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2010/06/02
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カテゴリ:カテゴリ未分類
王さまが癌になったとき、絶対に自殺はしないと約束させました。
だから、どんなに辛くても、私も自殺はしません。
王さまに、四十九日が終わったら、迎えに来て。とお願いもしましたが、
「嫌だ。いらん」と断られました。
7年前も、死ぬ前の日もそうでした。
でも、私は、一人で行かせるのが可哀想で、一緒に行ってあげたかった。
一緒だから、死ぬのは怖くないと言ってあげたかった。
王さまは、自分に縛られる事無く、生きて行けと私に言い残しました。
そして、他には冷たいくらい、私に言葉を残してくれませんでした。
何か、いいたいことはないか、と何度聞いても、「ない」の一点張りでした。
そのときは、死ぬとは思ってなくて、
あえて言う事もないと思ったのかも、と思いましたが、
王さまが他の方に残した言葉を聞いて、
もう長くない事はわかっていたのだ、と知りました。
幸せだった、とか、ありがとう、とか、そういう言葉さえ、残してくれず、
死の淵で、ももちゃんの顔を見た時、ももちゃんの名前を聞いたときだけ、
目に光が戻って来ました。
今、思うと、とても寂しいですが、
多分、それが王さまの精一杯の優しさだったのでしょう。
何か、言葉や心を残す事で、私がその場にとどまってしまわないように、
しっかりと前を向いて進めるように、死んだあとも私を縛ってしまわないように、
王さまの選んだ死に方だったのだと思います。
再婚もしろと勧められました。
「自分につまらん約束はするな、生きろ」と言われました。
この、生きろ、が、王さまが私に残した最期の言葉なのでしょう。
こんなに生きるのが難しいことだったなんて、知りませんでした。
そして、死ぬ事もとても難しい。
日々を重ね、王さまのそばへ行く日がまた近づいた、
と思いながら、一日を終えています。
王さまが死んで、死ぬのが全然怖くなくなりました。
死んでしまえば、全て終わるから。
むしろ、死ぬ瞬間までの方が怖い。
ももちゃんがそばにいても、早く王さまの元へ行ければいいと願う私は、母親失格です。
王さまを守れなかった私など、死んでしまえばいい。
しかし、同時に、
ももちゃんと二人で自立できるようがんばらなくてはと思う私もいます。
実家から早く出て、
ももちゃんを育てながらしっかり生きて行かなくては、と、思うのです。
最近、マンションでももちゃんと二人で暮らしていて、
ももちゃんの様子を見ていると、
矢張り、親子二人でちゃんと向き合って生活する時間が必要だと感じます。
実家で暮らしているより、ももちゃんが嬉しそうに「ママ、ママ」と抱きついて来て、
シングルマザーでも、子供とちゃんと向き合えば、
子供はこんなに幸せそうなのか、と感じます。
実家で、おじいちゃん、おばあちゃんとにぎやかに暮らす事もいいと思いますが、
やっぱり、最終的には自立して二人で幸せにならなくては、
王さまに顔向けができません。
王さまを早く追いかけたい、とは思うのですが、
もう少し王さまに待ってもらって、
時々王さまと同じ目をするこの子を、まず幸せにしなくては、
以前言われたように、「もうちょっとしっかりしてくれないと困る」と
再び会ったときに、王さまに叱られてしまう気がします。
何十年かたって、王さまに会うことがあったら、
私一人でもがんばれたよ、と自慢して、よくやったと褒められなくては、
私だけが生きる意味がありません。
少しずつ、少しずつ、その日に近づくのを楽しめるほど、
人生を楽しむ事ができればいいのですが。








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Last updated  2010/06/03 01:04:53 AM
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