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女王さまと王さまが現在の住まいに引っ越してきてから、ちょっとした不思議なことがおこることに気づくのに、そう時間はかかりませんでした。 リビングの窓を開けて、夕方食事などをしていると、時々なのですが、表で不思議な音がするのです。 最初に気づいたときは、女王さまはそう不思議には思いませんでした。 だって、聞き慣れている音だったのです。 だから、ちっとも違和感を感じなかったのです。 では、なぜ、不思議な音なのか。 それは、家のリビングで聞く音ではなかったからなのです。 もっと他の場所で聞き慣れている音で、決してここで聞くような音ではない…。 「でもねぇ…。なんか、いっつも聞いてるような音なんだよねぇ…。なんだったかなぁ…」 最初に、違和感に気づいた日、女王さまは思いました。 「あー、でも、どこだったかなぁ…。」 考えているうちに、その音は消えてゆきました。 その音は、かすかな音で、どうやら、女王さまの家のすぐそばから聞こえてくるのではなく、ちょっと離れた道路の方から聞こえてくるようです。 その音は、ガラガラガラガラという音で、誰かが台車かなにかを押している音のようなのです。 台車…。いや、台車じゃないよねぇ。この音…。うーん、もっと軽い感じの音…。 ベビーカーみたいなんだが…。でも、もっとしっかりした音だなぁ。 何度か、そうやって、不思議な音を聞いた頃、女王さまと王さまは車でお出かけをしました。 出発して、角を曲がったときです。 そばの舗道に数人のお年よりが楽しそうに歓談しながら歩いていらっしゃいました。 その様子をなんとなく女王さまは見ていました。 お年寄りがそばに来たとき…。 ガラガラガラガラ… (・_・?)...ン?この音…? 女王さまが違和感に気づいたときです。 王さまがつぶやきました。 「今のお年寄り…、スーパーのショッピングカートを押して歩いてなかった?」 王さまも気づいたのです。 「…うん…、スーパーのカートだった…」 女王さまが時々聞いていた音、それは、スーパーで聞きなれていた、ショッピングカートを押して歩く音だったのです。 それが、近所の舗道から聞こえていたのです。 「カートって…持って帰っていいものだったんだ…」 「お年寄りだし…、買い物袋を手に提げて歩くのはしんどいだろうしね…」 「でも、普通、持って帰らないよね…」 「そうだけど…。スーパーから近いからいいと思ったんじゃ…」 「見なかったことにしようか…」 「そうしようか…」 こうして、不思議な音の正体は判明したのでした。 それにしても、最近は、自分の家から買い物袋を持っていくことが多いし、ショッピングカートで道を歩いていたら、未払いだと勘違いされやしないだろうか…。 なんとなく、余計な心配をしてしまった女王さまでした。 ちなみに、未だに時々その音が聞こえることがあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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