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翻訳学者犬徒然草

何故家主はカルメル修道院に(三)

 
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車のトランクを開け、小さい2脚の椅子を入れ、大きな肘掛椅子を後座席に入れようと家主は後ドアを開けた。小生は慌てて頭を前シート下に突っ込んだ。家主が小生の頭にぶつかることを気にせずに、無理やり椅子を押し込み始めたからである。肘掛の部分がなかなか入らず、前シートと後シートの間に挟まり動かなくなくなったようで、家主は力いっぱいに押し込むのであるが、小生の前シート下に入りきらない背中に肘掛の一部が当たったので「ウーゥ」と家主の注意を促した。「???」 幸いシートが柔らかいので、椅子がすべりこみ、まだ10センチほど車から出ているのにもかかわらず、ドアを閉めたのである。肘掛が小生の臀部に突きあたったが、小生はこのような事態を事前に予想したいたため大事には至らず、安堵し頭をシート下から出し、家主の様子をウインドウ越しに探したのであるが、家主はすでにチャペル横の事務所に修道女と並んで向かっていた。この籐の肘掛椅子には見覚えがあり、小生AuDos2.JPGの目の前の脚から、ほのかに感じる匂いは我が家のものである。このような古びた椅子は家主の家には多くころがっており、小生がまだ小さい頃、家人が居ない時にはその上に跳び乗ったり、その脚をかじったりしたものである。家主が籐の部分が擦り切れた椅子を、時々修理した椅子に入れ替えていた。「知る人ぞ知る19世紀の傑作なのだが、この椅子はやっぱり座っては駄目だ」と。なんと小生は座っては駄目な椅子を使っていたのである。
 
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