■日本原子力機構とは
本日の東京新聞によれば独立行政法人日本原子力研究開発機構が原発事故後の8ヶ月間に発注した業務の内、714件、277億円分を身内の企業・団体が受注していることがわかったという。またしてもである。 日本原子力研究開発機構はもんじゅの仕分けの時にも問題になった、天下り役員を多くかかえ、幽霊会社を作って受注したり、関連会社へ随意契約を発注したりするとんでも組織で全額国の出資金で運営されている独立行政法人である。 前身はもんじゅ事故で名をはせた動燃もその一つ。以来、他の特殊法人との再編を重ねて今日に至る。 2004年、もんじゅ・西村裁判が始まり原告の西村トシ子さんが亡き夫、西村成生さんの損害賠償を求めて争った裁判を応援したときの被告、動燃は核燃料サイクル機構という名前になっていた。その核燃料サイクル機構は翌年、また名前と組織を変えて生き残ってきた。細川・村山の非自民党内閣、そして民主党の仕分けにも負けず生き残ってきた、官僚から見れば実にタフでしてやったりの組織なのだろう。我々応援する会から見ればにっくきゾンビだ。 さて、新聞には「機構をめぐる人と金の流れ」というフローチャートが載っているが、昨年11月20日、もんじゅの提言型政策仕分けというのがあるので行った。その時に15mmの分厚い資料を渡され、原子力・エネルギー関係予算(エネルギー特別会計)の構造がまず説明されたが、それをもとに少し解説。原子力・エネルギー関係予算の内訳1.税金から石油石炭税(灯油1缶1,330円中37円)として5,120億円。ここから一般会計保留分として368億円が差し引かれ、4,752億円。これに剰余金・雑収入1,046億円が加算され、エネルギー需要勘定として5,798億円となり燃料安定対策、エネルギー需給構造高度化対策(主として経済産業省分)に使われる。2.電気料金から 一方、電源開発促進税(一般家庭の平均電力料金6,776円中108円)として 3,460億円。ここから一般会計保留分として490億円が差し引かれ、 2,970億円。これに剰余金・雑収入191億円と、周辺地域整備資金 125億円が加算され、合計3,286億円が電源開発促進勘定となり電源立地対策費1,835億円、電源利用対策1,451億円に使われる。地元バラマキの資金である。 石油炭素税、電源開発促進税の余剰金・雑収入が1046億円、191億円というのも大変な金額で本来なら国庫に戻すべきお金だと思う。詳細は明らかにされていない。もんじゅの維持予算は総額のたった1割 さて、税金と電気料金という形で集められた原子力・エネルギー関係予算は5798億円+3286億円=9,084億円。そのうち、日本原子力研究開発機構は平成24年度分として2,097億円を要求。1日5,500万円、200億円の電気代を払うと批判してきたもんじゅも、総予算の約1割、年間215億円でしかない。予算の半分以上が人件費や物件費で消えていく。今回のようないいかげんな支出もできるわけだ。日本原子力研究開発機構というのはブラックボックスのような独立行政法人なのだ。 もう一つ、気になることがある。 原研以外の6,987億円の行方である。金額でいえば原研も2,000億円、20%でしかない。詳しい説明はなかったような気がする。ただ、原型炉もんじゅのほか、実証炉のための研究費がすでに一昨年あたりから支出されている。議員から20年近く経つもんじゅはやめて実証炉を作り直せという話は案外ここから来ているのかもしれない。 もう少し金の流れを見てみる。1番目の税金は燃料安定供給対策費として経済産業省に石油備蓄費などとして2,337億円、エネルギー需要構造高度化対策として省エネ・再エネなどに同じく経産省分として3,082億円、環境省分として379億円。2番目の電気料金は前記の通りだが電源地域の交付金などで経産省に1,572億円、文部科学省に263億円、電源利用対策として次世代原子力開発などに経産省365億円、文科省に1,086円ついている。 なんと経産省にはあちこちから7,356億円、文科省には1,349億円もの税金が投入されている。環境省分はわずか379億円。経産省は潤沢な資金で、札束で原発推進を推し進めてきたわけだ。 こうなるともう原研だけではない。本体の経産省も含め、消費税を上げる前にきっちりと予算を仕分けして欲しい。民主党よ国民をこれ以上裏切り続けるな、といっても官僚主義の官僚頼みの民主党政権ではダメか。 橋下や石原以外の脱原発新党に期待したいのだが。