| |
私は、六甲山の登山道をほとんど知らない。トエンティクロスも歩いたことはない。須磨アルプスも今回が初めてだった。六甲山を登山対象の山とみていなかったからであるが、2年前はトレーニングの場としてお世話になった。
20回以上は登ったコースが一箇所だけある。青谷道という道で、まやビューライン(ケーブルとロープウェイの架かるところ)の近くにある道だ。3年前、富士登山競走時間内完走の目標達成に燃えていた私は、登りの脚を鍛練する場として、ここ摩耶山を選んだ。
理由はこう。
ガンガン登りたいけど、降りたくはない。なぜなら降りると膝を痛める可能性があるから。登ったあとの下りは交通機関に頼ろう。麓についてまた登る。それでトータル3000mぐらいは登るトレーニングをしよう。
ロープウェイの架かる山は結構ある。山頂までバスの通じている山も結構ある。しかし一日に何回も乗ることにならから、なんらかの乗り放題パスが利用できるところが望ましい。そういう条件で調べると、スルっと関西の使える、生駒か男山あたりが候補としてあがった。もう少し調べていて見つけたのが、まやビューライン。なんと\3,000の年間パスがあるのだ。片道1回乗ると860円だからこれは安い。
パスを買ってからの一年の間に、一日トレーニングできる日があれば摩耶山へ行き、青谷道を一日に4,5回登った。青谷道は、まやビューライン直下より少し西に位置するが、終始走りとおせる斜度が気に入って、ここばかりを登った。
ある日、石段を整備していたときがあり、傍らを4回目に通りぬけたとき「いったい何回のぼってますねん」と呆れられたことがある。この辺りの地味な登山道は、休日でもあまり人のいないコースなのである。
摩耶山の手前で、青谷道出合いの前を通った。ここだけは詳しいぞ。ロープウェイへの駆け込み乗車を狙って、あえぎながら走った道。その何度も通った道の100mほどが全山縦走路と重なっていた。そして、その100mほどを感慨深く歩いた。
摩耶山頂で小休止。トイレによって自販機でドリンクを購入。スポドリ系はほとんど売切れだった。唯一残っていたゲータレードをチョイス。パンとおにぎりで補給。
周りには結構な数の縦走者がいた。どうやらボリュームゾーンに追いついたようだ。
「摩耶山まできたら、まぁ、完走できるっていうよね」
というのを小耳にはさむ。『そうか、ここが峠か、よしよし、頑張るぞ』
大竜寺前CP手前はきつかったが、最初にゆっくり歩いているのは大きな体力的貯金だ。宝塚までいくぞ、と気合を入れて摩耶山を後にした。
「念のために軽アイゼンを」と注意事項に書かれてあったが、私は持参しなかった。ところが途中、残雪の多いところがあって『むむむっ』となった。アイゼンを装着するほどではなかったが、想像以上に残雪があり正直驚いた。
記念碑台CPに到着。どこにスタッフが?ととまどった。尋ねると、ここは自分で時間を書き込んで通過するだけとのこと。
もうこの時点で、関門に30分以上余裕あり。21:30のゴール関門もどうやら大丈夫そうだ。ほっと安心。
ドライブウェイと交差しながら縦走路は進んでいく。ドライブウェイを歩く人もいたが、山道にこだわった。トンネルも通らずに上を越えた。
アルプスの山ならば、植林からブナ林、そしてダケカンバが低くなって、やがて森林限界、最後に匐松帯をこえて山頂、と景観は変化する。7時間歩き続けても、変化する景観は歩くことを飽きさせない。ところが、六甲の全山縦走コースは、いくら歩いても低山の冴えない景観がえんえんと繰り返される。はっきり言って、つまらない。飽き飽きだ。松の葉が散ってる道は、もう沢山だ。
そんな気分だから、ドライブウェイの方が気分転換によいのだが、縦走正規ルートにこだわったのと、車道の危険回避で、山道を選んだだけのこと。
景色は、ここにきて、もう、とんでもなく面白くなかった。
次のCP、六甲最高峰に到着。
標識の立つ広場には誰もいず、ここも自分で記録するだけ?と思ったら、少し先に賑やかな広場があった。タイムスタンプを押してもらった。17時17分。
全体マップはこちら
さぁ、次はゴールだ。
すこし薄暗くなってきた。この大会はヘッドランプは必携。できるなら明るいうちにゴールしたいと願っていたがそれは無理なようだ。
背筋が疲れてきた。惰性で歩く。
ヘッデン点灯。黙々と歩く。ひたすら歩く。
老いも若いもたくさんいたが、全山縦走するって並大抵ではないよなぁと、つくづく思う。
自分は100kmウルトラに挑戦しようかと思っているぐらいだから、全山縦走なんか軽くクリアと思っていたが、考えが甘かった。もうヘトヘト。
いつもこうだ。私は物事を甘く考えるフシがある。注意しよう。(いや、まえまえから分かっているのだが…… ^^;)
そしてスタートしてから、13時間と15分。ゴール!
あなたは当連盟主催の第45回兵庫労山六甲全山縦走に参加され困難を克服して立派に全コースを走破された事を証します 手書きの名前入りの完走証をいただいた。こういうのを用意してくれているなら、なんとしてもゴールしないといけない。リタイアせずにすんでよかった。
ゴールではぜんざいのサービスがあった。器は各自でご持参ください、と案内書に書いてあったのでペーパー皿を一応持ってきたが、現地で10円で買える器の方が大きかったから、それにした。お椀型の丈夫なポリの器。紙皿でも10枚100円だから、断然こっちがいい。
餅は本日ついたものだそうだ。3つ入っていた。テーブルに刻み塩こぶも用意してあった。おかわりも貰えるそうなので、おかわりを貰ったら、さすがにおかわりの餅は一個だった。
でも、たっぷりなおしるこを2杯も飲んで堪能した。疲労もどんと回復。
宝塚の駅近くに風呂『ナチュールスパ宝塚』があり、完走証を提示すると200円引きで入浴できるとのことで、そこへ向かった。ゆっくり入るには22時閉店とあまり時間がなかったので急いだ。21時過ぎに到着し、露天ジャグジーにゆっくりとひたった。
夜空を見上げて心の中でつぶやいた。
『はぁー、六甲の全山縦走、これはしんどいわ……』
筋肉痛は三日経過した今も消えない。 <終>
| | | 私の歩いた山と道<目次>はこちら。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.17 01:10:49
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る
|
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
x
Profile
misty247
from someone who admires you very much!
|
|