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2005年11月06日
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カテゴリ:なご30歳の日々
 先週に引き続き、チベット映画を観に行きました。場所は同じく渋谷のアップリンク

 今日のはなんと映画3本立て!前回のような眠くなる…失礼!難しい内容のものではなく、チベット難民の現状を綴ったドキュメンタリーなのでした。

 チベット人は難民なんですよ。私も今回、初めて気付いたのですが。なぜなら、彼らには国がない。「チベット?あるじゃん?ラサとか…」と思うけど、あれは「チベット自治区」という中国の一部分でしかない。しかも、自治区とは名ばかりで、実際にはどんどん漢民族が押し寄せ、中国化が進んでいるらしい。学校では中国語を学び、町には中国風の建築が施され、あと何年かしたら、秘境ラサにも列車が走るというからオドロキ!

 そんな中、ラサに住むチベット人達は、中国政府の圧力から逃げるように、インドへと亡命してゆく。国境警備隊の目を逃れ、5000メートル級の山を何日もかけて越境。もちろん命を落とす者もいるし、たどり着いても、ひどい凍傷により足を切断する者もいるらしい。そこまでしても彼らが目指す町は、インド北部にあるダラムサラ。ここはダライ・ラマ14世の亡命政府が置かれているところなんです。

 チベット仏教は、チベット人にとっての精神そのものだ。彼らは本当に信仰深く礼節を重んじる。ダライ・ラマは、彼らにとってのまさに活き仏。彼がいるからこそ、みんな遠く散り散りになって暮らしていても、母国チベットへ必ず戻れる日が来る、と信じている。

 「チベットの完全独立を!」と言ってるのかと思ったら、ダライ・ラマの主張はあくまで中道で、まずはチベットの完全自治を目指している。しかも徹底した非暴力によって。暴力で立ち向かっても、勝ち目がないことを分かっているから過激な闘争はしない。他のチベット人指導者の中には、もちろん反対意見もあるらしいけど、それでも武器を手にはせず、地道な抗議運動やハンガーストライキで訴えている。

 …正直、驚いた!私自身、中国領チベットにも、インドの亡命チベットにも行ったことあるけど、こういう現状があるとは…知らなかった!

 確かに、かつての首都ラサには、どんどん中国の物資も文化も流れ込んでいて、中国国内の一大観光地と言って差し支えない感じだった。逆にインド北部に点在する町…ダージリンシッキムもそうですが…の方が、チベット文化が伸び伸びと息づいていて、規模は大きくないけど、チベット人の町という感じだった。チベット人は、チベット文化はそうやって生きてゆくんだなーと思っていたら!彼らはチベットに戻りたいんだ!ラサを捨てたんじゃなくて、インドにチベット文化を広めたいんじゃなくて、チベット文化を継承し続けてゆくために、仕方なくこうしているだけなんだ!

 現に、チベット自治区における中華教育から逃れるために、自治区内に住むチベット人は自らの子供だけを亡命させてるらしい。別れたらいつ会えるかも分からないのに!途中で見つかったり命尽きるかもしれないのに!未来を、チベットの未来を、子供達に託す…という感じなのかな。

 亡命した先で生まれ育って、チベットを知らない2世代、3世代の人達が、未知の母国チベットのために闘っている。行く末はまったく分からないのに。世代を超え地域を越えた、彼らの精神的つながりには、ただただ感服する思いだ。

 産まれてこのかた、何の疑問も持たずに日本人の私にとって、彼らの生き様には理解を超えて驚嘆するばかりだ。何かしてあげたいけれど、何ができるのだろう…?とりあえず今できるのは、こうしてつたない文章ながらも、チベットという問題を紹介していくことです…。


ポタラ宮

 ↑ラサのシンボル、そしてチベット人の憧れポタラ宮


バルコル

 ↑ラサで数少ないチベット風情が残っている通り、バルコル。後方に見えるのがポタラ宮。


チベット人の親子

 ↑ダラムサラで出会ったチベット人の親子。物売りをしていた。





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最終更新日  2005年11月09日 23時28分08秒
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