カテゴリ:私の歩いた山と道
きつい登りは歩いて、比較的平坦なところでは一部小走り程度でここまできた。それらはタイムを縮める狙いであったが、行者杉から先を小走りにいく足は、必要に迫られてのものであった。ダイトレで野しゃがみの一夜を明かすというのはゴメンだ。
杉尾峠を通過。ダンボ山763mを通過。 やっとこさで西の行者堂。植林が密で、見た目以上に真っ暗だが、心のうちはもっと暗かった。 ▲やっとこさ、西の行者堂 鉄塔を過ぎて少しいくと右手に白い杭が一本ポツンと立ち、マジックでブンタ谷と書いた紙が紐で巻きつけてあった。そうそう、こんな心許ない感じの分岐だった。 ブンタ谷の分岐点を押さえてひとまず安心する。まだライトなしで歩ける明るさがあったのでブンタ谷を降りることにする。「草少々、道良好。長袖必要」とある。最後のお茶を飲みきって荷を軽くし、一息入れ、服装の乱れを直し、ヘッドライトをすぐ使えるようにポケットに移し、ここが最後の正念場と気合を入れて踏み出した。 道を隠すように伸び放題に伸びる草の葉は、どことなく熱帯的な大きさと濃さを持ち、ここが年中高湿の谷道であることを窺わせる。その先、つづら折の下降がしばらく続く。道幅の最低値を保証するダイトレから外れたこともあり、この辺りは追い越しの難しい狭い道だ。私は下りが人より遅いので、狭い下りが続くここが全コース中で一番苦手なところになりそうだ。 つづら折を越すと木段の道になった。特別の苦労なく、なんとか麓まで辿りつけそうな予感である。ちょっと安心できたが、それでも山村は、まだかまだかと思う先だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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