句と首 ~その10~
句と首 ~その10~
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~その2へ~
~その3へ~
~その4へ~
~その5へ~
~その6へ~
~その7へ~
~その8へ~
~その9へ~
*2011年 1月*
1月4日
晴天に
倦む味もある
四日かな
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1月8日
目の粗き角砂糖
みるみる珈琲色に
染まる
小さき泡を
はきながら
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隣の皿の
山盛りの葡萄パン
私もあれが
食べたかった
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ブラインドを閉め
目を瞑る男
その手太く
白くふやけている
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1月10日
大木の
残されしとき
知らぬまま
冬芽の枝は
尚伸びんとす
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1月23日
身の丈と
変わらぬ程の
葱抱え
跳ねる幼の
帽子も跳ねる
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*2011年 2月*
2月11日
ランタンの
灯あふるる
街角に
佇む人の
父に似てをり
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咳払いの
父に似てきし
弟は
別れの時に
姪をhugする
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2月19日
事の後
オブジェと化した
イチョウ樹の
保護布を巻かれ
春を待つ日々
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*2011年 3月*
3月2日
コンビニの
客を迎ふる
立雛の
古きいわれを
語る人あり
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3月20日
枝無くも
イチョウはイチョウ
として生きる
今日の朝日を
ひとりじめして
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*2011年 4月*
4月2日
春ごとに
雪柳の花
見るにつけ
白き垣根を
巡りたくおもふ
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4月6日
もうすでに
葉の形なす
ひこばえは
明日のイチョウに
なる気 満々
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6月20日
梅雨晴れと
言えぬでもなき
昼下がり
路地へ曲がれば
緑静かなり
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