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大学時代、おもしろい講義で民俗学の楽しさを教えてくださった神野力先生が亡くなったとのこと。先ほどのローカルニュースで知る、91歳。
先生はとてもユニークな存在だった。黒いドレスのシスターたちも数多くいらっしゃった当時、どの先生もオーソドックスな服装であったし、学生もタンクトップにジーンズ姿で講義にのぞもうものならば「ここは遊びに来るところではありません」とピシャリと閉め出された……という中で、神野先生はいつも作務衣姿。学校内に昔話のおじいさんが迷い込んだような雰囲気だった。 先生は吉備文化に携わる第一人者で、たしか「吉備路」の名付け親でもあった。私は先生の民俗学の授業をいくつか選択しており、講義では桃太郎伝説のこと、吉備津神社の構造など、身近なテーマはどれも興味深かった。備中国分寺の話では、構造を調べていたら職人が書いたと思われる古い落書きを発見したなど、歴史物が身近でとても人間くさいものに感じたことを覚えている。講義の途中で急に思い出したように、「そういえば、こういうのがあった」と伝承されている歌を口づさまれることもあり、「かわいいおじいちゃん」という風で先生ご自身が人気者だった。 ゼミはデザインの方に所属したので、私は先生にとって大勢の学生のひとりでしかなく、名前も顔もわかりはしないだろう。けれど、きっとこんな学生は多いはず。研究者として一流の先生から直接の講義が受けられたことを、本当にすばらしい財産だったと思います。 ご冥福をお祈り致します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月21日 19時03分54秒
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