ユニット型と従来型から未来の介護の在り方を考える
特別養護老人ホームには従来型とユニット型があります。現在は特別養護老人ホームを建てる時は全て個室で建てなければなりません。介護保険が始まったのが2000年ですが、2003年4月以降に建てられる特養は全て個室、ユニット型にしなければならなくなりました。従来型というのは4人部屋、3人部屋、2人部屋、個室があって、部屋の仕切りはカーテン。介護保険が始まる前から、カーテンではプライバシーが守られているとはいいがたい!という意見がありました。その他、家族が面会に来てもゆっくり出来ないなど、部屋という概念というよりも自分の家という概念が強くなったのだと思います。まあ、部屋の壁は薄いですが…。 しかし、部屋代として1日2000円程度取られるので、30日で60000円ですから、一般の賃貸住宅で考えると、ワンルームで60000円は物凄くいいアパートに住める金額です。それと比べると、ちょっと高すぎる気がしないでもないです。従来型の4人部屋は部屋代としては請求されないと思いました。お金を払う側としては、従来型の方が格段に安いですが、やはり、人間的な生活が出来るかということを考えると最低ラインでユニット型になります。従来型の部屋の概念は、かつて欧米に日本の家屋はウサギ小屋と揶揄されたよりもひどい環境だと思います。ユニット型でウサギ小屋でしょうかね。ワンルームで60000円払うなら、壁が薄いのなら広さが最低でも20畳欲しいですよね。6畳程度なら、その部屋でプロレスをやり、ヘビメタのライブやっても振動も歌声も聞こえない防音、防振部屋にしてほしいですね。どの部屋も介護保険で決められた最低ラインを守っているだけで、それをはるかに凌ぐ部屋を見たことが無い。なんか福祉の建物を造ろうとしている人の発想は乏しいですよね。介護保険で決められた建築基準をベースにして、そこに入居する人のことをあまり考えていないと思われる建物が多いですよね。家の中でガーデニングが出来るくらいの部屋の広さにするとか。特養のユニット型はアパートというよりもシェアハウスですよね。ユニット型のコンセプトは「自然に部屋から出て来たくなる」だったと思いましたけど、入居者同士が自然にコミュニケーションを取れるように、リビングを囲むように部屋が作ってあるんですけど。そのコンセプト通りにはなかなか行きません。サービス付き高齢者住宅もそうですけど、10畳の部屋や15畳の部屋なんてありません。たぶん。そのくらいの部屋作ったっていいと思うのに作らない。本好きな人で、自宅に本が1万冊あったりして、全部持ってきて、本棚に並べたいと言ってそれを叶えてあげることが出来る高齢者住宅なんてない。本じゃなくてもフィギアでもプラモデルでもジオラマでも、化石収集、切手収集でもいいですけど、そういうのを処分せずに、全部持ってこれる高齢者の言えって無いですよね、たぶん。ジオラマを自分で作って、色塗って、ドライヤーで溶かして、アニメの名場面を再現する作品。それを趣味でやっていたらその活動を縮小したり、やめたりしなきゃいけない家ってどうなの?って思う。戦前戦後間もない方なら、そういう娯楽的な趣味はあまりないかもしれませんが、これからの時代、そのような趣味を持った人たちが高齢者になって行くことを考えれば、今のうちからそれに対応できるハードを作る人が居なければ、生活スタイルを変えなくてもいい施設なんて夢のまた夢ですよね。生活スタイルを変えなくていい施設というコンセプトはユニット型の考え方がしられるようになって盛んに言われるようになりましたが、施設に入ったがために、生活スタイルを強制的に変えなければならないことはあっても、生活スタイルを100%維持している人は、普通預金の金利程度でしょう。そのあたりの事は、有識者を抜きで、現場の介護職で考えて実行していかなければいけない問題だと思います。今、外国人の方をたくさん受け入れているということは、あと、半世紀もすれば、外国人の要介護者も出てくるということです。その生活スタイルに対応出来る施設を造ることが出来るのでしょうか?その方々のやっている宗教の儀式が安心してやれる場所などは確保してあげることはできるのでしょうか?そんなことを考えて続けながら、みんながハッピーになれる価値観を創造していきます。