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2007年01月26日
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カテゴリ:ロースクール
【問題】

 会社員甲は、取引先のXとの間で深刻な確執に陥った末、「Xを殺害するしかない」と思い詰めるに至った。甲は、会社で自己が担当する歳暮送付事務の送付先リストにXの名があるのをよいことに、Xあての歳暮であるコーヒーの中に致死量の毒薬を混入し、宅急便で発送した。
 ところが甲は帰宅後、「大変なことをしてしまった」と思うと同時に、事実の発覚をおそれ、コーヒーを取り戻す決意をした。甲は翌日Xが居住するマンションの前で待ち、宅配業者YがXあてのコーヒーを持って車から降りて来るのを認めると、これをYからかすめ取って逃走し、帰宅後直ちに焼却した。甲の罪責を論じなさい。

【答案例】

1.甲がXに毒入りコーヒーを送付した行為について

(1)殺人罪(199)の実行行為の「着手」(43本文)がみとめられるか。
  本件は、甲が宅配業者を道具として使った間接正犯によるので、間接正犯による実行行為の着手があったといえるかを検討する。
ア  実行行為の「着手」とは、犯罪実現の現実的危険をふくんだ行為を開始したことをいう。それゆえ、結果が発生しなかったばあいにも、未遂処罰の根拠となる。
イ  間接正犯では、利用者の利用行為に実行行為の「着手」がみとめられる。なぜならば、道具である被利用者の行為は因果の流れにすぎないので、規範的に見て、利用行為の時点で犯罪実現の現実的危険をふくんだ行為を開始したといえるからである。
ウ  本件では、甲が致死量の毒薬を混入したコーヒーをXあてに宅急便で発送したことにより、それがXに届くのは通常ほぼ確実であるから、規範的にみて、甲の送付行為の時点で「人を殺」す現実的危険をふくんだ行為を開始したといえる。
  甲はX殺害の意図を有しており、殺人罪の構成要件的故意もみたす。
  よって、送付した行為につき「着手」がみとめられる。
(2)本件では「人を殺した」結果が発生しておらず、殺人罪を「遂げなかった」ので、未遂犯(43本)となる。
  では、さらに中止犯(43但)が成立するか。1)「自己の意思により」2)「中止した」といえるかを検討する。
ア  中止犯に刑の任意的減免がみとめられる趣旨は、結果不発生による違法性減少を前提として、さらに、自発的な中止により非難可能性が減少するからである(責任減少説)。そうすると、1)「自己の意思により」とは非難可能性を減少させる広義の悔悟にもとづくことを要する。
   本件で甲がコーヒーを取り戻す決意をしたのは、事実の発覚をおそれてではあれ、同時に「大変なことをしてしまった」と思ったからであり、広義の悔悟がみとめられる。そこで、「自己の意思により」といえる。
イ  つぎに2)「中止した」とは、非難可能性を減少させる結果発生阻止のための真摯な努力をしたことを要する。
   本件で甲は、X方に宅配業者Yが毒入りコーヒーを届けにくるのを待ちかまえたうえ、これをYからかすめ取るという尋常ならざる挙に出て、帰宅後直ちに焼却して危険を根絶したのだから、結果発生阻止のための真摯な努力がみとめられる。そこで、「中止した」といえる。
ウ  以上より、殺人罪の中止犯(199、43但)が成立する。

2.XがYからコーヒーをかすめ取った行為について

(1) 窃盗罪(235)が成立するか。
  甲は宅配業者Yの意思に反してコーヒーという「他人の財物」をかすめ取っており、「窃取した」といえる。
(2) では、窃盗罪の成立に主観的超過要素としての「不法領得の意思」は必要か。
ア  判例は、「a権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に bその経済的用法にしたがいこれを利用又は処分する意思」としての「不法領得の意思」を必要とするが、
 a 不可罰の使用窃盗との区別から「みずから所有者としてふるまう意思」を要求する点は妥当である。しかし、
 b 毀棄・隠匿罪との区別から「その経済的用法にしたがいこれを利用又は処分する意思」を要求する点は、利用処分は経済的観点からのみはかりうるものではないので、せまきに失する。そこで、利用処分の態様を本来的用法にまで広げるべきである。
イ  そこで、「Aみずから所有者としてふるまう意思と Bその経済的・本来的用法にしたがいこれを利用又は処分する意思」としての「不法領得の意思」を要すると考える。
ウ  本件では、甲はYからかすめ取ったので、A「みずから所有者としてふるまう意思」はみとめられる。他方、それは取り戻した毒入りコーヒーを焼却処分するためと見られるので、B「その経済的・本来的用法にしたがい利用処分する意思」はみとめられない。
   よって、「不法領得の意思」はみとめられない。
(3) 以上より、窃盗罪は成立しない。

3.コーヒーを焼却した行為について

(1) 会社からXへの歳暮である コーヒーという「他人の物」を焼却により「損壊」しており、器物損壊罪(261)が成立する。
(2) 毒入りコーヒーの焼却は、「他人」の刑事事件に関する証拠の隠滅にはあたらず、証拠隠滅罪(104)は成立しない。

4.罪数

  以上より、甲には殺人罪の中止犯(199、43但)と器物損壊罪(261)が成立する。両罪は「確定判決を経ていない二個以上の罪」として併合罪(45前)となる。  以上

初稿 2007年1月25日  再稿 2007年1月26日 8時13分25秒





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最終更新日  2007年01月27日 08時35分56秒
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