かたむすび
「今年の桜は遅いね」ゆめのなか あなたが言うこのまま咲かなければいい冬にかたむすびをしてあの頃まあるい陽だまりが生まれる部屋の隅おんなじ背表紙を見つめながらふたり何を話したっけ沈黙だけをまだおまもりに生きている泣くほどのこともない日々ですだけど鱗が剥がれてゆくのひらひら ゆらゆら軽やかに泳いでいた背からこぼれた光 そうか あれもきらきら ゆらゆら今年の桜は遅いわゆめのなか あなたに言ういつまでも眠る蕾を起こしてしまわぬようにあれからしかくいしあわせをひとなみに重ねておんなじ背表紙を見つめていたふたり忘れたことにして沈黙だけをまだ結び目にすがっている咲かないで、咲かないで。泣くほどのこともない日々ですだから鱗が剥がれてゆくのひらひら ゆらゆら焦がれた 憧れた あなたからこぼれた光 そうか あれもきらきら ゆらゆら