では、また。
「陽ざしはまだ強いですが、渡る風もすっかり秋めいてきました。」あの夜、束ねて結んで閉じ込めた言の葉を一枚ずつほどくあたたかい文字こんなにあなたを教えてくれていたのに知りたい、知りたい、ばかりでわかって、わかって、ばかりでバカだったよなバカだよな「では、また。」の約束を撫でる「伝えなかった言葉なら、このささやかな人生にもあったのでしょう。」あの頃、菜の花のカードに書きかけた言の葉は枯らしてしまった冷えていく文字あんなにあなたを教えてくれていたのに会いたい、会いたい、ばかりでわたしは、わたしは、ばかりでバカだったからバカだからいつしか消えていた四文字暗記できるほどに唱えたおまじないあなたからの手紙もう増えていかないもう光ることもないそれでも バカだよな バカだからまだ生かされているのあたたかい文字こんなにあなたを教えてくれていたのね知りたい、知りたい、ばかりでわかって、わかって、ばかりでバカだったのにバカなのにまだ生かされているの「では、また。」の約束を撫でる。