2008/09/04(木)23:29
今日のレッスン・メモ
新しい曲を持ってきた時、はじめは皆ゆっくり弾き始める。まだ練習がそれほどできていなので安全運転なんだろうが、その曲の持つ本来のテンポと異なるとフレーズや音楽の中身が見えにくいので、8小節でも4小節でも本来のテンポで弾くことを勧める。決して速く弾けということではなくて、フレーズを一息に感じてひけるということが大切に思う。ロマン派の場合、フレーズが長いので、拍子感やどこまでがワン・フレーズかを意識していないと音楽作りをしていきにくい。
ショパンのエチュードを練習中の生徒さん、ほぼ譜読みは全体的にできているのに、いつまでも楽譜から鍵盤へ音を移す作業という演奏。練習番号をつけてあるので、どこまでがフレーズかは頭では理解できているけれど、左の音がまだ不安なところがあるせいか、いつまでも安全運転。右の流れは指使いなど確認済みなので問題はなさそうだけれど、左が足をひっぱる。練習方法が今イチ効率よくないようだ。8小節を仕上げテンポで弾かせて、つっかえても弾き直しをせずに、つっかえたところ、不安なところ、を記憶しておくようにさせて、後から何が原因かを一つ一つつぶしていく作業を行う。指定指使いと違う指が無意識に動いていたり、音が不安だったり。いったん、流れない原因が分析できると、後はそれを意識して弾けば、流れは自然にできてくる。
練習とは、漫然と何回も繰り返し弾くことではなくて、何も考えなくても流れていけるところと、間違えたり、つっかえたり、不安だったり何か問題のある箇所を選り分けて、その問題が何にあるか、右か左か、どの指かどの音か、それを搾っていく作業から始まる。その選別ができれば、その問題を一つ一つ意識して定着させ、再び意識しなくてもできるように練習する、本来それが練習だとディスカスした。
テンポを上げていくことで、ポロポロと選別がされていくのに、いつまでもゆっくりテンポではその選別がいつまでもできない。問題点が搾られない。練習のポイントがぼやけてしまう。これでは練習の効率が悪い。決して練習していないわけではないのに、、もったいないと思う。
何が問題なのかを搾る、ということ、をれが練習のまず第1歩だということが今日のまとめ。
ハイドンのソナタは、リズムを数えながらはできるようになったけれど、こちらも相変わらずのろのろ運転状態。参考CDを一度かけ、確認した後一気にテンポをあげる。どこまで一まとまりかを認識させると同時に、細かいアーティキュレーションの弾き分けが重要。この生徒さんは手首のアップ・ダウンは認識できるとすぐにはできる方なので、細かくチェックしていき、音出して違いを認識させる。耳で一度違いが分かると定着は早い。
もう一人別のハイドンのソナタ新曲の生徒さんも、まず拍子感から入り、フレーズ一息につかむことからはじめる。32分音符等、楽譜って書かれると4分、8分、16分音符どれも皆同じ強さに弾かないといけないという強迫観念にかられるようだ。メインの柱の音から音へ転がるようにとイメージを与えるとどの位のタッチで音を出したらいいかが分かるようだ。
それから多いのが、裏拍から頭拍へのスラーでつなげること。アーティキュレーションを細かく見ていけば分かる場合もあるが、拍子感が意識されていると自然にそれはおかしいこが分かるのだけれど、、。つくづく、拍子感の重要性と、それを意識してピアノを弾くことを教えていないか、反省の意味を込めて、富みに感じる。頭から細かい譜読みにこだわると細部に捕われ、まとまりのフレーズ感が薄れてしまうのかもしれない。作曲をする場合、構成ってとっても重要だ。もちろんそれを弾く場合にも、構成を意識して弾くということが曲の説得力や演奏力に大きくつながる。細部にテクニックの問題が多少あったとしても、大きく曲自体を捉えるというレッスンや曲に取り組む機会もあってもいいのではないかと思う。どうしても細かいところを弾けるようにと視線が小さいところにとどまって、こだわってしまうことが多いのかもしれない。
シューマンのソナタに取り組み出した生徒さんも、大きな流れを捉えることから。さらにアーティキュレーションを細かくチェックしながら、この曲がショパンのようにピアニスティックというよりオーケストラのように構成されていることをディスカスする。同じフレーズが高音部に、さらに低音部に。アルペのように書かれていても、ベースの役割と内声の分別があること、それにより音域の離れたベースが豊かに響かせたい箇所等確認していく。また豊かな響きとテンポの関係等、それは和声進行もからまって縦横と関係していくことを紐解いていく。決して楽譜から鍵盤へ音をうつして出せば音楽になるかというとそうではない。ワン・フレーズ終わって次の展開がVI度調へ行き、それがつなぎのようになって再び主調へもどってくる。分析しなければその部分をどう弾いたらいいか、感覚的にしか分からないけれど、分析すると流れの行き先とその部分の役目が明確に見えてくる。だから、、分析してね~~~!!
音の役割が見えてくると、ペダルも役目も限定されてくるので、ペダルの多さも解消することだろう。なんのためにペダルと踏んでいるのか、何も考えずに弾いている。。指でできるペダルもある。アーティキュレーションを無視してのペダルもあり得ない。まるでカラオケボックのエコーみたい~!と笑う!!!おまけにそれに拍子感が感じられないと、演歌に!エコーギンギンのカラオケボックで歌う演歌のようなシューマン!
今回ははじめての曲を最後まで譜読みしてきたのは頑張った!と思うけれど、ワン・フレーズでも音楽作りを考えて時間を費やしてほしかった。指が動いてから、ではなくて。
弾き込んだ曲ではわからなくても、初見ではその人の音楽性がすべてまるわかり。
初見対策のためにも曲の取り組みの姿勢を見直すことが、彼女にとっての課題。
細かいことももちろん気になるけれど、大きく流れを捉えるということもとても重要に思ったレッスンだった。さらに楽譜をはじめから頭の中で音を鳴らし、作り上げていくことも大切。。
両極端のことをどうバランスとって分かるように指導していくか、階層の異なることをどのように理解してもらうかも、私のこれからの課題。
細かい部分の処理能力を高めるための指導と、曲の構成等、階層を大きく捉える視点や力を養う指導と。
言葉にしてしまうと同じ地平にあるもののように聞こえてしまうけれど、
人間はパソコンのeditのようにはいかないものだから。。
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