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2006/07/21(金)20:59

商法 第2問

司法試験(15)

商法 第2問  大阪市内で電化製品販売業を営むY株式会社の代表取締役Aは,デジタルカメラの某人気機種を安値で大量に調達しようと考え,何度か取引をしたことのある「東京都内に本店のあるZ株式会社の大阪支店営業部長甲山一郎」と自称する人物(以下「B」という。)に対し,売主を探してきてほしい旨の依頼をしたところ,Bから,「Y社振出しの約束手形を所持していると仲介者として行動しやすい。売主との話がついたら返すから,取りあえず貸してほしい。」と言われたため,取引銀行から交付されていた統一手形用紙を用いて,その振出人欄に「Y社代表取締役A」と記名して銀行届出印ではない代表者印を押捺し,手形金額欄に「3,000,000円」と記入したものを,受取人欄,満期欄及び振出日欄を空白にしたまま,Bに交付した。  ところが,Bは,その受取人欄に「Z社大阪支店」と記入して満期欄と振出日欄も補充し,裏書人欄に「Z社大阪支店長甲山一郎」と記名捺印した上,これを割引のため金融業者Xに裏書譲渡し,その割引代金を持ったまま姿をくらました。その後の調査により,東京都内にZ社は実在するものの,同社には,大阪支店はなく,甲山一郎という氏名の取締役や従業員もいないことが判明した。  XがY社に対して手形金の支払を請求した場合,この請求は認められるか。 【答案】 1(1)XのY社に対する手形金の支払請求が認められる前提として、まず、本問手形は白地式振り出しとして有効か。  Y社代表取締役AからBに交付された手形は、受取人欄・満期欄及び振出人欄が空白であったので、手形要件(75条5号・3号・6号)を欠く無効手形とも思われる。そこで、商慣習法上認められる白地手形と無効手形の区別が問題となる。 (2)両者は、外観上区別がつかない。そこで、白地補充権が与えられている場合に白地手形になるとして区別すべきである(主観説)。 (3)本問では、Aは、Bが仲介者として行動する便宜のために手形を交付したにすぎず、白地補充権は与えていない。したがって、白地式で有効に振り出されたものではなく、手形要件を欠く無効手形である。 2(1)としても、高度の流通証券である手形の取引安全のため、権利外観法理によってXを保護すべきである。  そこで、 1)虚偽の外観があり、 2)その作出につき手形債務者たるべき者に帰責性があり、 3)外観の虚偽につき手形権利者が善意無重過失で取得した ときは、手形債務者は外観どおりの責任を負うと解する(77条2項、10条類推)。 (2)本問では、1)白地補充権のないBが補充することで有効な手形の外観があり、2)Aは統一手形用紙の振出人欄に記名押印して交付したのだから、Yには帰責性がある。 したがって、3)Xが善意無過失であれば、Yは外観どおりの責任を負う。 3(1)そうだとしても、「裏書の連続」(77条1項1号、16条1項)による形式的資格は認められるか。 ア 受取人欄の「Z社大阪支店」と裏書人欄の「Z社大阪支店長甲山一郎」 の不一致 イ 東京に実在のZ社に大阪支店が存在せず、Z社には甲山一郎という取締役や従業員がおらず、受取人・裏書人が実在しないこと が問題となる。 (2)手形の高度の流通性を保護するため、「裏書の連続」があるかは手形面上から社会通念にしたがって客観的に判断すべきである。まず、 ア 裏書人欄の記載は、手形行為を機関方式でおこなうため、受取人欄に記載の名に代表権者の氏名を記載したものなので、同一性が認められ、 「裏書の連続」を肯定できる。 イ 受取人・裏書人の不存在については、手形の高度の流通性を保護すべきことから、取得時に善意無重過失であれば取得者を保護すべきである。 (3)本問では、その後の調査により、受取人・裏書人が実在しないことが判明した。しかし、取得時に善意無重過失であれば、Xは保護される。 4 以上により、XのY社に対する手形金の支払請求は認められる。   以上   (40行) 

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