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カテゴリ:常総市水害
【水害の備えと対策 2015年常総市水害経験者より】 自宅近くの河川が増水し、避難指示が出たとき、被害を最小限にとどめるために私達はどんな事前準備をするべきか。 2015年9月10日鬼怒川決壊により常総市で被災した私の主観で簡単にお話しします。皆様の身の安全と家財が少しでも守られ、被害が最小限に抑えられますように願います。 _____ 1.【ハザードマップで浸水水位を把握する】 まずは、国土交通省HPでハザードマップを開き、自分の住んでいる地域はどのくらいの浸水する可能性があるか把握してください。 これにより、土地の高さが把握でき、家財を2階に上げる必要があるか、そして逃げる土地を確認できるでしょう。 また、「必要なものを車に積んで逃げたのに、車を水没させた。」なんて後悔も防げるでしょう。 また、情報弱者になりやすいご年配の方や外国の方への声掛けを行ってください。 _____ 2.【避難所を確認する】 地震発生時の避難所と水害発生時の避難所は異なります。 河川の近くの施設や、低い土地にある避難所は水害時は避難所として開設されません。市役所HPを見たり、テレビやラジオの情報を見て避難先を確認しましょう。 この時、ハザードマップで低い土地を通らずに避難所に行けるルートを確認しておくとよりいいでしょう。 さらに言えば、常総市では避難所になっていた市役所も浸水し、自衛隊の車でさえ水没しました。自然は加減を知りません。緊急時、全ての情報や前提が正しいとは限りません。ご自身の判断力が問われる場面もあります。 _____ 3.【ブレーカーを落とす、ガスの元栓を閉める】 避難するときは、ブレーカーを落としガスの元栓と屋外のガスボンベのバルブを閉めていきましょう。 水と電気の相性はとてもよく感電や漏電からの火災を引き起こす危険性があります。 また電気が通っているときに家電製品が水没すると故障してしまいます。我が家の水没したエアコン2台のうち、コンセントを抜いていた方は室外機がまるまる水に浸かりましたが、今日も稼働している例があります。 そして、浮力でガス台が倒れた際にホースが外れ、ガスが家中に充満したケースや、ストーブが倒れ、灯油が漏れ出たケースがあります。火災の原因を絶つように心がけて下さい。 水害後、ガスボンベの流失が多くありました。危険ですので見つけても近づかず、ガス会社に電話をしてください。 _____ 4.【火事場泥棒に備える】 必ず現れる火事場泥棒。避難指示が出たら、全国的に「家は留守」と把握されてしまいます。こうなってしまったら、家に泥棒が入る前提で貴重品を守ってください。すぐに家に帰れると思わないでください。私の地域は水が引かず、約3日間家に近づけませんでした。 _____ 5.【避難指示がでたら避難所へ】 過去の経験から「大丈夫だろう」などとは思わないでください。水害が起きたら、1~3日は家から出られなくなります。 最悪は2階部分も水没し、屋根で過ごすことになります。 もっと最悪の場合は、家が流されます。決壊場所付近は土地の高さとは関係なく水圧によって家が崩壊し流されます。命を守る行動をとってください。 家が流されなかったとしても、水位によっては水が引かなければ家から出られません。我が家は道路上に約2mの水が来ました。その間、ライフラインは寸断され、トイレは使えない、水道・電気・ガスも使えない、食べ物も補給できません。 さらに、水位が下がらなければ2階から救助されることになります。2階部分に外から施錠できる扉がない限り、窓のカギを開けた状態で救助されます。 (4.)で述べた通り、火事場泥棒の格好の餌食になります。 早めに備えて、早めに避難してください。 多くの方が先に避難していれば、救助活動の時間も大幅に減少します。 _____ 6.【すでに家から出られない場合】 食料、簡易トイレ(トイレットペーパー、ビニール袋、新聞紙・キチンペーパー等吸水性のあるもの)、寝具、衛生用品(アルコール消毒・タオル等)、懐中電灯、ラジオ、電池、常用薬、靴、着替え、等を確保してください。ライフラインは寸断されます。 徐々に水位が増す家の中で、これらをまず確保するといいでしょう。 ペットボトルは水に浸かると、未開封でもキャップの内側まで浸水します。水害で流れてくる水は、汚水(トイレの排水)を含んでいます。なるべく、水に浸かる前に上記のものを集めて下さい。 簡易トイレは、ビニール袋に新聞紙やキッチンペーパー等をいれて使用し、使用後は口を縛り処理します。 汚水で濡れた身体は衛生的ではありません。傷口がある場合破傷風を発症する恐れがあります。身体を拭くなどして清潔に保ってください。 また、浸水した室内では浮力に耐え切れず冷蔵庫や洗濯機、棚等が倒れてきます。十分に気を付けて下さい。 ![]() ![]() _____ 7.【家財道具を守る(避難までに時間がある場合)】 避難までに時間があるときは、ハザードマップで予想水位を確認し、家財道具を2階へ運びます。しかし、限界があります。その時役立ったのが、「圧縮袋」でした。CDや洋服、布団等を圧縮袋に入れておいたところ、中身は無事でした。 一度、水に浸かった家財は使い物にまりません。汚水と一緒に流れてきた泥はまるで粘土のようで、洗っても洗っても浮き上がってきます。さらに、その泥水は汚物でもあるのです。時間が経つと水分を含んだ合板の木材は白・黒・緑・オレンジ…カラフルなカビが発生します。そして匂いもとても酷い。金属も汚水に触れると数日で錆びます。被災後に使うであろう工具類も水に浸からないように対策をしておくといいでしょう。 _____ 8.【被災してしまった家屋の修繕】 家に流れ込んできた水は何度も言うように下水が溢れかえり、汚物を含んでやってきます。 床下浸水であっても、洗浄・消毒をしましょう。 床上浸水の場合、壁の内側に隠れている断熱材が水分を吸い、カビと悪臭の温床になります。 水分を含みやすい木材は、洗ってもカビが浮いてきます。 よって、浸水した壁や断熱材、床、キッチンや洗面台を取り除く必要があります。 【まずは写真を撮る】 市役所から罹災証明書をもらうことで、国や県・市からの補助金や義援金を受け取ることができます。それには被災規模を証明する必要があります。保険金を受け取る際も写真による証明が必要になる場合があります。 片付けを始める前に、まずは写真を撮りましょう。メジャーがあれば床上(畳の上)から何センチかが分かるように写真を撮るといいでしょう。被災額の証明にもなりますのでとにかく、なんでもかんでも写真で記録に残してください。 【服装に注意】 様々な病原菌が含まれた水が流れてきています。片付けを行う際は、泥水などが直接肌に触れないよう、手袋・マスク・カッパを使用し、呼吸器官への感染や破傷風を防ぎましょう。 【詐欺に注意】 個人で作業するには限りがあります。ボランティアや業者に頼むことになりますが、この時も詐欺に気を付けて下さい。 自衛隊の服装をまねた泥棒や、ボランティアを装って家財を盗んでいきます。 また、不当な金額で契約させられるケースも相次ぎ、防災無線で詐欺の警告が流れるほどでした。 【業者に注意】 また、きちんと「水害」の対処法を知っている業者に修繕を依頼しましょう。常総市でも、安易な工事を行い、その後「悪臭・カビ」に悩まされ、再工事を余儀なくされた住宅が多数あります。 通常のリフォームとは明らかに違います。洗浄・消毒をきちんと行い、少なくとも2ヶ月は濡れた柱を乾かす作業が必要だと言われていました。悪気がなくとも、知識や理解のない業者にお願いすると、時間もお金も通常よりかかる結果になります。 【ボランティアと一緒に作業する際】 ●家財● まずは、泥にまみれた家財を片付けることになりますが、「要る物もみんな捨てられてしまった」との声を聞きます。 他人から見たらゴミでも、捨てたくない思い出の品もあります。 私は、赤と黄色のガムテープを用意し、「赤いガムテープが貼られた物のみ捨てて下さい。」としていました。捨てられないものは黄色のガムテープを貼り、後でゆっくり考えると後悔も少なくていいでしょう。 また、バケツの代わりになりそうなクリアケースは捨てずに取って置きました。掃除に使えるものは捨てずに取っておくといいでしょう。 ●家屋● 家屋を修繕する際は、壁、床の順に剥がします。床を先に剥がしてしまうと足場が無くなってしまい、作業が困難になります。 壁は浸水した高さよりも10~15cmくらいの位置から切断します。このとき、内側の柱を傷つけないように気を付けなければいけません。 壁紙の貼ってある石膏ボードは水分を含むと脆くなり、ハンマーでたたくとボロボロ崩れていきます。浸水した高さから10~15cm上あたりにカッターで横に線を入れ、壁紙を剥がし、石膏ボードをハンマーで叩くと、きれいに取り除くことができます。 洗浄には高圧洗浄機(水圧だけでは泥汚れは落ちません、洗剤も使いました)、消毒には噴霧器、柱の乾燥には扇風機が必要でした。 また、ボランティアも水害のプロではありません。人によって言う事は様々です。自分で知識をつけて判断しなければならない場面が多々あります。 【消毒や洗浄は支給される場合があります】 常総市では消毒液や石灰が配布されました。また、洗剤各種と手袋、雑巾等は避難所などに届き、ありがたく使わせていただきました。自分で買い揃える前に確認しておくと出費を抑えられます。 _____ 以上、簡単ではありますが、水害の危機にさらされた皆様のお役に立てれば幸いです。 _____ _____ 改めて、水害発生時と今日を比べ、生活が万全でないものの大幅に改善したことは多くの皆様の助けがあったからです。ボランティアの皆様、業者の皆様、行政の皆様、義援金にご協力くださいました皆様、個人的に支援して下さった皆様、本当にありがとうございます。 引き続き被災地に寄り添っていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。 ********** ●2016年1月~は常総市義援金へ充てさせていただきます。 ・7月分、70枚30,380円。常総市義援金募金4,126円。合計34,506円 ●被災店舗にて設置販売のCDにつきましては1枚に付き500円を被災店舗へ寄付。 私は、大きな損害を受けた常総市が今後しっかりと再建するには ********** ※詳細は後ほど ◇「神保シェフと茨城をたべよう」 毎月16日更新!【Youtube】on-air!
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