どうしてもありがとうと感謝すること、感動したときに泣くこと、ごめんなさいと謝ることができない子でもあったのです。 ありがとうとごめんなさいは成長していくうちに言えるようになりましたが、感動して人前で泣くというのは未だにいたしません。 そんな私の誰にも言えない、言ったことのない、密かな楽しみと言えば、誰もいないところで感動して泣く…なのです。 そんなに難しいことではないのです。ただ、ちょっと感動的なテレビドラマを見るだけでいいのです。それだけで、ダラダラダラダラ涙が出てくるのです。 泣くと、自分の感情がストレートに表せたこと、自分の正直さに満足して妙な達成感を味わうのです…。 そう、それは先日のこと…。 夫が仕事に出ていることをいいことに、感動的なドラマの再放送を昼間から見ておりました。気が付くと、頬には涙がボロボロあふれてきます。約1時間も泣きじゃくった後、鼻をかんでおりましたら、なんとまあ、仕事を早く終えてしまった夫が帰ってくるではありませんか! もう、顔を洗う暇もありません。どうしたらいいでしょう…。勘のいい夫のことです。一体何があったのかと心配するに違いありません…。いえ、それどころか、ただ単にドラマを見ただけで泣きじゃくったなどど分かったら、どれだけ笑われることか知れません…。 運のいいことに、私のうちのキッチンは薄暗いので、昼間でも電気をつけるほどです。時刻も夕方ですし、このさい、キッチンで電気を消して晩御飯を作ってしまおう…。 それから約1時間、手元がはっきり見えない状態で、夫が電気つければ?なんて言わないことを願いながら、黙って食事を作り続けたのでした…。 わたしの楽しみが夫に知れなくて良かった、密かな楽しみが密かなままで良かった。心の中で安堵しながら…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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