第41話 ご無沙汰です
かなり時間がたってしまいました。その復帰戦の第一弾がこのようなお話です。本日、わが母が永眠いたしました。享年88歳。これからというときでした。心配や不安をかけまくった息子も何とかその恩返しをしようと思い立ったころには母親の体力が追い付いてない状態でした。孝行したいときに、親はなしといいますが、親の体力が恩返しについていかないとは思ってみない呉さんでした。温泉でも使って、おいしいものを食べたり海外に行って異文化に触れたりと考えていましたが、結局叶わなかったです。働きづくめの毎日を見守ってくれていた母親でした。仕事最優先の私にとって、母親はその命の炎の消し方も私に合わせてくれたみごとなものでした。周囲に迷惑をかけず、あっという間のものでした。「早く家に帰りたい」と、何年も施設でいっていました。やっと帰ってきたときはこのような形だとは、少々痴呆があった母は思いもよらなかったことでしょう。しかし、本来なら1日にしか家に滞在できないのが、2日間家にいられるとは、本人の希望を神様が聞いてくれたのではないでしょうか。今日、数年ぶりの帰宅です。仏壇のある部屋でゆっくりと眠っています。家に帰るという希望が叶い、天国で親父と久々の対面を果たしているかもしれません。まだ、亡くなったという感覚が自分にはボーとしかありません。いずれ、ズーンと心にのしかかってくることでしょう。ただ、今は母に「おつかれさまでした。そして、あなたの子に生まれてきてよかった。命を授けてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。