レムリアからの転生旅行者
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えーっと、神坂夫人美奈子ですが、しっちゃかめっちゃかになって来ましたから、ドクター・カオス本人?と対談しつつ、解説してもらうことにします。「まず、前世記憶の状態はどうなっているの。」「どこまでが前世記憶か、と言う問題が生じるけど、原作のGS美神ほどではないにしても、順調に忘れて行っていることは、確かだな。大体、そもそも大元となったと思われる、「レムリア物語」自体が、1995年に35日間6か国巡らせてもらった海外研修時に、パリやら、デュッセルドルフやら、アメリカ国内線の飛行機の中でのUFOおじさん(ルロイ・コッター氏)との会話やらから導き出されてきた、前世記憶というよりも、アカシックリコードから来たものだから、一言では説明できない部分がある。」「その記憶は、残っているの。」「大分忘れたけど、逆に現世の記憶の方が危うい。特に、短期記憶は、自分でも笑ってしまうぐらい、あっという間に消える。」夫、まだ健忘症まで行かないレベルですが、忘れっぽくなっていることは確かです。「逆に、前世かなって思う記憶の方が、残っているってこと。」「そうだ。むしろ、一番古いのかなと思っている、レムリア編の記憶の方が、文字に書き起こしたせいか、残っている。」「他には、どんな時代があったの。」ギルガメッシュ叙事詩みたいな話もありましたから、あれは、シュメール以前と思われます。「元の元と言うか、レムリア編で、サクヤ王女と結婚する時に、時空を超越して原始の世界世界に飛んで行ったりしたから、あれが一番古いかな。」「何か、近年、否定意見も出てるけど、ビッグバンは、あったのかしら。」「見た限りでは、なかったな。」「じゃあ、何があったの。」「うーん、多分に哲学的な話になるのだが、まず、光があり、それから混沌があり、闇が生まれ、その後ようやく物質が生まれたって感じだったかな。」確かに、多分に哲学的と言うか、宗教的です。「レムリアよりも後は、点々としているけど、本当はずっとつながっていたのかしら。」「ああ、これこそ、みーんな忘れたパターンだな。パカル編は、アステカ時代みたいだし、かと思えば、大分飛んで、日本の平安時代や鎌倉時代、江戸、明治、大正、昭和、とつながってくる。」「何故、近世は日本なのかしら。」「ああ、これね、恐らく言語の問題だと思う。近世の記憶は、言語との結びつきが大きくなったから、日本語中心に統合されたんだと思う。」しかし、夫は、英語は堪能ですし、フランス語、ドイツ語も、かなり理解します。「英会話特異でしょう。それでも、日本語なんだ。」「そう。得意とは言っても、現地では順応するってだけで、帰国したら、成田できれいさっぱり忘れた、ではなく、日本語の記憶に変換されている。」確かに、海外研修の時も、その後の海外出張の時も、現地ではいろいろな言語を話している映像まで残っているのに、記憶は日本語なのです。「だから、日本語ってことなのね。」「おそらくそうなんだと、考えている。」「それでも、原作のドクター・カオス並み、いや、それ以上の年月、下手すると、何万年、何億年のスケールよね。」彼の前世記憶を考えると、そうなってしまいます。「そんなものだから、僕は、命なんて、いい加減なものだとも考えている。」大変慎重で、命を大切にしていると思われる彼らしくない発言です。「命は、大切でしょう。」「それは、否定しない。でも、僕の前世記憶、切れ切れではあるけど、単に途中を忘れているだけで、つながってもいるんだ。だから、命、というと語弊があるな。魂は、永遠に不滅ですって言ったらいいかな。」「巨人軍の某監督のようなこと、言うのね。」「自分の経験に素直になると、そう結論づけることができる。」「死ぬときって、辛くないの。」「いや、全然辛くはないな。単に、次に移るだけって、感じだな。僕自身の経験で言えば。」確かに夫は、全く死を恐れていないように思われますし、臨死体験だけでなく、脈が15分怒切れても、普通に生きていて、病院の医師が、「どうして、脳死していないんだ。」と、首を傾げたこともあったのです。「まあ、常識から言えば、あなたは、特例中の特例だと思うわ。」「美奈子は、僕の転生の仲間、転生を司る神様のイギギさまが、「腐れ縁とも言えるほど、君と縁の深い魂」と呆れた、特殊なソウルメイトだから、その感覚、少しはわかるのでは。」言われてみると、私自身にははっきりした前世記憶はないのですが、彼と初めて会った時、絶対どこかで会っているはずだと思ったのです。でも、聞けば聞くほど、大阪と山形でしたから、接点はないし、会うことは、ありえなかったのです。そして、私は、初対面の彼を見た時、正直に言えば、「この男、欲しい。」と思ったのです。その時の彼の感想では、私に対しては、「情熱」でも、「恋愛の情」でもなく、「血の情念」を感じたと言います。後年、解説してもらったら、私は、前々世で、彼と恋人同士で、彼の子供を宿しながら、結ばれずに、お腹の子供を道連れに自殺した悲劇の相手だったから、「血の情念」だったのです。うー、記憶が無くて良かったと思える、恐ろしい関係です。それでも、彼は豪傑で、まだ6歳の子供の時に、赤い襦袢姿で、首に細い帯を巻いて、口と足の間から血を流しながら、「悲しい、悲しい、赤ちゃんも道連れにしてしまった。」とつぶやきながら、物置小屋(何と、私が自殺した家の廃材で建てられていたとのこと)の中を歩き回っていた、私の怨霊の姿を幻視して、こう言ったのです。「悲しいね。でも、巡り合えたら、幸せにするよ。」私は、お屋敷の若旦那の慰み者にされて、怨霊になって、三代に渡って祟ったと言う伝説さえ残っていた、知る人ぞ知る怨霊だったのです。どういうメカニズムなのか、彼のこの言葉、何十年も前に自殺した私の怨霊に伝わったのです。だから、私は、彼を欲しいと思い、彼は、私の正体?に気付いて、初対面の時に、「未来の妻と出会った。」と日記に書き、1年遅れましたが、本当に、私と結婚してくれたのです。そんなすさまじい関係の私と彼なのですが、いろいろありながらも、4年後には、金婚式を迎えることができるまでに、長続きしています。前世のことはどうでもいいから、私よりも長生きしてください。それが、私の唯一最大の望みです。夫婦二人だけになった我が家のお伴、二匹の黒猫、ニコとヤマトです。
Jan 18, 2026
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本日も、神坂俊一郎夫人の美奈子がお送りします。夫は、2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は」を、映画館には見に行かず、ブルーレイディスクセットの発売を待って買ったのですが、当時はまだブルーレイを綺麗に見ることができるテレビを買う前だったこともあって、DVD版をさらっと1回見ただけで、セットは、娘と息子のところを行き来していました。その後、2019年に、何と留守中に猫がガスレンジのスイッチを入れたことから火事になって、1階の20畳のLDKが丸焦げになりました。幸いその1部屋だけが燃える半焼で済んだのですが、家中煤だらけになりましたし、野良を保護して飼っていて当時21匹居た猫たちが、一酸化炭素中毒で全滅し、居間の大型LEDテレビもエアコンも冷蔵庫等の家電類も、丸焼けになりました。その機会に、ブルーレイディスク内臓のテレビを買ったのですが、5年経ってもまだブルーレイディスク自体を再生したことは一度もなく、今回子供たちが帰省してきたついでに、ブルーレイセットを持ち帰らせて、「君の名は」のブルーレイディスクの完全版を初めて見たのです。彼の記憶とは微妙に違っていたようでしたが、ようやく見ることができたと喜んでいました。何故「君の名は」の話を持ち出したかと言いますと、実は夫は、サヴァン症候群の超越的な頭脳は持っているのですが、何と人間の相貌認識ができないのです。いや、顔かたち自体は見分けられても、記憶の名前と結びつかないため、人間の見分けがつかないのです。でも、不思議なことに、妻になった私のことだけは、初めて会った時から見分けることができたそうです。しかも、未来の妻だとまで。ただ、彼と結婚することになった理由はそのことだけではなく、前々世以前からの縁だったからだと言います。「君の名は」の映画主題歌そのまま、私のことは、前々世から知っていたそうです。ただ、前々世の私と彼は、物凄い悲恋で、身分違いの恋だったため、当時の私?は、彼との結婚を許してもらえず、お腹に子供も居たのに、身内からはおろせと迫られ、お屋敷の納戸で、首をくくって死んだのです。現世の私は、東北の田舎の出身なのですが、その前々世の悲恋の舞台になったのが、大阪郊外にあった現世の彼の祖父母の三千坪の大邸宅だったのです。私の怨霊の仕業と言われていたのですが、三代にわたって祟った結果、元のお屋敷の建物は無くなって、土塀の痕跡だけが残っていたのですが、何と前々世の私が自殺したお屋敷の納戸の廃材を利用して建てられた物置小屋が残っていたのです。それで、霊感の有る彼が、幼児の時に、物置小屋の中に怨霊となっていた私が居ると言い出したのです。彼だけが、私の姿を見ることができたのです。不思議な話で、その時には私は、既に今の私に転生した後だったのですが、彼には、首に細い帯を巻いて、赤い襦袢姿で口と足の間から血を流していた中学生ぐらいにしか見えない娘の怨霊の姿を見ることができたそうです。そして、幼児の癖に全く怖がらず、時空を超えて、私の怨霊に呼びかけたのです。「悲しいね。でも、巡り合ったら、今度は幸せにするよ。」だから、私と彼の関係は、前々世からの百年を超える約束によるものだったのです。そんな恐ろしい因縁のためか、東京に就職してきた彼と巡り合った時に、前々世も少しは見える彼は、幼児の時に約束した怨霊が転生した未来の花嫁を見つけたと、日記に書いていました。私は当時、田舎の高卒で19歳の、ほっぺの赤い座敷童みたいな娘でしたから、大阪出身の一流大卒の彼は、到底結ばれそうもない相手だったのですが、前世記憶は無かったものの、彼のことが、何故か凄く気になったのです。映画は、ラドウィンプスの曲「前々前世」がテーマソングになったため、誤解を招いていますが、主人公とヒロインは、異次元的ですが、あくまで現世で時空を超えて巡り合っています。何が「君の名は」なのかと言いますと、映画ではラストでお互いにかけあう言葉なのですが、実は彼にとっては全く意味が違っていて、彼が「君の名は」と聞かないでも見分けることができる相手は、私たった一人だけだったのですから、逆の意味なのです。つまり、彼は、他の人の顔と名前が見分けられませんから、本人の弁によると、本当は、毎日会っていた同じ会社の人でも、知人でも、友人でも、会う度に「君の名は」と聞いて誰なのかを確かめかったのだと言います。流石にそんなことはできませんし、しませんでしたが、彼は、人の名前がわからないことを、超人的記憶力の応用で、名簿と座席表を丸暗記することで補いつつ、個々の人の声やしぐさから、目の前の人間が誰なのかを推測していたのです。顔と名前が結びつきませんから、各種の情報を総動員して見分けていたわけです。彼のこの真実を知っているのは、私唯一人です。彼にしてみれば、本当に見分けることができるのは私たった一人だけなのですから、私にだけは、真実を告げて、理解を求めたのです。えっそんなばかなと言いたくなるでしょうが、彼は、自分の子供でさえ、相貌認識だけでは区別できないのです。ただ、家族だけは、霊感の応用なのか、本人が言うには、一種の波動のようなものの違いで、ある程度までは見分けることができると言いますから、私のようには行きませんが、他人よりはましなのです。それでも、時々家族の名前すらわからなくなります。わからなくなると、私にこっそり聞きます。「あれ、誰だっけ。」自分の母親のことも忘れて、私に聞いたぐらいですから、本当に信じられない事実なのです。そんな彼ですから、60歳の定年退職で、とりあえず会社の人たちとの交友関係が狭まってまず喜び、66歳で仕事から完全にリタイヤすることで、会社関係の人間関係を清算できたと、喜んでいました。彼にとっては、頻繁に会っている会社関係の人たちも、赤の他人とほとんど同じだったのですから。今の彼の課題は、知識と経験は豊富で、大抵なんでもできてしまいますから、完全リタイヤを機に、市のコミュニティー推進協議会(要は、町内会のようなものです。)の副会長に推薦されてしまって、受け入れざるを得なくなってしまいましたから、その関係の交友です。仲間と言いますか、協議会のメンバーで見分けがつくのは、会長他5人にも満たないと言いますから、メンバーかそうでないかぐらいの認識から、名簿を見て推測しているようです。まあ、協議会では、「人の顔と名前はわかりません。」と最初にカミングアウトはしていますが、豊富な知識と経験から、スピーチでも会議の司会進行でも、臨機応変にこなしてしまいますから、誰も信じてくれません。ですから、それなりに苦労しているようですが、面白がって副会長を務めています。唯一彼に見分けてもらえる私なのですから、私だけは、死ぬまで見分け続けていてもらいたいと願っています。夫、人間の見分けはつかないのですが、猫の見分けはつくのです。このよく似た黒猫2匹も、最高28匹居た保護猫たちも、一目で見事に見分けましたから、人間限定の彼の相貌認識失調って、本当に不思議です。
Aug 12, 2025
神坂美奈子の夫の俊一郎、もう68歳で、完全に仕事からリタイヤしてから2年たちますが、午前中はサイクリング、午後は、庭仕事をしたり、猫とお昼寝したり、読書をしたり、以前に書いた膨大な量の原稿を校正したりして、のんびり生活しています。サイクリングは、2か月前に、スーパーで自転車から降りる時に、止まった状態で前にダイビングして、左目の下をざっくり切りましたから、そろそろ危なくなってきたかと心配したのですが、3日でその傷がふさがっただけでなく、その後、以前よりも元気になりました。先日も、二階級特進wで副会長になってしまった自治会関係の集金があったのですが、彼、暇に任せてと言いつつ、いろいろ工夫して12件を二日でさっさと集めて来ました。他の人たちはまだ全く取り掛かっていない状況だったらしく、盆踊り大会の賞品の買い出しまで請け負って来ました。今日は、35度の暑さの中、濡れ縁と物置の雨漏りする屋根の上にシートを貼っていましたが、途中で何と脚立ごと転倒したのです。2メートルぐらいの脚立で後ろ向きにバタンと倒れたわけで、ガッシャーンと大きな音がしましたから美奈子が慌てて駆け付けたら、本人曰く、「まだ特別製の体が有効。」だったらしく、膝に2か所痣ができただけでけろっとしていました。ほとんど怪我をしなかったのはよかったのですが、その時彼、なんと「うたてやな。」と言ったのです。本人全く意識しないで言ったらしいのですが、これ、現代語ではありません。古語で、情けないと言った意味でつい出てしまったとのことで、最近「源氏物語」を再読したりしていたからなのでしょう。彼、旧仮名遣いも古語も、普通に読めるのです。源氏物語を再読した時も、現代語訳より原文を読んでいたと言います。腹が立つことに、彼にとっては、外国語も同じだと言います。現地で5日間も日本語のない生活を送っていると、大体何を話しているかわかるようになるのですから。何故そんなことができるのか聞いたら、興味深い答えが返ってきました。「人間、日本でもドイツでもフランスでも、大体同じようなことをしゃべっているから、聞いていると、言葉の意味が類推できるようになる。」確かに、国際担当で毎年パリに行っていた時には、現地の人が気付かなかった、地下鉄の出発番線の臨時変更のアナウンスまでわかるようになっていたと言いますし、海外研修の時で6か国巡った時には、アメリカ、カナダ、イギリスでは、英語を、ドイツではドイツ語をペラペラにしゃべっていました。イタリアとフランスは、現地の人たちが喋っている内容はわかったそうですが、話すところまでは行かなかったと残念がっていました。そんな彼にとっては、古語も一つの言語で、元が日本語の分、理解しやすいとのことです。源氏物語について聞いて見たら、まず一度全部読んで見ろと言われました。あなたみたいな言語の天才じゃないから、そうはいかないと拒絶したら、とりあえずあらすじだけでも理解した上で、面白い本があるから、それを読んでみろと勧められました。一つは、「六畳の御息所源氏がたり」でした。著者は林真理子氏で、何と六条の御息所の視点で描いた源氏物語なのです。原文読んだ後で読むと、なるほどと思うところがたくさんあるとのことでしたが、私は、聞いただけでギブアップしました。彼は、私と結婚する2か月前に、大学同期の元カノの生霊に首を絞められたという、面白い経験がありましたから、六条の御息所ファンなのです。私は、何故か初対面の時から私と結婚することを幻視していたという彼と交際することになった時には、彼女と別れた経緯も聞いていました。彼には、庶民の私相手なら問題にならない(これはこれで腹立つことですが)ヤーさんとのお付き合いや複雑な家庭の問題があり、源氏物語の六畳の御息所さながらに上流階級のお嬢様だった彼女とは付き合えなかったというのも理由の一つだったのです。そして、後から教えてくれたのですが、私も、前々世は、大阪の一部地域では知る人ぞ知る怨霊だったというのです。彼は、私の怨霊の姿も見たことがあるそうです。中学生ぐらいにしかみえない幼い姿で、赤い襦袢姿で、首に首をくくって死んだ時の帯がかかっていて、口と足の間から血を流していたと言いますから、4歳の時に見て平気だった上に、「悲しいね。巡り合えたら大事にするよ。」とその怨霊に平気で声をかけて、本当に実行した彼は、間違いなく変人です。ですから、生霊だけでなく、怨霊とも大変縁のある彼だったのです。源氏物語に戻りますと、もう一つの彼のお勧め本は、遠藤遼著「源氏物語あやとき草紙(全3巻)」でした。これ、紫式部の視点から捉えた作品で、源氏物語を執筆して行くにあたっての、藤原道長や、中宮彰子らとの関係を描いたもので、当時の時代背景がわかりやすく描かれています。と解説してくれたものの、彼や元カノのリアル六条の御息所ほどの超越的な頭脳を持たない私には、無理と言うものです。頭の良すぎる人には、普通の頭の人のレベルが理解できないようです。彼が言うには、こんな私でも、頭はとってもいい方で、理解できないと思う人には最初から勧めないと言うのですが、いまだに小さい文字も平気で読める超人的視力の彼と違って、私は60前から老眼で、彼に買ってもらった12インチのタブレットで、漫画や小説を大文字にして読むのが精々ですから、付き合いきれません。でも、結婚する前に、酒もタバコも賭け事もやらない堅実で健康な男で、自分よりも頭のいい人、との条件を考えていましたし、「馬鹿な男は絶対嫌じゃ。」と宣言していた手前、全てを満たした上に、超人的な運動能力と堅牢な身体まで持っている彼に、文句を言うのも贅沢なのでしょう。彼は、聞けば何でも、私にもわかるように教えてくれます。何と言っても、超人的な演算能力?によって、彼が、何万通りもシミュレーションして最適解として選んだという私との結婚は、私にとっても幸せなものなのでしょう。未来幻視どおり、78歳まで元気に生きていてください。お願いします。源氏物語とは直接関係はありませんが、同窓会で訪れた京都の醍醐寺です。
Jul 24, 2025
先月下旬に京都で大学の同窓会がありました。私、近年ついでに京丹波の廃屋の様子を見に行く都合もあり、車で往来しているのですが、今回運転中に幽霊を見ることができました。元々私は見える人ですから、それほど珍しいことではないのですが、今回いろいろ検証しましたので、そのことにも触れてみます。まず場所ですが、京都とは全く関係がなく、今回、帰りはのんびりしようと、長浜と諏訪の二か所、偶然両方湖畔ですが、その2泊3日駆けて帰ることにした、2泊目のホテルの近くでした。物好きにも、長浜から諏訪まで、高速を使わずに行ったため、猛暑の中、関ヶ原、一宮、小牧、春日井、多治見、土岐、瑞浪、恵那、中津川と進んで、それから木曽路を通って塩尻、岡谷、下諏訪、諏訪のルートだったのですが、35度オーバー、ところどころ37度オーバーの暑さでした。現場は、国道20号を岡谷から下諏訪に降りて行く直線の下り坂で、左側(北)に比較的広い歩道がありました。見通しの良い直線ですし、他に歩行者は居ませんでしたから、そのセーラー服の女子高生(と思われる)は目立ったのですが、およそ2秒で消えました。逃げ込むような家も曲がり角もありませんでしたから、消えたとしかいいようがありません。そして、どんな女子高生だったかですが、まず、ここで第一の不思議がありました。後姿しか見えませんでしたから、わかったのは、髪が長めの子だったぐらいなのですが、気温30度超の6月30日午後4時頃に、冬服の長袖の黒のセーラー服を着ていたのです。いくらもの好きでも、冬服はないだろうし、2秒で消えましたから、その時点で幽霊確定でした。珍しいことではないと断ったように、私、昼夜にかかわらず、見える時は見えるのです。直近というか、その女子高生の前に見たのは、犬の幽霊で、恐らく飼い主なのだろうと思うのですが、明るい16時頃のことで、30代ぐらいのジョギングしていた女性の足にぴったりついて走っていたのです。茶色の犬だったと思うのですが、通り過ぎながら観察したところ、途中から顔と胴体が消え、最後は足だけになりました。犬は、自宅近くを一人で運転していた時のことですが、その前に見たのは、葛籠のような四角くて大きな箱を背負った、白髪の美女で、これは雨の夜19時頃のことで、となりに妻が同乗していました。それで私が、「こんな雨の中大きな荷物を背負って大変だなあ。」とつぶやくように言うと、彼女はっとして、「家を出てから、誰も歩いいる人なんて居なかったわよ。」と答えたのです。「えっ、今そこに。」と言いながら私が振り返ると、妻の言うように、誰も歩いていませんでした。ただこのケース、場所が大変興味深いのです。我が家から2キロぐらい離れている葬儀屋の前だったのです。しかも、どなたかのお通夜の最中でした。この美女、白髪でしたから、イメージ的には、高橋留美子の漫画「境界のRINNNE」に登場する名誉死神?魂子だと思ってもらえればぴったりです。何でそんな幽霊なのか死神なのかわからない存在を見ることができたのか、不可解ではありますが。セーラー服つながりでもう一つ紹介しておきますと、季節は真冬の12月、雪が積もっていた北海道の帯広市で、私は一人で散歩していました。帯広って、変な町で、道路が原則碁盤の目の中、駅から斜めに緑ヶ丘公園に向かって通っている道(公園大通り)があるのです。そして、その大通りに沿うわけではありませんが、昔製糖工場と駅を結んでいた線路跡に設けられた道である「トテッポ通り」もあり、真冬でなければ、サイクリングにいい通りなのです。それで、トテッポ通りを端から端まで歩いて行くと、日本甜菜製糖の研究所があるのですが、そんなところに行っても仕方がないので、せいぜい「ますやパン」のお店あたりで戻るのですが、寒かったこともあって、その時は零下7度でうっすら雪も積もっていましたから、売買川に突き当たった所でUターンしました。大体、冬の北海道、昼間でも、歩いている人はまず居ません。私は、余程の物好きに分類されるのだと思いますが、川沿いを少し歩いて戻ろうとしたら、道端に高校生のアベックが黙ってたたずんでいたのです。正直不気味でしたが、更に不気味だったのは、二人とも夏の白の半袖制服だったのです。凍死しかねない気温ですから、あーあ、また幽霊かと思いつつ、黙って側を通り抜けて10メートルぐらい離れてから振り返ると、消えていました。地元の人に、そのあたりで心中した高校生がいるかと聞いたのですが、そんな話は聞いたことが無いとのことでしたから、どういう関係の二人だったのか、不明のままです。まあ、私としては、季節外れの幽霊と縁があると言えますが。今や、大抵の車に、カーナビだけでなく、ドライブレコーダーが装着されています。そこで今回のセーラー服幽霊目撃で思い出して、たった2秒ぐらいでしたが、ドラレコに映っているのではないかと、帰宅してからマイクロSDカードを取り出して映像を再生してみたのです。すると、恐ろしいことに、当日、6月30日の、長浜から諏訪に至る約7時間の映像だけが、全く記録されていなかったのです。私の車のメルセデス純正のドラレコ、前後双方向の自動録画ですし、前後の日も他の日もちゃんと記録されていましたから、不可解としか言いようがありません。セーラー服の幽霊は、余程証拠を残したくなかったのでしょうか。また同じような事例が発生したら、確認して報告します。現場の写真は撮れませんでしたから、代わりにホテル近くの諏訪湖畔の映像をどうぞ。
Jul 10, 2025
サヴァン症候群と直接関係があるのかどうかわかりませんが、私には、生来の感情がないのです。ないのですから、感情って何と聞きたいのは私なのです。私は、前世記憶だけでなく、生まれた時からの記憶があるのですが、現世では、最初から感情は無かったようです。生まれた時に、鉗子分娩で引きずり出されたのですが、冷たくて黒くて硬いものに挟まれて、居心地のいいところから引きずり出されたという感覚で、その時から感情は欠けていたと思われます。では、現在の私ですが、一応感情らしきものは身に付けました。でも、この感情、完全に後天的なものなのです。幼児の頃には、泣かない子供だったようで、そのこともあってか、母親から物凄い虐待に遭いました。この点で、感情が無かったことは大変幸運で、自分を可哀想とも悲しいとも思わずに済みましたから、毎晩のように殴る蹴るの虐待に遭いましたが、何とも思わずに済んだのです。これには、臨死体験も大きく貢献していて、私、母には少なくとも二回は殺されているのです。一回目か二回目かよくわかりませんが、1歳半の時に、縁側から4メートルぐらい下の岩に向けて突き落とされたのです。母は、私を笑いながら突き落としたのです。それで、仰向けに落下して行って、後頭部から岩に激突して、ぐしゃっと頭が砕けた感覚までありました。1歳半でも、幼児ながら、既に天才的な頭脳がありましたから、自分でも、あっ、これは死んだな、と覚悟しました。ところが、次の瞬間、青い光の満ちた、凄く快適な空間に移動していたのです。この時、眼に見えない神様?が、どうして、人間の子供がここに居るんだ、と慌てていました。幸い、私はまだ死ぬはずではなかったらしく、その空間に居る間に、砕けた頭が修復されて行ったのです。面白いのですが、頭が砕けた状態の時は、目が見えなかったのですが、修復されるにしたがって、右目、左目と順々に見えるようになったのが興味深い記憶です。それで、その見えない神様(イギギさまというらしい。古代シュメール語で看視者と言う意味だと教えてくれました。)現世に戻してもらえたのですが、私がそれこそ三途の川も飛び越えて移動した青い光の満ちた空間は、中間世というらしく、本来は、転生寸前の魂が、転生に備えて、肉体を修復される次元であるとのことでした。笑ってはいけないのですが、その時、目に見えないイギギさまが、「お前をこのまま帰したら、また母親に殺されて直ぐに舞い戻ってくるだろうから、特別製の肉体にして戻してあげよう。」と配慮してくださったのです。そのお陰で、その後私は、毎晩殴る蹴るの虐待に遭っても、痣一つつきませんでしたし、痛みも感じませんでした。もっとも、そのために誰も母の虐待に気付きませんでしたが。虐待は、小学校4年生になるぐらいまで続きましたが、その後、10歳から66歳まで馬に乗っていた時にも、この特別製の体は十分役立ちました。小学生の時には、障害飛越競技の横木がいっぱい並んだ障害に、馬ごと突っ込んだことがあったのですが、頭と顔で、横木をなぎ倒したにもかかわらず、無傷で済みましたし、大学の時には馬が転倒して完全に下敷きになったことが2回もあったのですが、その時も無傷で済みました。一番凄かったのは、オリンピック選手だった大先輩が、この馬2メートルぐらい楽に飛ぶぞと褒めたオリンピッククラスの馬に乗った時に、練習で、二つ並んで間隔が11メートルの障害を飛越させようとしたら、力が有り余っていたが、頭のネジの方は抜けていたらしい、良すぎる?馬は、一つ目の障害の10メートルぐらい手前で踏み切って、二つ目の障害に突っ込んで止まったのです。つまり、20メートル以上飛んだことになりますが、高さでも2メートル以上飛んでおり、一瞬目の前に馬の尻が見えました。それで、体操ならばウルトラC級ですが、馬の上の3メートルぐらいの高さを飛んで行って、空中で1回転して、二つ目の障害の向う側に後ろ向きで足から見事に着地したのです。この時も、無傷で済んだのですが、衝撃は物凄く、手綱、腹帯、鐙革すべてが切れました。56年間馬に乗ったわけですが、両方の鐙革が一瞬で切れたのは、この1回だけです。まあ、無傷ではありましたが、2日間ぐらい全身が痛みましたから、衝撃は半端じゃなかったのでしょう。この馬、試合の時にも立ち上がって仰向けにこけて、馬上の私は見事に馬の下敷きになりましたが、この時も不思議なことに、一瞬とはいえ、完全に腰から左足まで馬の下敷きになっていたにもかかわらず、無傷で済みました。小学生から馬に乗ったおかげか、馬の動きをつかむ天性にも恵まれ、私、ほとんど落馬しませんでした。63歳の時にも、乗っていた馬がゴロンと転がって、左足が完全に下敷きになりました。砂の馬場だったのですが、この時は、馬の下からよっこらしょと左足を引き抜いて、直ぐにまた乗りました。つまり、この時も無傷で済んだのです。また、馬繋場でこけた馬と、鉄柱に挟まれたこともありましたが、右腕が完全に挟まれたにもかかわらず、折れませんでした。喜んで、「折れてない。」と叫んでしまいました。56年馬に乗って、怪我しないで済んだのは、神様にもらった特別製の体のおかげでしょう。これらは、特別製肉体のお話ですが、感情に戻りますと、感情の無い不気味な子供だった私に小学校1年生の時に救世主が現れました。ベテランの女の先生だったのですが、私に感情が無いらしいことを見抜いた彼女、つきっきりで、いろいろお話をしてくれたのです。最初に、こんな時は、悲しくないのか、嬉しくないのか、腹が立たないのか、楽しくないのか、いろいろな例を挙げて質問してくれたのです。当時の私は、全て、なんとも思わないという答えだったので、彼女は、こういう時には、嬉しいものだ、怒るものだ、悲しいものだ、楽しいものだ、と喜怒哀楽を教えてくれたのです。そこで、完全に後天的に、感情を手に入れることができたのです。あの先生に教わらなかったら、どんな人間になっていたか、わかりません。人生の恩師です。頭の方は、10万人の一人の天才と言われていましたから、後天的にであっても、感情を手に入れてなかったら、サイコパスシリアルキラーになっていた可能性も濃厚です。きっと、完全犯罪で、ろくでもなかった両親を抹殺していたことでしょう。もっとも、祖父の莫大な遺産と、茨木駅から歩いて10分の三千坪の土地も手に入れていたと思いますが、人間としては、そうならなかったことを、神様に感謝します。今の人生が、サヴァン症候群由来の超越的演算による予測の結果、最も幸福になるものでしたから。黒猫2匹、ヤマトとニコ、仲良く元気です。
Apr 17, 2025
昨日のブログと共通する部分もあるのですが、リタイヤ後の過ごし方だけに限定してみます。とは言っても、普段の生活については、基本的には変わりはありません。つまり、5時過ぎに起床し、猫に餌をあげます。仕事があった時は、5時だったのですが、今は仕事がありませんから、時々7時ごろまで寝坊することもあります。で、猫の食事が終わると、家の掃除にとりかかります。私は、掃除機とモップ掛けを担当しますが、2階建て5LDKプラストイレ2か所、浴室脱衣室、ウォークインクローゼットと面積的には約40坪あり、モップもドライとウェットをかけますから、結構時間がかかります。前後するのですが、お風呂の残り湯の有効利用で、庭と畑の水撒き、庭のビオトープの管理もありますから、終わると早くても7時半ぐらいです。出遅れると8時半から9時になることもあります。冬は、ビオトープの金魚と水草の保護のために、防寒のための蓋をしていますから、更に時間がかかります。私が掃除と水運びをしている間に、妻は、炊事と庭に設けたバードサンクチュアリーの餌と水替えをしています。食事後、天気が良ければサイクリングに出かけます。昨年後半から、変形8の字で12キロのコースを走っており、途中のスーパーでトイレ休憩とともに買い物をしたりしますから、1時間15分ぐらいかかっています。戻って来ると、10時半から11時半で、猫と人間の昼食が12時なので、それまでの間は、庭仕事をしたり、ネットサーフィンをしたりして過ごします。午後は、ネットサーフィンとともに、40年間の膨大な原稿の蓄積の校正をしたりして過ごします。今は、ユーチューブでただで音楽が聴けますから、音楽を聴きながらが増えました。夕方に、朝同様庭の水撒きやビオトープの管理をして、今の時期だと防寒対策もして終えたら5時で、猫の夕食です。猫の夕食の片付けが終わると、人間の夕食になります。人間の夕食の片づけが終わると、7時半ぐらいで、入浴して、その後洗濯をしています。特別な場合の他は、風呂の残り湯は、洗濯には使っていません。外に干し終わると、またネットサーフィンと原稿校正をして、就寝は11時半頃になります。我が家、あまり外出も外食もしませんから、基本的には、この日課の繰り返しになります。今日は元旦でしたから、初日の出が拝めました。木が大きくなって、朝日が見えにくくなりました。
Jan 1, 2025
仕事からリタイヤしてから、毎日12キロもサイクリングできるぐらい元気は元気ですし、働かないのはもったいないとふと思ってしまう俊一郎でしたが、考えてみると、できるからと言っていつまでも仕事していたら、若い人たちに迷惑です。ただ彼、仕事は全てやり散らかしたところがあり、今まで担当した仕事、マニュアルまで作って引継ぎしたものの、後任者がまともに引き継いでくれたことがほとんどありませんでした。要は、後任者がだめだっただけなのですが、それだからなおさら、リタイヤする時には、「本当に辞めていいのですか。」と人事部に念を押したのです。人事部長は、「後任をきちっと揃えますから大丈夫です。」と断言したからさっさと辞めた、とはいえ、定年退職後、継続雇用5年に1年プラスして6年も働いたのですが。で、彼が退職した後どうなったかと言うと、彼の仕事を3人に分配して引き継いだものの、3人のうち一人は全然やる気なし、もう一人は「こんな仕事やってられるか。」と捨て台詞を残して辞めてしまったため、普通に仕事をしてくれたのは残った一人だけ。結局まともに引き継がれなかったのは、現役の時同様でした。元の取引先からは、「戻って来てもらえませんか。」と個人的に打診がありましたが、6年も継続雇用で仕事したわけで、その後は会社が判断することですからと、断りました。では、リタイヤ後の彼が何をしているかと言えば、幸い、家を建てたのが田舎で、2回にわたって隣の土地を買い増したため、3百坪を超える広い土地がありますから、その土地を手入れする暇ができたわけで、元が原野の庭を畑にしたり、森にしたりして楽しんでいます。また、彼の場合、若い頃に書き散らかした前世記憶の原稿類の整理も、仕事の代わりにすることになりました。彼、大学の頃から、論文を書く時にはその何倍も無関係の読書をする習慣があり、暇になった今は、図書館に通って借りまくって来て、一日1冊ペースで本も読んでいます。これ、笑えることに、加齢による短期記憶の衰えなのか、しばしば同じ本を2回借りるようになりました。しかも、何十ページか読んでから、ようやく気付いたりもするのです。本人は、全く速読しているつもりはありませんが、どうやら常人の3倍ぐらいのスピードで読んでいるようですから、若い頃と違って、頭脳の能力が衰えた結果、読み散らかしたら、内容をちゃんと記憶していないのです。まあ、これはこれで、「二度楽しめると考えれば、暇はあるから、悪くはない。」と、妻の美奈子さんには負け惜しみを言っています。その美奈子さん、夫がリタイヤしてからのマイブームは、彼女も読書なのですが、旦那と違って漫画とその原作小説が主なので、最初は、ブックオフに行って、古本を安く買って来て読んでいたら、その古古本が大量に溜ってきたため、またブックオフに売ったのですが、いまだに細かい字を苦も無く読む俊一郎君と違って、老眼鏡が必要な状況になりましたから、紙の書籍ではなく、拡大できる電子書籍に変わりました。最初は、10.5インチの大きめのタブレットを夫に買ってもらって、電子書籍で漫画や小説を読むことになったのですが、容量の問題も生じましたから、更に画面の大きな12インチのタブレットを買い増してもらって、もっぱらそちらを愛用しています。電子書籍ですから、読書としては、夫と共通の趣味と言えないことも無いのですが、好みのジャンルはあまり共通しておらず、美奈子さん、俊一郎君みたいに難しい小説は読みません。また、俊一郎君は、電子書籍より紙の書籍を好みますから、なおさら共通しません。しかし、俊一郎君は、漫画も読みますし、近年は、漫画は電子書籍で読んでいますから、特に異世界漫画のジャンルは、夫婦共通するのですが、残念ながら、読む速さが全く違いますから、一緒に読むわけには行かず、結局、俊一郎君は高性能のパソコン、美奈子さんはタブレットと、完全な棲み分けができ上ってしまいました。美奈子さんとしては、一番切実な問題は、リタイヤした夫の俊一郎君が、いつまで元気で生きていてくれるか、なのですが、元々、感情に欠陥がある俊一郎君ですから、彼女が、夫に先に死なれたら後が面倒だから、私が先に死にたいと公言しているものの、その裏にある、純粋に夫に長生きして欲しいとう愛情は、全く理解できないのです。愛情を含めての感情欠陥なら、何故全く迷わずに田舎の高卒の自分と結婚してくれたのかが疑問だったのですが、彼に聞いても、「美奈子と結婚して、この家に住んている現在の映像を、45年前には幻視していたから、それを実現させるように生きて来たもので、美奈子は、大切にして面倒を見る対象としての唯一の女性なのだ。」という理解不能な答えしか返ってきません。大体45年前って、まだ交際もしていない時のことなのです。でも、初めて会った時には、「今日、未来の妻に会った。」と日記に書いているぐらいですから、超能力としか言いようがありませんが、他の女性には目もくれなかったことも事実でしたから、信用するしかありません。美奈子さんは、大変感情豊かで家庭的な女性なので、サヴァン症候群の感情欠陥人間である俊一郎君のことは、本質的に理解できないのです。でも、彼が、自分よりも頭がいい、堅実、酒に飲まれない、と結婚相手の条件として考えていた三つを満たしましたし、結婚してみると、家事育児にも理解ある家庭的な所には更に好感が持てました。不思議だったのは、普通の男性なら、女性と交際するにあたっては、絶対性欲が伴うものだと思っていたのですが、彼の場合は、全くその意味での下心を示さなかったのです。しかも、どんな女性に対してもだったのです。ですから、大変な紳士であり、浮気とは無縁というよりも、妻となった美奈子さん以外の女性には、全く目もくれませんでした。還暦過ぎて、美奈子さんが痛みを感じるようになったためにセックスレスになったのですが、その時になって、ようやく聞いて見ました。「あなたって、私が苦痛だと言ったらあっさりセックスレスになってくれたし、それでなくても、女性とセックスしたいって下心を、誰に対しても全く感じさせなかったんだけど、本当のところはどうだったの。」その答えがまた、何故結婚してくれたのと言う問いの答えと同様の不可解なものでした。「ああ、セックスすべき相手だとおもったのは美奈子だけだったから、女性に対して下心を持つ必要を感じなかっただけだ。」確かにそのとおりで、大学4年の時には、スタイル抜群の彼女が居たことも大学の同級生から聞きましたし、2年生の時には7人の女子大生と付き合っていたという話も聞きましたが、それなのにセックスはおろか、キスさえしなかったことも聞けました。美奈子さんは、たとえ夫の俊一郎君が居ても、いい男を見れば、それなりにいいなと思うぐらいにはノーマルですから、そんな彼は、感情欠陥以上に理解不能なのです。悔し紛れに、何故自分だけなのかと聞いたら、「美奈子は、前々世の愛人で、セックスしたことがある相手だからかな。」と、更に理解不能に陥るような答えが返ってきました。「前世で関係があった相手としかセックスできないってことなの。」と食い下がったら、しばらく考えてからうなずきました。「そうだな。それだけの縁がある相手しかその気にならない。だから、今までの前世でセックスした相手は、それぞれの前世で、妻や愛人だった合計3人というか、三つの魂の持ち主だけだな。」一体何と答えてよいのやら、わかりません。「あっそう。」答えに窮して素っ気なく答えると、更に追い打ちが来ました。「その中でも、9割以上が美奈子の前世だから、他の二人とのセックスは、滅多にないな。」複数の前世記憶を持つ彼にしか、理解できそうにはありませんから、更に悔し紛れに確かめてみました。「父親の幽霊に娘を助けてくれって頼まれた、摩耶美紀子さんは、どうだったの。」もう25年前のことになりますが、大学卒業時の元彼女であった摩耶美紀子さんの父親の幽霊が、俊一郎君の夢に出てきて、「娘を助けてくれ。」と頼んだことがあったのです。何を今更と思いつつ、化けて出る相手も違うのでは、と思ったのですが、縁があればそのうち現れるだろうと思っていると、半年後に、俊一郎君の予想通り?美紀子さんと偶然再会したのです。しかし、その時の彼女は、大学生の時の健康的な美女だったのが見る影もなくやせ衰えており、医師から余命1か月と言われた状況だったのです。「美紀子さんは、ツインソウル、魂の双子の片割れだったせいか、セックスする相手ではなかった。だから、全くその気にならなかった。」とは言うものの、その後3年間にわたって、半年から1年に1回デートする関係ではあったのです。「それでも、会い続けたのは何故。」何度も聞いた質問ですが、答えは同じでした。「父親の幽霊に頼まれたから、できるだけ長生きさせてあげようと思った。それだけだ。」3年で計4回だけのデートに終わったのですが、その時に全然その気にならなかったのか、確かめてみました。「全くその気にならなかったの。」すると、面白い言い訳が返ってきました。「うん。僕は、ガリガリにやせ衰えた女性は、生理的に受け付けないんだ。だから、僕よりもはるかに優れた頭脳の持ち主であった彼女と高尚な会話ができるという餌がなければ、会うことも無かっただろう。」考えてみると、美奈子さん自身は、最近少し太り気味ではありますが、ずっと健康的な体形でした。結局彼は、美紀子さんの余命1か月を、3年までは延長させたのです。「どうやって延命させたのよ。」これも、何度か聞いた質問です。「僕の波動を伝えて、彼女の生気を補った。」これ、更に不思議なのですが、何と、再会した時に彼がプレゼントしたトルマリンのブレスレットを通じて、彼女に生気を供給したと言うのです。しかし、3年たって、そのブレスレットが粉々に砕け散ったのです。ショックを受けた美紀子さんは、泣きながら彼に電話をかけてきたので、生気を込めた代用のブレスレットを送ったのですが、もう肉体的に生きるのは限界だと諦めたのか、死期を察したのか、ブレスレットを受け取ったと思われる日に、彼女はそのブレスレットを着用せず、目の前に置いた状態で亡くなっていたのです。霊感のせいなのか、俊一郎君には、美紀子さんが死んだことまで伝わったのですが、完全に成仏したようで、その後、彼女の幽霊が現れることはありませんでした。「私に対しては、あなたの生気を伝えられないのよね。」皮肉を込めて言うと、俊一郎君は、真面目に答えました。「美奈子とは、波動が違うから、できない。」確かに美紀子さんに対したような遠隔治療はできませんが、彼女が子宮筋腫の破裂で死にかけた時には、当時はまだ携帯電話が一般的でなかった時代でしたから、夫にも119にも知らせることができなかったのに、虫の知らせで察したらしく、仕事を放り出して帰って来て、出血で死にかけていた美奈子さんを病院に運んで助け、手術の後、病院でしばらく手を握ることで生気を供給していましたから、波動は違っても、直接触れることでそれなりに生気を伝えることはできたようです。俊一郎君がセックスできる候補者は、他にも二人居ることになりますから、確かめてみました。「じゃあ、数少ない例外の二人の転生が現れたら、その人とあなたは、セックスできるのかしら。」その答えも、変なものでした。「僕自身は、今でも全くセックスする機能は衰えていないから、そんな相手が現れたら、可能性はあるな。しかし、他にも条件がある。」普通の男性なら、喜んで浮気しそうなものですが、そうではないのです。「何よ、条件って。」「まず、相手が許し、かつ望んでくれること。」「まずって、他にも条件があるの。」「セックスが、苦痛にならないこと。」言われてみれば、「痛い。」と言ったら、簡単に諦めてくれたところを見ると、事実のようです。でも、そんな相手が現れたら浮気するぞ、と宣言しているようなものです。「それって、浮気って言わない。」「言えるな。」悪びれずに堂々と言うところが、彼の腹の立つところです。「あなたには、倫理なんて、あってなきがごときものなのね。」俊一郎君、さらっと答えました。「自分が本当に大切にすべき相手だと思えば、婚姻関係になくても大切にする。その手段として、セックスをすることもありうる。ただ、それだけだ。」「変な言い訳ね。」「僕には、複数の前世記憶とともに魂同士の関係がわかるから、それを大切にする。倫理よりも、ソウルメイトとしての運命が大切という感じかな。でも、現世で美奈子以外に運命の相手に巡り合うことがあるかどうかは、わからない。」「じゃあ、もしそんな相手が現れたら、浮気するのね。」すると俊一郎君、笑い出しました。「あり得るというだけで、浮気すると言っているわけではない。大体、相手があることだから、その相手が許し、のぞんでくれなければ、成立しない。」サヴァンの彼には、心情と言うか、感情と言うかが欠けています。その代り、霊感的なものが存在して、倫理ではなく、その感覚で判断しているわけです。「じゃあ、そんな未来は幻視したことないの。」「今のところは、無さそうだ。」無さそうだ、とは、彼にしては曖昧です。「絶対あり得ないって、わけでもないのね。」「そうだな。しかし、近年未来の映像を幻視することは少なくなったから、その分余命も短くなっているのかもしれない。」言われてみると、異世界小説の一つに登場する未来を幻視する女性が、彼と全く同じことを言っていました。「まあ、いいわ。せいぜい、長生きしてちょうだい。私一人の年金額じゃあ、絶対暮らしていけないから。」確かに、年間百万単位で退職金やマンションを売ってもうけたお金を取り崩しています。「そこまで長生きするかどうかはわからないけど、お金がなくなって惨めな思いをすることの無いようにお願いしたいわ。」すると、都合の良い答えが返ってきました。「ああ、まだ売るものはあるし、お金に困る未来を幻視したことは一度もないから、大丈夫だろう。」「それまでに、ピンコロで死ねることを神様にお願いするわ。」「いや、どうせなら、豊かな老後を送っていけることをお願いしておいてくれ。」言われてみると、そのとおりです。「そうね。だから、あなたも元気で長生きしてね。」「同じ内容を、返しておこう。」俊一郎君、人間的な心情には欠けるところはありますが、言うことは正論なのです。さて、どこまで長生きできるのか、まあ、努力はしてみることにした美奈子さんでした。恐らく8月2日生まれで、乳母チビニャンに育てられ、12月2日に保護した黒猫ニコ、先住のヤマトと仲良く暮らしています。薄情なことに、乳母のチビニャンが心配して見に来ても、ニコはでんでんむしなんです。
Dec 31, 2024
続きになります。美奈子、夫俊一郎が、妙なお祓いをすることと前世の関係を確かめることにしました。「あなた、陰陽道流のお祓いをするけど、あれも前世記憶由来なのよね。」俊一郎、軽くうなずきました。「そうだな。ただ、陰陽道風だが、必ずしも、陰陽師の前世記憶とは、関連しない。」「そうね、バイオリンと違って、前世人格は登場しないわよね。」前世人格の奇行を聞かされた後ですから、美奈子は、確かめました。「ああ、もう一応この人格に固定された後だったからか、お祓い、除霊に関しては、前世記憶由来ではありそうだが、現人格による意識的なものだ。」しかし、前世記憶が関係していて、かつ、自分でコントロールできるのですから、漫画のように都合のよい話です。「それこそ、前世記憶を活かしていることになるのでは。あなた、前世記憶は余り役立たないって言ってたけど。」俊一郎自身は、余り役立っているという自覚はありません。「うーん。でも、お祓いや除霊って、日常的に起こることじゃないだろ。」言われてみると、そのとおりです。「確かにそうだけど、異能よね。超能力っていうか。」俊一郎、少し首を傾げました。「だから、日常的じゃないし、たまたま、霊能力と関係して引きずり出した前世記憶というのが真相だ。」「でも、それって、その必要が生じたんでしょ。」普通に考えればそうなるはずなのですが、俊一郎、うーんとうなりました。「僕自身の場合、必ずしも必要だったわけではないんだよ。」美奈子、その意味はわかりました。「そうよね。あなたって、めっちゃくちゃ強いもんね。」俊一郎の霊力はけた外れで、そんじょそこらの悪霊は、近寄ることさえできないのです。「だから、他人に憑いた霊とか、地縛霊を供養してあげようと言う時には役立つけど、そんなことは滅多にないし、僕自身は、はねつけるだけで事足りる。」言われてみれば、一番霊感がある長男博は、父の背後には強力な守護神がついていて、守護霊と違って、光しか見えないと話してくれたことがありました。「そうか。あなたには、守護神さまと、イージスがあるもんね。じゃあ、何故お祓いや除霊することになったの。」面倒なことを嫌う、彼らしくありません。「霊から頼まれたからだな。」そう言えば、彼は、元カノ摩耶美紀子さんの父親の幽霊から、娘を助けてくれと頼まれたこともありました。「摩耶美紀子さんの時、みたいなものだったの。」「いや、最初は、勝尾寺のお墓で般若心経唱えていたら、わさわさといっぱい霊が寄って来たから、もっと他の、少し強力な供養方法はないかいなと思っていたら、前世でこんなことやったなと思い出した。」彼の供養法、陰陽道よりも密教系で、現世では、阿含宗の霊供養法に一番近いとのことでした。「それで、何やらよくわからないことやってみたわけ。」「そう。霊たちのリクエストにお応えして、やってみました。」そうそう、以前聞いたこともありましたが、彼の供養法には、マイナーな観音様が出て来たのです。「聞いたことも無い観音様が出て来たわね。」「そう。準提観音さまって、前世記憶を元に唱えた呪文のような真言を調べて、初めて知った。」知らなかったはずなのに、その真言を唱えたとは、不思議なことです。「知らないはずだから、そうなると、前世記憶よね。」「そうとしか、言いようがない。オン、シヤレイ、シユレイ、ジユンテイ、ソワカって、前世記憶らしきものを元に唱えたから、これって何の呪文かいなと思って調べて、ようやく準提観音さまの真言と判明した。」「それって、陰陽道と関係あったの。」夫俊一郎の前世の一つは、かなり有名な陰陽師だったらしいので、そうなのかなと思って聞いて見ました。「正直言うと、わからない。ただ、陰陽道と密教って、実際は密接に関連していたのだろうと、僕は思っている。」準提観音さまって、正直言って聞いたこともありませんでしたから、マイナーです。だから、その信仰を探れば陰陽道との関連もわかるのではないかと美奈子は思いました。「準提観音さまの信仰を調べてみれば、その辺の何らかの関連性がわかるのでは。」俊一郎の答えは、意外なものでした。「そちらを探っていくと、浮かび上がって来たのは、何と、弘法大師空海さまだった。」「えっ、えらい大物じゃないの。」美奈子、そんな大物につながるとは思っていませんでした。「空海さま、高野山を開くときに、僧房の次に準提堂を建立したほど、準提観音さまを重視していたと伝えられている。」「陰陽師じゃないんだ。」「そして、年代を考えてみると面白いのだが、空海は8世紀から9世紀の人物だが、安倍晴明は、ほぼ10世紀の人物で、100年の開きがある。」美奈子、安倍晴明と弘法大師空海は、元々、全然違うと思っていましたが、1世紀の開きがあることまでは知りませんでした。「でも、あなたは陰陽道は密教系だと言ったわよね。」「前世記憶の感覚から、仏教系で、密教から派生したものだろうと思っている。」彼の感覚は、直感に基づくものと、サヴァンの超越的分析能力によるものと二通りあるのです。「それって、直感の方なの、それとも、サヴァン分析によるものなの。」俊一郎、うーんとうなった後、しばらく沈黙しました。「直感プラス幻視だな。仏教的なものが大きいと思うが、準提観音さまについては、ヒンドゥー教の女神チャンディーから来ているという説もあり、チャンディーは、ドゥルガーだという説もあるから、そうだとすると、かなり怖い女神様だな。」美奈子、チャンディーもドゥルガーも知りません。「一体どんな女神様よ。」「ヒンドゥー教の神様って、全て二面性があるものなのだが、神話自体が、デーヴァ神族とアスラ神族の戦いが描かれている。」何だか、漫画のピグマリオを思い出す話です。「アスラって、阿修羅よね。」「まあ、そうかな。」「阿修羅っていうと、どうも魔族の印象があるわ。」「天界をめぐるデーヴァ神族とアスラ神族の戦いで、天界を追われたデーヴァ神族が、天界でもメジャーな大神であるシヴァとビシュヌに助けを求め、それに応じた神々からの光が集まって狂暴な戦いの女神チャンディーとなり、アスラ神族と戦ったとされているらしい。」「じゃあ、滅茶苦茶怖い女神様なんだ。」「それが、そうとも言えないのがインドの女神様で、チャンディーは、ドゥルガー女神と同じだと言われているが、ドゥルガー女神は、シヴァの妃であり、美の女神パールヴァティーでもあるとされているから、ややこしい。」美の女神と同一というのが、美奈子は信じられませんでした。「何やら、めちゃくちゃじゃないの。」「二面性で、それがさらに複雑になっていて、ドゥルガーが怒ると、更に変化して、殺戮の女神カーリーになるともされていて、チャンディーは、結局アスラ神族を滅ぼしたとされているから、恐ろしい女神さまなんだよ。」美奈子、準提観音さまがそんな恐ろしい観音様だったら、弘法大師空海はいったい何を考えて信仰の対象にしたのか、疑問でした。「何故空海さまは、そんな恐ろしい観音様を信仰したのかしら。」「だから、それは一面で、準提観音さまは、準提仏母とも言われていて、信仰すれば、たとえ妻子を持っていても、あらゆる仏法密法を成就できるという、大変都合の良い仏様なんだな。」美奈子、それを聞いて思わず笑ってしまいました。「いやあ、そんな観音様だったら、空海さまでも信仰したくなるわね。」「美の女神パールヴァティーさまはともかく、ドゥルガー女神と同一とは思えない女神だよ。」それなら、何となく夫が供養に使うのもわかりました。いや、彼の陰陽道的供養法が、元々は密教から来ているのだとしたら、空海さまの教えなのかもしれません。「あなたの供養法って、元は、空海さまの教えなのかしら。」「百年の時差があるが、陰陽道が準提観音さまを取り入れて、変わっていったものだったかもしれない。」そう言えば、夫と、霊能者の女性が、陰陽道の修行に関して、秘伝書の記載はあてにならない、元々の才能と霊能力の問題だと説で、意見が一致したことを思い出しました。「あなた、霊能力は素質がほとんどだと言ったわよね。」「そう思う。持って生まれた霊能力と共に、僕みたいに、前世記憶からその能力を利用する方法を知ることができることも、大きなアドバンテージかな。」「修行すればできる、というものでもないというわけね。」「何事も同じだが、元々の素質がない人は、何しても無駄だ。」「あなた、そんなこと言ったら、人々から石投げられるわよ。」俊一郎、笑って首を振りました。「他人には言わないよ。ただ、大学の同級生に、どうすれば運がよくなるだろうか、と聞かれて、根本的な考えを改められなかったら、転生してやり直さなければどうにもならないことがある、と答えたことはあったな。」美奈子は、思わず笑って答えました。「まあ、何と冷たい。」「真実とは、そんなものだ。」「成功の秘訣みたいなものは、ないの。」「まず、何を以って成功と言うのか、が問題だな。単純な成功哲学的議論なら、それなりの考え方が通用できるが、僕の幸福論とは相容れないだろう。」確かに、夫は自らの能力を敢えて使おうとせず、金儲けも出世もしようとしませんでした。まあ、私としても、余計な人付き合いせずに、家族と安穏と過ごせましたから、彼の幸福論に賛成です。「世間一般の理論からすれば、あなたが、恵まれた能力を活用しようとしなかった立ち回り方は、もったいないとしか言いようがないけど、リタイヤした今の生活を考えれば、これは確かに幸福よね。絶対、悪くはないわ。」「そう。誰かに言われたが、禅の名文句、「足るを知る。」だ。知れば、心の平穏を得ることができる。」美奈子は、その割り切りも、彼のサヴァンの超越的思考能力があるからこそできることだと思いました。「世の中、それがわかるほど賢い人は少ないの。」「それが、愚かというものだ。」愚かの一言とは、究極の冷たさです。「だから、みんな、あなたほど賢くはないの。」「下手な考え休むに似たりというが、自分がいいと思う生活をしている人の考えを真似ればよい。」そのとおりなのですが、世の中の多くの人は、他人を真似ることにも抵抗を感じることを、彼は理解しません。「だから、あなたほど賢くはないの。素直に真似ることすら、大多数の人には難しいの。」「それが、愚かというものだ。」美奈子、笑うしかありませんでした。「そうね。」「美奈子は、僕の考えに従った。それは、賢明だ。」そのとおりでしょう。「あなたは、私の理想だった。自分よりも、頭がいい、酒に飲まれない、無駄遣いもしない、おまけとして、外見も悪くないし、運動能力まで持っていたんですもの。感情が無いとは思わなかったけど、それにさえ目をつぶりゃ、理想の夫よ。」俊一郎にとっても、家事、育児に優れ、頭もよく、気が良く付く美奈子は、理想の妻でした。「僕にとっても、美奈子は理想の妻だ。ちゃんと、運命の神様が、幻視で示してくれた。」信じられないけど、そうでもなければ、俊一郎のような好条件の男が、一目で私を選んでくれるはずはないのです。「そうよね。普通、あなたぐらいのエリートなら、私みたいなど田舎の高卒で、容姿もとりたててよいわけではない女子を選ぶはずないものね。」俊一郎、笑いながら否定しました。「何度も言ったが、そんなことが大したアドバンテージになるものではない。美奈子は、磨けば光る玉だと思ったし、何よりも、ネガティブな心がほとんどなかったことが、最高の美点だった。その点、佐々木さんが、美奈子を見て、べた褒めしたのがよくわかる。」確かに、美奈子は、山菱組ヤクザで不動産会社社長の佐々木氏にべた褒めされ、高卒の彼女を、迷わず選んだ俊一郎は偉いと、俊一郎のことも褒めたのです。「今になって思うんだけど、佐々木さん、私みたいな妻が欲しかったんじゃないかしら。」俊一郎、珍しく悲しそうな笑顔をしました。「そのとおりだろうな。美奈子みたいな奥さんをもらっていれば、破滅しなかっただろう。」佐々木氏、その奥さんが俊一郎の母高子との仲を邪推して騒いだために神坂家と疎遠になった後、アル中親父になってしまい、会社が傾いた末、自分が経営していたナイトクラブのホステスと心中したことになっていました。「そうよね。でも、変な死に方だったわね。家族は大事にしていた人だったから、信じられなかった。」「実は、僕は、あの奥さんだと、佐々木氏が破滅するから、一度説教させてくれと彼に申し入れたことがあった。」これこそ、他人の家庭には立ち入らない俊一郎にしては、異例中の異例の申し出だったのです。「後の祭りよね。あなたが、他人の家庭に立ち入ろうとしたこと、それ自体が、悲劇の予言だったのにね。」「所詮、そんな運命だったと諦めるしかない。「俺も男や。自分のかあちゃんの落とし前は、自分でつける。」って強がっていたが、運命は変えられなかった。」喜怒哀楽に乏しく、自分のことには何が起こっても全く表情を変えない俊一郎が、悲しげな顔をしたのが、美奈子には驚きでした。「まあ、私としては、今のあなたの顔を見ることができただけで、幸せだわ。」俊一郎には、美奈子の言葉が全くわかりませんでした。「なんやそれは。」「うふふ、あなたの喜怒哀楽の表情って、他人が絡まないと見ることができませんからね。ええもん見せてもろうたわ。」「はあ。」それでも俊一郎は理解していないようでした。「あなたの悲しそうな顔って、超レアなのよ。それが見られたから、今日はラッキー。」「理解できない。」本人は、理解していないようでしたが、美奈子は満足でした。「そう言えば、佐々木氏って、本当は殺されたの。」確か、心中したと聞いた時、俊一郎は不可解だという顔で、それらしいことを匂わせたのです。「ああ、そう考えた方が、いろいろ納得できる。」「何故。それよりも、私は、佐々木さんが、女と心中したってことの方がどうしても信じられない。」確かに佐々木氏、およそ浮気などしそうにない人物でもあったのです。「あれ、伏線が四つあった。」「四つも。」「そう。一つは、面倒見ていた母を、奥さんが親戚一同を扇動して追い出したこと。」自分の息子の面倒もろくに見なかった高子でしたが、何故か一回り年下の佐々木氏の面倒はうまく見たのです。「二つ目は。」「母を追い出した結果、面倒見てくれる人が居なくなって、アル中になって、会社が傾いた。」「三つ目は。」「旦那の面倒も見られない奥さんが、子供から目を離した結果、佐々木氏が一番可愛がっていた長男を交通事故で亡くした。」これは、美奈子は初耳でしたから、驚きました。「えーっ、そんなことがあったの。」尚更、夫の予言を信じなかったから、そうなってしまったんだと思った美奈子でした。「そして四つ目は、恐らく佐々木氏自身は知らなかったのだろうが、彼が経営していたナイトクラブで、ヤクの取引があったらしいこと。」およそ、夫が知っているはずのないことです。「何故、知ってるの。」「今は離れているが、40年前までは僕のシマだったから、このところ毎年のように開催されている小中学校の同窓会で、いろいろ情報は得られたんだ。」「その結果が、心中につながったというわけ。」すると、俊一郎が今度は不気味な笑顔を見せましたから、美奈子は背筋が寒くなりました。「あーっ、今のはだめ。その顔は見たくない。」俊一郎のあの笑顔は、不吉なことの象徴だったのです。「今のでわかったかな。」美奈子、夫や佐々木氏には褒められたものの、夫ほどではない普通の頭で、必死に考えて、ある結論に達しました。「心中したホステスが、ヤクの密売やっていたのね。」「そうだろう。それなら、彼女がタマ取られた理由になる。」穏やかならぬ言葉です。「そんなことで、殺されるの。」「まともな組だと、ヤクはご法度だ。サツにつかまって騒ぎになるまえに粛清されることもある。」つまり、ホステスは、粛清されたことになります。「じゃあ、心中ではなくって、二人とも殺されたってことなのね。」「恐らく、佐々木氏は、会社が組関係の会社に迷惑をかけたことにプラスして、何らかの大きな失敗の落とし前、ホステスの女性は、ヤク密売の落とし前で、心中を装ってタマとられたのだろう。それが、一番納得のいく答えだ。」俊一郎はそう言いますが、恐ろしい話です。「そんな、それで殺されるって、ひどくない。」美奈子は抗議しましたが、俊一郎はさらっと流しました。「同時期に、山菱の組長が二人、暗殺されている。それにくらべれば、まだましだろう。」もう、夫の不気味な笑顔は見たくありませんから、美奈子は話を打ち切りました。「やめましょ。さあ、気分転換に、どこかにご飯食べに行きましょう。」今度はにっこり笑って、俊一郎は立ち上がると、美奈子の手を取りました。この笑顔は歓迎だが、本当に、無駄に紳士なんだからと思いつつ、美奈子は、夫の手を取って立ち上がった後、腕を組みました。
Nov 7, 2024
神坂美奈子、夫俊一郎が仕事から完全にリタイヤしたので、今まで聞けなかったことを、彼が死ぬまでに聞いておこうと考えました。「俊一郎さん、私とは多生の縁と言いましたし、前世記憶がはっきりしない私でも、確かにそれはある気はするんだけど、具体的には前世記憶と今のあなたの人格との関係はどうだったの。」実は俊一郎の前世記憶、多すぎることもあって、結構混乱しているのです。「そうだったな。僕の場合、前世記憶が多すぎて、それにつながる人格もあるから、現世でも、何段階かを経て、ようやく今の自分の人格にたどりついたっていうのが実態だ。」今の人格というからには、現世でも、それ以前の前世の人格が発現していたことになります。「へ、現世で生まれてからも、今の自分の人格じゃないときがあったの。」「ああ、小さい頃は、いろんな人格が出てきて滅茶苦茶だった。」そんな状態って、想像できません。「どう、滅茶苦茶だったの。」「いくつかの前世の自分の人格が、同時に現れて好き勝手に行動したって感じかな。」それでは、まるで狂人です。「そんなんで、まともな生活送れたの。」「いや。送れるわけないだろ。」「じゃ、どうしてたの。」素朴な疑問です。「幸い、10歳未満のできごとだから、子供だから、で済んだ面はあったっと思う。ただ、困ったことに、それぞれの人格が子供らしくない一種の天才だったから、少しややこしいことになった。」「どうややこしいことになったの。」「まず、3歳でバイオリン習わせたら、最初から上手に轢けてしまったんだな。」「天才少年じゃないの。」そうとしか言いようがありません。「うん。確かに天才少年だったんだと思うけど、それは、前世人格のお蔭だ。しかし、名バイオリニストだったのではないかと思われる前世人格にとっては、「こんな簡単な曲なんか、弾いてられるか。」と馬鹿にするわけだ。当時憶えているところでは、ユーモレスクという名曲があるのだが、あれ、簡単に弾けてしまったんだ。だからか、母は、教師に好きな曲を弾いてくださいと言われた時、私がユーモレスクを弾くと思ったのだろうが、前世人格は、その曲余り好きじゃないからって、別の曲を弾いたんだ。」贅沢な話ですが、きっと高子ばあさんは、怒ったであろう想像がつきました。「お母様、怒ったのね。」「そう。これ、今の自分の人格じゃないから、記憶がはっきりしないが、その人格にとっては、ユーモレスクよりもただの練習曲の方が面白かったのだろう。で、その晩も、殴る蹴るの虐待に遭った。」「可哀想な俊一郎さん、」彼のせいじゃないのに、と美奈子は思いましたが、それが、彼の日常だったのです。「更に困ったことに、天才って、努力しないでも何でもできる分、好き勝手にふるまうんだ。いくらうまくても、やる気ゼロで、全然練習しないから、それが原因で、毎晩母に虐待される日々だった。」俊一郎さんが、高子ばあさんから虐待されていたのは、そんな理由もあったんだ。「あのお母様なら、そうだったでしょうね。」「だから、たった3か月で、鈴木バイオリン教室の創始者の鈴木先生の前で演奏したり、海外の有名なバイオリニストの前で演奏したこともあったのだが、最後は、母が根負けして、1年で辞めさせた。」「もったいない。」それしか、言いようがありません。「他人事のような話だが、僕も凄くもったいなかったと思う。今の記憶にはほとんど反映されていないから、当時の写真見て、へー、こんなことあったんだって感じなのだが、想像するに、バイオリンの魔術師と言われた、ニコロ・パガニーニみたいな、妙な技巧を持った演奏だったらしい。」「って、どんな演奏だったの。」「パガニーニって、リストが編曲したピアノ曲の方がポピュラーになっちゃってるけど、数々の名曲を残している作曲家でもあり、バイオリンでは魔術師と言われた超絶技巧の持ち主だった。それで、彼の弦の把握方法は、ギターみたいだったとの言い伝えがある。そして、当時の僕も、そんな方法で弾いていたらしく、普通のバイオリニストと違って、弦を抑える左手の指を、単音ではなく、コードに合わせてパッパッと握り替えるだけで、指はほとんど震わせなかった。おぼろげな記憶だが、他のバイオリニストは、指を振るわせて把握するのに、僕が全く震わせないから、母があんな弾き方をしていいのか、と教師に食ってかかった。しかし教師は、僕がそれでも轢けてしまうものだから、困って、「とても3歳児とは信じられないほど、大変上手に弾けています。ですから、俊一郎君は、これでいいんだと思います。」と言い返した。それがカチンときたのか、その夜また、母にボコボコにされた。」「可哀想に。」それしか言う言葉が見つかりません。「ただ、パガニーニの演奏って、確かにうまいが、超絶技巧だけで、聴衆を感動させるような演奏ではなかったと言われているし、僕の演奏もそんなもので、幼児とは思えないうまさだが、それだけだったらしい。」夫の昔の話、聞けば聞くほど、才能はもったいないと思いつつも、本人が可哀想になります。「どうして、お母様が根負けして、天才バイオリニストを辞めさせたの。」「ああ、僕というか、天才バイオリニストの前世人格が、全く言うこと聞かなかったからだろう。しかも、僕というよりも正確には僕の中に居た天才バイオリニストの人格、この程度の曲で練習するのはばかばかしいと思っていたようで、母の言うことはでんでん無視だった。自分の言うこと聞かないけど、天才的にうまいんだから、母は虐待したが、それでも平気な顔で好き勝手に弾くから、最後は、彼女の自尊心の方が崩壊したんだと思うな。」それにしても、虐待されても、好き勝手に弾くのも凄いと思います。「虐待されても、高子お母様の言うことを聞かなかったってわけなの。」「そうらしい。天才バイオリニストの前世人格の方が、上手だったということだろう。大体、虐待されるのは僕で、天才バイオリニストの方は、知らんぷりしてれば痛くもかゆくも無かったんだよ。母は、母なりにいろいろな名手の演奏を研究して、僕にあてはめようとしたが、バイオリン名人の人格は、「形なんか関係ねえ、弾けりゃええんや。」と平然と無視した。」自尊心の塊のような高子ばあさんでしたから、自分が負けたと絶対認めたくなくて逃げたのだろうと美奈子は考えました。「なるほどね。高子お母様のことだから、絶対、息子に負けたような状態にはなりたくなかったのね。」異常に見えを張るところもあった母高子でしたから、美奈子の言うとおりだろうと思いました。「そんなもんだろう。」「ところで、元天才少年、今は、バイオリン全く弾けないのよね。」美奈子、夫がバイオリンを弾くのは見たことがありませんでした。「だから、その前世人格だったからできたことで、バイオリン弾かなくなったからか、その人格は消えてしまって、今の人格にはその技術が全く反映されていないから、弾けない。ただ、弦の把握法は、ギターに近かったようで、今でもギターの方なら少し弾ける。」家には、夫が大学の時に買ったというフォークギターがあるし、子供が生まれる前には少し弾いていたのを見た記憶はありました。しかし、彼がギターの練習をしたのは見たことが無く、ピックではなく指先だけでしたが、クラシックギターのように、そこそこ弾けていました。「ギターも、この40年間ほとんど弾いていないのでは。」「そうだな。でも、ギターの方が弾ける気はする。大学の時には、前世人格は皆ほとんど消えていたから、自分なりに練習して弾いたからだろう。」なるほど、そちらは、本人の独力だったから、残ったということだ。それなら、他の前世人格はどうだったのだろう。「他の人格は、どうだったの。」「バイオリン辞めても、絶対音感は生まれつきだからか、そのままで、安易にピアノに転向したんだけど、今度はピアノの天才の人格が出てきて、バイオリンほどではないものの、そこそこ弾いてくれた。そして、この人格の方が温和で、音楽を、と言うよりも、音を楽しんで弾いていた。そのせいか、面白いことに、僕が、いや、そのピアニストの人格というべきなのかな、ピアノを弾いていたら、時々小鳥が寄って来て聞き入っていた。」それも、凄いお話です。「凄い。鳥を魅了したんだ。」「そう。後に父の知人にあげたら、一家が交通事故死して放置されて餓死するという可哀想なことになってしまった文鳥のピイは、演奏に聞き入って、そのまま我が家に居ついた鳥だった。」それでも、高子ばあさんの虐待は止まなかったのです。「それでも、虐待は続いたのね。」「そうだな。バイオリンの時は、自分なりに研究して、特に名手ヤッシャ・ハイフェッツのレコード聞いて、僕の演奏と比較して意見しようとしたほどの情熱を持っていたのだが、それが通らなかったからか、そんな情熱は醒めたようで、練習しない、さぼる、だけで、いくら上手く轢いても、問答無用にボコボコにされるようになったな。」ひどい、としか言いようがありません。「ピアノも、天才的に弾けたのでしょう。」「うん。そちらの人格は、演奏はバイオリンほど上手ではなかったが、それでも音大の教授から、十万人に一人の音感を持った天才とほめられた。」「それなのに、まだボコボコにされてたの。」可哀想過ぎです。「うん。ただ、この頃になると、母は、二重人格みたいになっていたな。」「って言うと。」「問答無用で殴る蹴るの暴行するくせに、その後必ず、別人のように、優しく、僕を抱きしめたんだ。それで僕は、ああ、この人にはジキルとハイドがいるんだ、と納得して諦めた。」それでも、虐待は止まず、結局は、息子の折角の才能を活かそうとしなかったのですから、ひどい母親です。「ひどいとしか言いようがないお母様だけど、それでも虐待を止めなかったの。」「うん。でも、今思うに、当時は、学歴詐称がばれて一流商社をクビになったのに、嘘しかつかない父との関係が無茶苦茶になりつつあったから、僕は、母のストレス発散のサンドバッグみたいなものだったんだと思う。」自分の子供をストレス発散の道具にするなんて、人間じゃない、鬼です。「余計ひどいじゃないの。」「そうだな。偶然なんだろうが、僕に対する虐待は、今の人格が主体になるまで続いたよ。」つまり、前世人格が出ている間は、虐待を続けたことになりますから、呆れるしかありません。「でも、あなた、今でもピアノは弾けるようだけど、全然天才じゃなくなってるわね。」俊一郎、今でもピアノは弾けるようですし、子供たちにはちゃんと教えることもできていましたが、弾けるというだけで、特にうまいと言えるほどのレベルではなくなっていました。「ああ、ピアノの天才の人格は、皮肉なことに、母から虐待されなくなったら消えたみたいだったな。それから、ピアノって、指の鍛錬していないと、弾けなくなるよ。」美奈子は、ピアノを全く弾けませんから、それは知りませんでした。「そうなんだ。確かに、あなたは今では1年に何回かしか弾いていないけど、ほとんど指を動かす練習だけで、名曲はほとんど聞いてないわ。結婚前は結構弾いてくれたのに、結婚してからは、ほとんど弾いてくれなくなった。」その通りで、子供たちに教えていた時にはまだ弾いていましたが、子供たちが巣立って行った今や、3か月に1回レベルで、名曲は全く弾かなくなっていました。「あはは、確かに名曲は弾いていないな。思い起こせば、京丹波で、ジュ・トゥ・ブを弾いた時は良かったな。」美奈子、思い出すと、恥ずかしくて、顔を真っ赤にしました。「弾いて聞かせてくれて、聞いたことがある曲だったから、曲名を聞いたのよね。」「そう。ジュ・トゥ・ブと答えたら、何て意味って聞き返したよね。」「そう。それで…。」お前が欲しいって意味と聞いたもので、美奈子、一瞬で発情して、彼をグランドピアノの下に押し倒して自分からセックスを求めたのでした。「あんな情熱的なセックスは、あの時だけだったかな。」「もう。余計なこと思い出して。」でも、俊一郎の言うとおり、結婚直前の頃で、京丹波の家で二人っきりになりましたから、新婚旅行に行ったような状態だったのです。「まあ、その後いろいろあったけど、今こうして居られるから、僕は、幸せだ。」「私もよ。」美奈子も幸せだと思っていましたが、話題を戻すことにしました。高子ばあさんの虐待に遭いつつも、いろいろな方面で天才だった夫ですから、彼の前世は天才だらけだったのでしょう。「他の前世人格は、どうだったの。」「小学校の低学年の時には、超越的な演算能力があった。」今でも、67歳の年の割には暗算能力は高そうですが、大したものではありません。「それも、今は無さそうね。」「そう。これも、面白い。」「どう。」「当時の僕の演算には、プロセスが存在しなかった。」「っちゅうと。」「テストの問題見ただけで、答えをさらさらと書いて行った。途中の段階が存在しないし、自分で考えたと言う感覚もなかった。」これも、天才です。「天才だけど、それが、何故、だめになったの。」「一つは、日本的教育の弊害だな。」「どういうこと。」「正答を即座に出せる能力よりも、そこに至るプロセスが大事だなんて教育になってしまったからだ。」言われてみると、バイオリンと同じで、弾ければいい、正しい答えを出せればいいのです。「それで、できなくなった理由は。」「小学校3年までの先生は、天才だで済んだし、一瞬で正解を導き出す才能を高く評価してくれたのだが、4年生になる時に先生が変わると、その先生が疑ったんだな。こんなに簡単に答えが出るはずがないとね。確かに、回答を見て書いているぐらいの感覚だった。当時は、3桁の加減乗除は、即答だったからな。」先生の気持ちもわからないではありませんが、それができるのなら、天才と認めてやればいいだけです。「天才認定して、真似できませんって放って置けば良かっただけなのに。」「そう思うよ、途中は無いのかというから、正直に「ない。」と答えたら、「途中の方が大事なんだ。」と叱られた。すると、その人格が、天才でもない教師に自分の能力を疑われたと、へそまげて居なくなったから、できなくなった。とはいっても、普通の優等生に戻っただけだったが。」「もったいない。でも、もっとあったの。」「いろいろあったような気もするが、10歳の時に祖父が亡くなったのが一つの契機になって、現在の自分の人格が主体になったら、前世人格のやりたい放題はなくなった。」どうなったのか、イメージが湧きませんから、聞いてみました。「どこがどう変わったのよ。」「そうだなあ、天才ながら社会不適合の問題児から、品行方正学業優秀の模範生に変わったって感じだったかな。」美奈子は理解しました。なるほど、それで、高子ばあさんが文句をつけられなくなって、虐待がなくなった面もあったであろうことを。「なるほど、それで、お母様の虐待が、ようやくなくなったのね。」「そうだね。」でも、夫は、今でも物理法則を無視するようなことさえ簡単にやってしまいますから、前世人格がなくなっても、何でもできそうです。「あなた、それでも十分桁違いの天才だったんじゃない。」「ああ、ある面スケールは違っていたと思うが、サヴァンのせいか、全然自分のやる気がなかったから、実力を見せることはなかった。」小学校の頃は、スポーツ全くダメだったと聞きましたから、確かめてみました。「67歳の今でもスポーツ万能のあなたは、何時出現したの。」「僕の能力の中で、本当は凄かったのだろうけど、全く生かさなかったのが、運動能力だな。」美奈子が知っているのは、就職してから後のことですが、西都大学卒なら、ひ弱で、眼鏡かけてて、スポーツはできないに違いないという大方の予想を全く裏切って、目もいいし、走らせても速いし、学歴だけでなく、スポーツ万能でも話題になったのです。「そうね。スポーツの方は、まさかあれほどできるとは思われてはいなかったみたいだったけど、一応サッカー部だったから、スポーツもできたのよね、凄い新人が来たって話題にはなっていたわ。そう言えば、あなた、家柄もいいんでしょ。」「ああ、父方は、武家の薩摩の島津本家と土佐の山内家の傍系、母方は、公家の藤原家直系だから、確かに由緒正しい血統だ。」「そうよ。その家柄でも、あなたはいい所のボンボンだから、田舎の高卒のあなたには縁のない人よ、とぼろくそに言われたのよ。」ところが、俊一郎は、美奈子を一目で見抜いたのです。「僕は、入社式の後のあいさつ回りで美奈子を一目見て、ああ、将来の妻めっけと喜んだ。4月1日の日記にも書いてある。」美奈子、結婚した半年後だったか、夫の日記を盗み読みしたら、本当に書いてありましたから、信じるしかありません。「そうだったのね。私は、あなたが入社してくると聞かされた時に、他の女性陣からは、「ど田舎の高卒のあんたには縁のないエリートよ。」と馬鹿にされていたから、私には縁のない人だと思っていたわ。だから、まさかあなたが夫になるなんて、全然予想もできなかった。」美奈子、話題の高学歴ぼんぼんの俊一郎が、自分の夫になるとは、想像することさえできませんでしたが、彼が、自分を注目していることは感じていました。「でも、シンクロニシティーの連続。面白かっただろ。」美奈子、それは妙に印象に残ったのです。「将来の妻めっけだったからね。」「そんなもん、私にゃ全然わからないから、えっ、何故こんなに出会うのかしらって思っただけだったわ。」「でも、面白いように続いたもんね。」言われてみるとその通りで、俊一郎が入社してきて以来、美奈子に注目していることを感じだだけでなく、信じられないぐらいいろいろなシチュエーションで、彼に出会ったのです。「そうなのよね。ほんと、縁は感じたわ。あいさつ回りの時にも、私の顔をじっと見て、にこっと微笑んでくれたでしょう。」まだ付き合っても居ないどころか、ほとんど会話すらしたことがない時に、お互いが、普通ならまず乗ることのない丸ノ内線の車内でばったり出会った時なんか、えっ、何故あなたがここに居るのって思ったもん。」「あはは、確かにそうだ。僕も、普通なら絶対乗らない路線だったもんな。」美奈子は、他社へのお使いの帰りで、俊一郎は、初めて行った得意先訪問の帰りだったのです。「縁というより、運命感じたわよ。」「そうだね。それから、僕がたまたま窓開けて外見たら、ビルの下から美奈子が見上げていて、目が合った時とかね。」「そう。あれも不思議だったけど、一度や二度じゃなかったから、本当に不思議だったわ。」二人は、不思議なぐらい出会い、特に目が合ったのです。俊一郎に至っては、美奈子が彼を見かけたら、絶対といっていいほど、振り向いて微笑んでくれたのです。「そうだったな。不思議なぐらい目が合った。」「それだけじゃないわ。あなた、私が見かけたら、後ろに目があるんじゃないかと思うほど振り向いて私を見たのよ。」「うん。熱視線を感じた。」茶化されて思わず笑ってしまった美奈子でしたが、他の男性たちと違って、下心のない、優しい視線だったのです。「もう。でも、あなたの視線って、全くいやらしさが無いものだった。」「だって、将来妻になる女性だって確信があったから、スケベ心で接する必要性を感じなかった。」「そうじゃないでしょ。あなたは、誰にも下心を持ったことがなかったでしょう。」「そうだな。」普通の男性は、とりたてて美女ではありませんでしたが、健康的で明るい美奈子に、もれなく下心のこもった視線を送ったのです。「それだけに、あなたとの巡り合いの縁、確かに信じたわ。一度や二度じゃなかったもん。しかも、この広い東京で、あなたとだけ出会うんだもの。だから、私も参加した渋谷での同期との飲み会の後。東京挟んで反対方向になるのに、4時間近く遠回りして、金町のマンションまで送って来てくれた夜、これこそ絶好の機会、いや、最初で最後の賭けだと、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、ラブレター書いたのよ。」美奈子、10月でしたから、俊一郎の入社後既に6か月たっていましたが、その飲み会の席で、初めて彼と個人的にいろいろ会話して、山形のど田舎の農家の娘で家柄もなにもないことも、高卒であることも、全く差別せず、よく気が付いて仕事も下手な男性社員よりもできると、自分のことを認めてくれたし、もしかしたら脈があるかもと思って、本当に思い切って、ラブレターを書いたのです。「うん。実は、美奈子からラブレターをもらえることを予知していたから、僕は、とても嬉しかったんだ。」それだけの縁がなければ、社内の女性たちに言われたように、俊一郎と私は、住む世界の違う人間であり、結ばれるはずがないと、あっさり諦めたはずでした。「私の逆ナン、受けてくれるのに、何時間考えたの。」当時、聞くに聞けませんでしたが、ラブレターを渡した翌日、ちゃんとOKの返事の手紙をくれたのでした。「5分、いや、3分かな。」彼のことだから、即断即決だったことは想像していましたが、3分とは想定外でした。「もう。カップラーメンみたいに簡単に決断したのね。私は、何時間も迷って、徹夜に近い状態で書いたラブレターだったのに。」「その美奈子の気持ちが伝わったから、快くOKできたと考えてくれ。」そう言ってもらえると、嬉しい美奈子でしたが、脱線したことに気付いたので、話を戻すことにしました。「そうそう、元はと言えば、前世記憶と人格の話だった。」「ああ、話したように、それぞれが天才ではあったが、今の自分にはほとんど反映されていない。だから、漫画みたいに、前世記憶があるからそのまま現世の能力につながるなんて都合のいいもんじゃない。」それでも、前世記憶がないよりは、絶対有利だと美奈子は思っていました。「それでも、得するでしょ。」「得したとまでは思えなかったけど、損はしなかったな。何よりも、周囲が僕を見る眼が違ったから。」それって、得なのでは。「絶対、得でしょうが。」「だから、漫画みたいに、現世の人格に能力が反映されていたら得だが、そうでもないから、それほどではない。しかし、周囲が天才と見るから、自然にそんな待遇をされ、結果的には、能力向上には役立っただろう。その程度だ。」夫はそう言いますが、私は、それこそ人生を送る上で、大変有利になる才能だと思いました。「あなたは、天才。何でもできるから、余り感じないだけよ。注目されるってだけでも、大きく違うものなのよ。」「へー、そんなもんなのか。」「そうなのよ。それが、持てる者の強みね。もっとも、天才のあなたには、能力のない人の悲しみ、ひがみ、妬み、嫉みは、理解できないでしょう。」「うん。今の自分ができないことなら、できるように考え、いや、できる人の考えを真似て、できるように努力すればよいだけだ。悲しみも、ひがみも、妬みも、嫉みも、理解不能だ。」それこそが、俊一郎が天才である秘訣なのです。「あなたは、前世人格がなくても、その考えができる。それだけで、十分天才なのよ。誰でもできると思ったら、大間違いよ。」俊一郎、そのことは理解していました。「そうだな。誰でもできることではないことは、理解していた。しかし、逆に言えば、そういったネガティブな感情こそが、できない人の共通点でもあるな。」「まあ、言われてみれば、そのとおりね。だから、ネガティブな面の少ない私を選んでくれたのでしょう。」俊一郎が、ど田舎の高卒の私を選んでくれたのは、私にはネガティブな感情が少ないからであることを、美奈子は理解していました。すると、彼は舌を出しました。「それも、結果論だな。ネガティブな感情が少ないから、美奈子とうまく行ったと言う方が真実で、美奈子を選んだこと自体は、今の暮らしを幻視したことによるものだ。」これは、以前から何度も聞かされていました。普通の男性なら、いや、普通の人間なら、そんな感情の問題よりも、容姿や能力だけでなく、家柄、財産までも含めて、それを恋愛感情に反映させて、結婚相手とすることを決断するものなのですが、彼の場合は、極端に言えば、未来を幻視したから、結婚相手は私だ、という感じで、そこには、全く迷いがなかっただけでなく、恋愛感情も、損得勘定もなかったのです。「あのねえ、私は、あなたのことを理解できるから、夫婦として44年間上手くやって来れたけど、普通の女性は、自分に恋し、愛してくれると思える相手で、かついろいろな条件も自分に有利だと思えるからこそ、結婚相手に選ぶものなのよ。」この辺は、サヴァンの俊一郎には理解不能なのです。「恋ってなあに。愛ってなあに。」茶化すような言い方をするので、思わず笑ってしまった美奈子でしたが、サヴァンの感情欠陥には、毎度呆れるのです。ただ、俊一郎の場合、単なる損得勘定ではなく、サヴァン症候群の物凄い演算能力の結果として、今の私との関係こそ最善の選択の結果であると結論づけて実現させることができたから、今の平穏な幸せがあるということは、否定できません。「そうね。あなたに、愛や恋を説いても無駄だわ。」「そう。無駄じゃ無駄じゃ。」ムーミンだったかで、「無駄じゃ、無駄じゃ。」を連呼する哲学者が居たことを思い出した美奈子、笑い出しました。「あはは、ムーミンに居たわ。」「そう。アニメではジャコウネズミさんになってたけど、本当はマスクラットさんと言うべきなんだって。」ジャコウネズミさんだとばかり思いこんでいた美奈子には、新たな知識でした。「え、そうだったの。でも、何であなたがそんなこと知ってるの。」「いや、ジャコウネズミって、鼻がとがっていて細いネズミなんだけど、ムーミンのあのキャラ、全然違うから変だなと思っていたんだ。すると、その後ムーミンのキャラクター紹介で、マスクラットが正しいとされていたから、なるほどと思った。」俊一郎、疑問はすぐ調べるところがあり、それが、こんな知識にもつながるのです。そう考えれば、これも天才である秘訣の一つとも言えるでしょう。「あなたは、やっぱり天才よ。」「そうか。ずっと言われ続けると、ありがたみも薄れるが。結局、言いたかったことは、前世記憶って、無いよりは面白いが、決して役に立つものではないということだ。」美奈子、夫の言葉に笑い出しました。「あなたが言っても、説得力無いわ。」「前世記憶って、漫画のように役立つもんじゃない。それが、僕の実感だ。」美奈子自身、時々、ああ、前世でこんなことがあったなと思うことはありましたが、夫の言うように、役立ったためしはありませんでした。「うん。それはよくわかるわ。」「役立つとすれば、現世人格が確立してから、前世記憶の経験を活用できれば、という条件付きだ。」では、大学以降のことなら、それが当てはまるのでしょう。「俊一郎さんの場合、むしろスポーツの才能はそちらになるでしょう。」「そうだな。自分で考えるようになってからだから。」結婚してから、夫が実はサッカーの名選手で、俊足かつフィールド全体を見ることができる視界を持っているらしいことを始めて知った美奈子でした。「私が知っている限りは、サッカーがうまいってことね。」「ああ、あれね、今だから言えるけど、むちゃくちゃ手抜きしてたんだよ。」それでも、会社のサッカー同好会では、初代のMVPでした。「じゃあ、真面目にやっていたら、どうなったのかしら。」「サッカーはチームプレイだから、一人だけ突出しても、ゲームにならない。強いて言えば、僕が一人でボール持って相手チーム全員を抜いて行けばよかったのかもしれないが、そこまでする意味はないと思ったから、しなかった。」「そう言えば、俊一郎さんって、運動自体全然しなかったと高子お母様は言ってたけど、それって、本当なの。」俊一郎、中学生までは、全く運動をしませんでしたから、周囲も、この子は勉強では天才だが、運動は全くできないと思い込んでいたのです。「本当だ。中学校まで、ほとんど運動しなかった。」「それなのに、高校の時には100メートル12秒台で走るなんてことがあり得るの。しかも、高校でも体育でサッカーをしただけで、運動部にも入っていなかったんでしょう。何かきっかけがあったの。」美奈子は、とても信じられませんでした。「ああ、特に運動をしたことはなかったな。元はと言えば、小学校6年の体育で、ポートボールって競技だったと思うんだけど、プレー中に、ふとひらめいたんだな。」「何を。」「コート全体を視野に入れると、今誰にパスすれば点を取れるか、鳥瞰することができたんだ。そして、僕が思った通りに前線にロングパスを通したら、受けた選手が点を取ってくれた。それで、ああ、体育のゲームも面白いものなのだなと気付くことができて、それから、運動にも興味が出て、その気になったら、走っても突然速くなった。」美奈子は、それは彼の超能力だと思っていました。「あなたって、気の持ちようで全く変わるじゃない。それも、一種の超能力よ。」「あはは、そうだ。「葬送のフリーレン」に出てくる性格の悪い女魔術師ユーベルの「大体何でも切れる魔法」を見て、ああ、これは僕だと思ったよ。」つまり、夫は、自分でできると思ったことなら、何でもできるのです。ユーベルの、「大体何でも切れる魔法。」は、自分が切れると思ったら、絶対切れないはずのものでも切れるという魔法で、常識どころか、全ての法則を無視して、切ってしまうことができるのです。逆に、俊一郎は、どれだけ簡単なことでも、やる気が起きなければ、できないのです。そう言えば、私と卓球してぼろ負けしたこともあったなあと、美奈子は思い出しました。「あなたって、ユーベルに限らず、葬送のフリーレンに出てくる魔術師たちと同じね。」「どういうことだ。」「魔術って、イメージすることからスタートするのでしょう。イメージできることはできるけど、イメージできないことはできないってことよ。」俊一郎、理解しました。「そのとおりだな。確かに、イメージできないことはできない代わりに、イメージできるというか、間違ってイメージしてしまったことでも、できてしまう。」俊一郎が、軽くけっただけで自分の左足を折ったり、指でつついただけでベンツのエンブレムを折ったりしたことだと思い付いて、美奈子は笑ってしまいました。「そうよ。間違っても、悪いイメージを描いちゃダメなんだった、あなたは。」「僕には、イメージトレーニングは危険なんだ。」長くなったので、続く。画像は、我が家のシュウメイギクです。9月中旬から1か月半ぐらい咲いています。
Oct 24, 2024
淡路島往復2千キロ車の旅編で予告した別編です。私、京都府の京丹波町に、母の我儘で手に入れた末放棄された廃屋を1軒所有しています。母が買った時点で家として登記されてから82年経っていたので、登記が明治28年になりますが、それ以前からあったもののようですから、明治を通り越して江戸時代からあったものなのかもしれません。かやぶきの古民家で、母が買った時にトタン屋根をかぶせたのですが、昔の養蚕の器具や、農機具が屋根裏に放置されています。シロアリも食いまくっているのですが、阪神淡路大震災も北摂地震も平気で、家としては現在もちゃんと立っています。もう一軒も、もとはと言えば母の我儘で、私が中学生の時に、別荘が欲しいと言い出し、滋賀県と長野県に1軒ずつ別荘を買ったのです。滋賀県の別荘は、私が大学生になった時に売ったのですが、何年か前に見に行ったら、既に取り壊されて新しい大きな別荘が建っていました。今回見に行った長野県某村、某山麓の別荘も、結局5年ぐらいしか所有していなかったのですが、元は県が開発した別荘地で、当時は50軒ぐらい売り出されていたと記憶しています。県が開発しただけあって、上水道と排水路は確保されていましたから、とりあえず生活には困りませんでした。確かに夏は涼しくて快適でしたから、毎年避暑に行って、大学受験の勉強を、涼しい所ですることができたというメリットはあったのですが、大学入学以降は、毎年避暑というよりも家の手入れに行っていたようなもので、いろいろなところが傷みますから、ペンキ塗りやら壁の補修やらで、余り休んだ気にならなかった記憶があります。結局夏2か月ぐらいしか使い物にならない物凄い金食い虫でしたから、私が大学を卒業した時に嫌になった母が売り払ったのですが、確か1千万近い値で買って、400万で売った記憶があります。この別荘、私一人だけでですが、母の命により真冬に見に行ったことがありました。この時は、何度も命の危険を感じました。まず、真冬で積雪していましたから、別荘地の入り口から300メートルぐらいで通行止めとなり、別荘まで約3キロぐらい歩くことになったのです。着いたのが夕刻で、日没後でしたから、暗い中を歩いて行ったのです。今なら便利なヘッドランプがありますが、当時はそんなものはなく、小さな懐中電灯を持っていただけでした。しかし、私夜目が利きますから、懐中電灯は別荘に着くまで全く使いませんでした。そして、これは命の危険ではありませんが、歩いていたら、目の前にヤマドリが飛び出して来たのです。まあ、向うの方が驚いたのでしょうが、感情欠陥の私でも、珍しく驚きました。雪が舞う中別荘にたどり着くと、幸い電気も水道も使えましたから、一息ついて、2階のベランダに出てみました。何気なく空を見上げると、先ほどまで雪が舞っていたのが嘘のように、何と満天の星だったのです。これは、単純に感動しました。世の中にこんなきれいな星空があるのだと。67歳になる今まで、この時よりもきれいな星空は見たことがありません。これで安心してぐっすり眠ったのですが、翌朝がこれまた驚愕でした。起きてみたら、何と吹雪だったのです。家に居てもすることはありませんから、仕方がない帰るかと、滞在12時間で別荘を後にしたのですが、この時の私は、奇跡的な運に恵まれました。まず、別荘をスタートして100メートルぐらい進んだ時、吹雪ですから前がほとんど見えなかったのですが、何気なく立ち止まって足元を見ると、道路が崩れていたのです。あと一歩踏み出していたら、まあ、死にはしなかったでしょうが、数十メートル雪が積もった崖を滑落することにはなったでしょう。二つ目は、車まで戻ると、車の形がうっすらわかるぐらいに雪が積もっていたので、半分掘り出すような感じで除雪したのですが、幸いエンジンも一発でかかりました。それからが三つ目の幸運なのですが、何とその車、ケンメリスカイラインだったのですが、タイヤが全くのノーマルつまり夏タイヤ、しかもそのタイヤも5部山ぐらいしかなかったのです。当然スリップしますが、その辺は、地形を記憶する特技を生かして、上り坂になる地点は、ここら辺までこのスピードでいけば、惰力で何とか登れるだろうとか、このスピードで行けば、次の急カーブも曲がり切れるだろうとか、冷静に考えつつ慎重に運転し、無事下山できたのです。山の麓にあったガソリンスタンドで給油した時、屋根にまだ雪が積もっていましたから、店員に聞かれました。「兄ちゃん、雪積もってるけど、どこから来たんだい。」「うん、あの××山の上の方から。」その店員、私の車のナンバープレートとタイヤを確かめた後呆れていました。「大阪から来たんだろうけど、今○○○町でノーマルタイヤで走ってるドライバー一人もいないぞ。」でも、何とか無事帰れました。それで今回、長野の鹿教湯温泉に宿泊するついでに、その別荘がどうなったのか見に行ってみました。確かこの辺だったなあとまずはグーグルアースで見たのですが、木が茂ったためか発見できませんでした。それで当時の記憶を頼りに行ってみて、発見はできたのですが、これこそ廃墟になっていました。斜面に建てられた2階建てでしたが、壁には穴が開き、2階のバルコニーは崩落し、家全体が傾き、倒壊寸前の悲惨な状況でした。恐らく売った後、全く手入れされていなかったものと思われます。1階に玄関があって、浴室とトイレも1階にあったはずです。この建物、確か昭和48年に建てられていますから、51年しかたっていないのです。京丹波が登記から129年たっていますから、古くてもしっかり建てられたものは今でもちゃんと立っているわけです。また、もう一つショックだったのは、私は別荘の周りに、アカボシシャクナゲ、キリシマツツジ、銀露梅、金露梅、などいろいろな植物を植えたのです。買い取った人がみんな移植したわけではないと思うのですが、売った時点でかなり育っていたのに1本も残っていませんでした。正直に言います。別荘なんて買うものではありません。そんなお金があったら、ホテルに泊まった方がよほどリーゾナブルです。そのことが再確認できた今回の訪問でした。
Jun 7, 2024
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May 24, 2024
変な題名ですが、67歳の今になって、できるできないよりも、人生で何がしたかったのか、全然考えたことがなかったことに気付いたのです。これ、サヴァン症候群の超絶分析能力とも関係があるのかもしれませんが、いろいろな決断で、普通ならしないだろうというようなことを即決しつつ何となく過ごして来た私は、自分の人生がどうあるべきか、いや、どうしたいのか、今の今まで考えたことがなかったのです。別の言い方をすれば、今の自分は、人生のいろいろな分岐の中でも、一番幸せそうな未来と思った現在につながる分岐を選んで来たとも言えます。普通の、常識的な人生としては、最初にあらまほしき未来の目標を定めるのでしょうが、私の場合、未来でこうなっているという認識が先に来ていたのです。これって、ふざけた話ですが、私、目標を設定して、それに向かって努力するという行為とは無縁で、人生において、ほとんど努力をしたことがないのです。じゃあ、何でもできたのかと言われると、それも少し違っていて、確かにさほどというか、ほとんど努力しなくても大抵のことはできたのですが、これはできないと、予想、予知、幻視してしまったことに関しては、どんなに簡単そうなことも、できなかったのです。まあ、明らかに原因というか遠因があるものもあって、いまだに苦手なことの一つは、蝶結びなのですが、これ、2歳ぐらいの時に、当時はまだ紐靴が主流でしたから、母が結び方を教えようとしたのです。ところが、私自身は、反抗的というか、その時はよほどやりたくなかったらしく、まじめにやろうとしなかったもので、母は怒り狂って殴る蹴るの虐待に走ったのです。以前臨死体験の記事で触れましたが、私、一度三途の川を飛び越えて転生直前まで行って帰って来てから、普通なら死なないまでも重傷を負っていないとおかしいぐらいの暴行を受けても、ほとんど無傷でいられたので、当時は毎晩のように虐待されていましたが、ほぼ無傷ですから、誰も母の虐待に気付きませんでした。そんなもので、私の場合、できないのではなく、嫌なものは嫌で、蝶結びは今でも苦手なのです。同様に、昔小学校にあった雲梯で、猿みたいに手だけでぶらさがってひょいひょい進むのも苦手です。これまた変なもので、私、バランスは超人的にいいので、ぶら下がるのは苦手ですが、逆に雲梯の細い木の上をひょいひょい歩くことはできたのです。力がないわけではなく、今の私よりは小兵でしたが、五人張りの強弓を難なく引いて、京都の三十三間堂の通し矢では誰よりも遠くまで飛ばし、鎮西八郎為朝の再来と言われた弓道師範の祖父ほどではありませんが、決して大きくはない体の割には怪力の持ち主ですから、やろうと思えばぶら下がってひょいひょい進むことぐらいはできたはずなのです。でも、真理といえば真理ですが、やりたくないものはできないわけです。時々困るのは、物理的にはあり得ないようなことも、できそうな気がするとできてしまうことです。私、35年間メルセデスベンツを愛用しているのですが、最初の3台は、スリーポインテッドスターのエンブレムがボンネットの先端に突っ立っていました。車両感覚をつかむうえも有効な優れものだったのですが、あのエンブレム、ぶつかっても折れないように、後ろに倒れてばねで元に戻るようにできているのです。それがある日、魔が差したというのか、触ったら折れそうな気がしてしまったのです。そんな時は、触らなければよいだけなのですが、ついつい人差し指の先でちょんと触れてしまったのです。次の瞬間、エンブレムが根元でぱきっと折れたのです。私が思わず悲鳴を上げたので、妻は何事かと思ったそうですが、きれいに折れていました。部品にすでも入っていたのではないかと疑いましたが、それでも折れるよりは倒れる、悪くとも曲がるはずで、ヤナセのサービスマンも、断面もきれいだからすが入っていたわけではなさそうだし、曲がることはあってもこんな風にきれいに折れるはずはないのだがと首を傾げていました。部品代は、6千数百円でしたが、折れた先だけ記念にとっておいたはずなのですが、行方不明です。実現したら困ることは考えない、それがエンブレムが折れた事件の教訓です。さて、この先どうやって生きて行こうか、今のところまだ予知していませんから、それも問題です。とりあえず、自転車も買い替えたし、元気で長生きを目指すことにしましょう。画像は、食っちゃ寝のヤマトです。外は寒いし、私も猫になりたい。
Feb 21, 2024
この3月末で仕事をリタイヤしました。まあ、仕事をしなくとも暮らしていける余裕はあったのですが、何にもしないのも暇なので、失業保険ならぬ高年齢給付金なるものがもらえるというので、ハローワークに行ってみました。昔の職安なのでしょうが、離職票をくれたのが5月の終わりで、6月初めに行ってみたのですが、たまたま行ったのが雨の火曜日だったせいか、割と閑散としていてラッキーではありました。ハローワークとしては、66歳以上は失業給付でややっこしいことはしないで済み、高年齢給付金を1回給付してお終いということと、私は食うに困っていないことは、服装と態度だけで、一目瞭然だったようで、登録だけして和やかにお話しして帰ってきました。登録する時に、「最低賃金で結構ですから、雇ってくれるなら働きます。」と答えておきましたが、周りを見ると、食うに困って来ている人たちばかりですから、ハローワークも私みたいな人間にかまっている余裕はないでしょう。まあ、見られてはいないと思いますが、ベンツでハローワークに乗り付けるのも、嫌味だったかしら。結果的には2週間待って、給付金277,100円をもらってお終い。求人登録は完了しましたから、働く気になったら、求人票見て申し込んでくださいというところでした。一応年齢不問という求人もたくさんありましたが、私でないといけないというのはなさそうですから、とりあえずは時々ネットをチェックするぐらいにしておきましょう。さて、リタイヤした後の生活ですが、仕事がなくなりましたから、まず日課が緩やかになりました。朝5時に起きなくてはならない必要性がなくなったからです。知らないと、何故5時、早すぎると言われそうですが、我が家のそれまでの日課は、夫婦で5時に起きて、私は元野良猫ヤマトに朝食を食べさせて、掃除機で掃除にかかります。妻は、洗濯物を干したり、片付けたりした後、庭に出て、野良猫と野鳥に餌と水を与えます。私は、掃除機の掃除を終えると、家中をモップ掛けします。最初はドライで、その後ウェットでやるのですが、40坪の家、夫婦二人には無駄に広いから大変です。大体掃除機とモップ掛けだけでも45分ぐらいかかります。掃除機ですが、以前は旧モデルのダイソン2台を併用していたのですが、火事があった時にシロカとマキタのポータブル掃除機を導入しました。当時は家じゅう煤だらけになって大変でしたから、毎日大掃除が、修理というか、大規模リフォームが完了するまで半年間続きました。ポータブル掃除機、コードレスで持ち運べるのは便利なのですが、シロカは吸引力はまずまずでしたが、1回使うと電池切れになりますし、固定用の部品に欠陥があり、一度取り換えてもらったのですが、また同じところが壊れて保証期間が切れたたので、そのままテープで貼って使っていました。マキタは吸引力はいまいちでしたが、紙パック式でもそこそこ使えました。丁度その時に、ジャパネットたかたの通販の下取り特価で、2万5千円引きになりましたから、真空パック用にしか使っていなかった古い紙パック式掃除機を下取りに出して、日立のパワーブーストサイクロンに買い替えました。この掃除機、ジャパネットたかたでも大変な人気商品だったのですが、使ってみてダイソンの旧モデルやマキタよりも吸引力はあるようでしたから、ダイソンの旧モデルの古い方も下取りに出して、日立2台、ダイソン1台、マキタ1台の4交代制で使っています。そんなに掃除しないといけないのかと言われそうですが、40坪あると、窓の開け閉めするだけなのですが、毎日相当量のほこりが取れます。火事の前には猫を最大28匹飼っていたのですが、多頭飼育の時は、ダイソンに毎日捨てないといけないぐらいの量のゴミとほこりがたまりましたから、それにくらべれば、1匹だけになった今はとても楽です。1匹ですから、猫の分は無視できますが、人間二人だけでも、結構ほこりは出るので、毎日の掃除は必要と感じています。とは言え、ダイソンの出番は1週間一度で、後は日立2台とマキタでローテーションを組んでいます。日立はサイクロンだし、ゴミ容器が透明なので、毎日のほこりの量がはっきりわかりますが、マキタは紙パック式であることと、中が見えないので、どれだけたまったのかわかりません。時々触って確かめるのですが、半年ぐらいはパックを交換しないで使えますから、日立ほどは吸っていないのでしょう。さすがにダイソンの吸引力は大きく、日立よりもゴミもほこりもとれますが、ゴミの入れ物自体が大きいので、1か月1回のゴミ捨てで済みます。モップ掛けも、使い捨てシートを使っていますから、楽です。ドライとウェットだけでなく、2週間に1回ぐらいは、ワックスシートも使っています。1時間で掃除が終わってお終いではなく、お風呂の残り湯を庭の水撒きとビオトープ(要は、小さな池で、我が家の庭には金魚とカエル用が6か所、鳥の水浴び場用に4か所水槽を置いています。)の給水に再利用しますから、お風呂からバケツでせっせと運びます。むしろ、この水運びが、日課のうちでは一番の重労働になります。作業を終えるには、二人で計1時間半ぐらいかかるのです。それから妻は朝食の用意にかかり、私はお湯を沸かしてお茶を用意します。日課の話題に戻りますと、仕事がなくなりましたから、通勤のタイムリミットがなくなり、5時起きをしなくても済むようになって、その分朝寝坊?も増えて、以前は7時には朝食を終えていたのですが、リタイヤ後は、1時間から2時間遅れもざらになっています。朝食後、歯磨きとトイレをすますと、とりあえず午前中の余暇になるのですが、リタイヤ後は運動不足で2か月で1~2キロ太ってしまいましたから、運動しようと、最初はウォーキングをしてみました。ウォーキング、悪くはないのですが、負荷が軽くて時間がかかりますから、仕事をしていた時に、広い事務所敷地内を移動するのに使っていた息子のおさがりのマウンテンバイクを再々活用し、近所の車の往来の少ない道路を選んで、3~7キロのコースを設定し、その日の気分でアレンジしつつサイクリングをすることにしました。当然雨降りの時は中止ですが、雨が降っていても30分ぐらいは止んでいるもので、この2か月で完全に休んだのは数日だけでした。このサイクリング、丁度700メートルぐらいはなれたところに最寄りのスーパーがありますから、開店時刻の9時半以降に立ち寄ることができる時刻に合わせて出発し、途中でエアコンが効いた室内で休憩したりちょこっと買い物したりしています。また、道路も今どき珍しい砂利道が1割ぐらいありますから、でこぼこに強いこの自転車に向いています。サイクリングから帰って来ると10時過ぎですから、外に出ているついでにちょこっと庭仕事しているとお昼になります。ちょこっと庭仕事も、庭が300坪以上ありますから、半端ではありません。半分は、宅地開発以前の姿に戻そうと、ささやぶや雑木林にしているのですが、周囲がみんな家になってきましたから、鳥だけでなく野生動物にとっても我が家は一種のサンクチュアリになりつつあります。そして、本来生えていた野草山草が絶滅寸前になっていましたから、保護してあげたら、勢いを盛り返していっぱいお花を見せてくれるようになりました。早春のフクジュソウ、カタクリ、イチリンソウから始まって、ムラサキハナナとムラサキケマンの群落の紫の塊ができたり、今はホタルブクロがいっぱいです。これからキキョウが咲き始め、秋にはフジバカマとヒヨドリソウが咲き、冬から翌年まではクリスマスローズが咲いて、一年中楽しませてくれています。そんな状態ですから、畑として活用しているのはほんの一部なのですが、それでも夫婦二人が食べるには十分な量の収穫が得られます。私、我が家で栽培するまでは、キュウリが苦手だったのですが、我が家のキュウリを食べてから好きになりました。あくがないというか、本当に新鮮な野菜という感じなのです。収穫量からみると、一番が車庫周辺にこの35年間で繁りまくったキウイです。収穫は大変ですが、車庫の屋根が完全に覆われていますから、日光を避けられ、温度も上がらず、車の塗装の傷み方が全然違うという副産物もあります。キウイ、秋から冬にかけて何千個もとれますから、翌年6月まで食べられます。収穫2番はハヤトウリで、寒さに弱いので栽培は少し難しいのですが、種ウリを寒くないところでうまく越冬させて4月ごろに芽と根を出させてから植え付けると、夏から秋に変わるころにわっと繁って花が咲いて、「千成ウリ」の別名のように、一株から百個ぐらい収穫できます。このウリ、市販品はあくがあるのが難点なのですが、我が家で栽培している分には、化学肥料を使っていないからなのか、あくがなくてサラダから炒め物まで万能に使えます。しかし、それでも皮膚の弱い人は、口の周りがかぶれたりすることもあるようです。トマトも、10本も植えておけば食べきれないほどとれますし、ニガウリも、二株ぐらい植えておけば、夫婦二人には十分な量とれます。家を建てた36年前は、那須塩原は野菜や卵が安くて助かっていたのですが、近年そのメリットが薄れ、野菜に限らず全てが大手スーパー価格になりましたから、家で野菜がとれることは大変助かっています。昼になると昼ごはんですが、11時半頃になるとヤマトが「まんまはまだか。」と騒ぎ始めます。この子は変わった猫で、ニャーとは鳴かないのです。ウルウルに近い声で、すりすりしに来て、あげないで放置すると、言葉ではなく本当に脛をかじるのです。で、毎食最優先で食事をもらうと、少し身繕い(いわゆる顔洗い)をした後、舌を出して寝ています。ヤマト、猫エイズ陽性で、保護した時には既に前歯がありませんでしたが、そのせいか、舌出しっぱなしでいることが多いのです。これ不気味で、口開けて、舌出して、仰向けになって寝ていると、生きているのか心配になります。昼過ぎは、このところ暑い日が多いので、室内でエアコンかけて静かにしています。私は、ブログやフェイスブックを更新して過ごしていますが、妻はなんと、ネットの漫画にはまっています。ユーチューブで合法なのかどうなのかわかりませんが、お金を払わなくても、いろいろな漫画を見ることができるのです。普通のコミックにしても、小説にしても、今や紙媒体ではなくなりつつあります。そのために、やや大判の高価な13インチぐらいのアンドロイドタブレットを妻に買ったのですが、私は、キーボードのないタブレットはだめで、見る時は、パソコンかスマホで見ています。時々昼寝していますが、16時すぎになると、夕方の水撒きとビオトープの水の補充をします。このところ、夕方に限らず蚊が凄いので、携帯用蚊取り線香をぶら下げて作業しています。また、暑いので、作業時とサイクリング時には、土木作業員が重宝しているファン付きの服も愛用しています。主に作業用に長そでを、サイクリング用に半そでを使っていますが、リチウムイオンバッテリー、3段階切り替えのファンを最強にしても5~6時間は使えます。17時近くになると、ヤマトが、晩飯じゃと騒ぎ始めます。猫時計はなかなか正確です。猫ごはんが終わって、人間のごはんは、18時過ぎで、終わると19時ごろになります。これぐらいの時間に出かけると、スーパーが処分価格というか安売りを始めますし、暑い日中に出かけるよりも道も空いていますし、一石二鳥なのです。帰ってくると20時半ぐらいで、入浴して就寝ですが、就寝前のこの時間帯も妻はネット漫画にはまっています。リタイヤして3か月が過ぎましたが、働かなくなったから丸々暇になるわけではなく、それなりにやることはあるものですから、決してのんびり悠々自適という感じではありません。とりあえず、無理して働く気はなくなりました。しかし、これ、我が家には金銭的な余裕があるからこそできるのです。年金だけで生活なんて不可能ですし、日本の年金制度、それだけで生活できるようには設計されていません。北欧は高福祉で暮らしやすいと誤解している人がいますが、消費税が3割、収入の6割を福祉のために取られてしまうのですから、どちらがよいかを考えると、私は、日本の方がよいと思います。事実、国際担当の時に知り合った欧米の人たちは、来日した時に口をそろえてこう言いました。「日本の方が幸福だ。」スウェーデンの人は、更にこう言いました。「収入の6割も取られるものだから、若者は国から逃げ出して、低福祉だが税負担の軽いスペインやポルトガルに行ってしまう。活気のない社会になってしまった。」日本は、国際的にも大変住みやすくていい国だと思います。ですから、現役の方は、老後のために、働いているうちに十分なたくわえを残すことを考えましょう。定額預金の利率を見て思わずゼロの数を数えてしまう昨今、資産運用なんて、微々たるものです。たまたま私は、不動産投資で退職金以上に稼げましたし、ドル定期でも300万ぐらい稼げましたが(これ、そのまま置いておけばあと100万ぐらい稼げましたから、もったいないことをしました。)、銀行が勧める資産運用は、正直年金の足しになるものではありません。むしろ、銀行が反対したのに、これからはインドがおもしろいと私が始めたインド投資の方が、一般の投資信託よりももうかっているのが現状なのです。あくまでも自分の責任で、財産を運用しましょう。
Jul 6, 2023
今日は、幸せのお話です。引き続き神坂夫妻に話してもらいましょう。美奈子は、常々夫が何が楽しくて生きているのか不思議なのですが、以前聞いた時には、「前世の課題の解決」とか、「神様から与えられた課題の解決」とか、ブルーハーツの歌みたいに「君が生きている今日」とか、訳の分からない回答でしたから、もう一度聞いてみることにしました。「あなた、前にも聞いたけど、何が楽しくて生きてるの。」すると、サヴァンらしい質問が返ってきました。「どんな意味の、どんな段階の、何を対象とした「楽しみ」かによって、回答は変わるな。」「もう。また難しいこと言う。」「いや、難しくはないと思うが。」サヴァンの彼ですから、論理的な質問でないと回答できないのです。「だから、あなたは何が楽しいの、いや、何が幸せなのって質問よ。」妻に言っても仕方ないので、現実で回答することにした一郎でした。「神坂一郎という人間と考えると、66歳を迎えた今でも、こうやって、妻の美奈子と平穏無事に、いや、余裕を持って生きていられること、それが幸せだな。」それでも十分抽象的です。「うー、あなたの幸福論はそうかもしれないけど、具体的には何が幸せなの。」「先ほどの何が楽しいかの問題に加えて、幸せの定義の問題も生じる。」言われてみるとその通りなのですが、これでは堂々巡りになりそうです。「だから、あなたにとって幸せってなあに。」彼、少し首を傾げながら答えました。「生命維持の根源から答えると、食べるものがあること。」まあ、間違ってはいませんし、彼、10歳の時にだったか、食べるものがない経験をしていますから、食べるものがある、それだけで本当に幸せだと思っているのです。美奈子としては、1週間同じ献立の食事を出しても文句ひとつ言わないどころか感謝しているような夫ですから、助かっているのが実情で、逆に自分の幸せとしては、食事に文句を言わない夫と結婚できたことと言えることに気付きました。「まあ、そのおかげで私は助かっているけど、それだけで幸せと言われると少しひっかかるわね。」すると、一郎少し付け加えました。「子供たちが巣立って、二人だけになって、平穏無事に暮らせていること、それ以上の幸せはない。」それも、夫にそう言ってもらえること以上に、それが真実であること、そのことは、自分にとっての幸せでもあるのですが、問題は、夫が全然幸せそうに見えないことでした。「そうね。そのとおりだわ。でも、あなたって、幸せっていうか、楽しさっていうか、快感というか、満足感というかの感じ方と表現が普通じゃない気がするの。」これまた、一郎には理解不能の意見です。「特に普通じゃないと感じたことはないが、どう普通じゃないと思う。」「そうね。欲望の問題かもしれないけど、例えば、優佳ちゃんみたいなナイスバディーの女の子と、山の中で二人っきりになったら、普通やりたくなるものじゃないの。そして、やることやって満足するものだと思うけど。」美奈子は、もし自分が男だったら、彼女を押し倒すとまでは行かなくても、抱きしめてキスぐらいはすると思いました。「それは、前にも答えたが、彼女には何故か欲望を感じなかった。それだけだ。」「何故かしら。」そちらの方が問題だと思って、聞き返すと、一郎は首を傾げながら答えました。「まず、サヴァンの予知では、彼女と結ばれることはない結果だった。だから、セックスして捨てることになったら彼女がかわいそうだし、結婚までプラトニックラブの約束を破ることにもなる。それが、彼女とセックスしなかった理由だ。」美奈子は、結ばれることがない、それなのに、結婚前提、結婚まではプラトニックラブでお付き合いお願いしますという事実上のプロポーズを受けるという矛盾した行動をとる夫も問題だと思いました。「あなた、事実上彼女のプロポーズを受けたのでしょう。」「そうだな。」悪びれずに肯定するところが、また、彼に腹の立つところです。「予知できないことを、いや、これもっと始末に悪いわ、そうならないことを知っていてプロポーズ受けるなんて、最低と思わない。」その過去があるからこそ、自分の幸せな今があることは否定できないのですが、何を思って優佳ちゃんと付き合ったのか、それがどうも不思議だし、いくらキスさえしなかったとはいえ、女の立場からすると許せない面がありました。「ああ、彼女が僕を受け入れるような未来に変化するなら結婚してもいいかなとは思ったし、それ以上に、僕と9か月過ごすことが彼女のためになると思った。だからこそ、それ以上になることはないと予知しながらも付き合った。今説明すると、そんな答えになるかな。」美奈子、夫は、行き当たりばったりのような感じで、自分なら絶対できないような思い切った決断をし、実行してしまうことを、この43年の結婚生活で実感していましたし、その決断が間違ったことはありませんでした。なにしろ、自分との結婚こそ、客観的に見れば最も思い切った決断であり、それを予知し、実行することの方がはるかに困難だと思われましたから。「優佳ちゃんとの9か月の交際が、私との結婚の前提ともなった。そうも言えるのかしら。」一郎は、あっさり認めました。「そう。彼女との過去がなければ、また、美紀子さんとの過去もなければ、今の美奈子との平穏な結婚生活もなかったということだ。」その結果、優佳ちゃんは何とか幸せになったようでしたが、美紀子さんは死んでしまったわけで、運命と言えばそれまでですが、その選択は大変厳しいものだったのではないかと思うのに、彼は、思い切ってではなく、むしろ何も考えていないのではないかとおもうぐらいあっさりと選択したのです。「ほんとにもう。私は幸いなことに幸せになったんだろうけど、あなたとかかわった人たちを考えると、恐ろしいものがあるわ。」「ああ、それはその通りだろう。」あっさりと認めるところが、夫の恐ろしいところでもあります。「そうよね。あなたの悪口言うと呪われるものね。」最初の恋人でありながら、何にもなしに終わった聖護院真智さんが見抜いたように、彼の悪口を言うと例外なく呪われるのです。「そう。僕のいないところで悪口を言うと呪われる。良くてちょっとした不運、怪我、悪いと大事故や重病、何人か死んでいる。」しかもその呪い、本当に、彼自身は全く関与しないところで起こるのです。「本当にあなたには関係ないの。」「僕の悪口だから、関係ないとは言えないけど、真智さんが見抜くまで、そんなことがあること自体、僕自身は全く関知していなかった。まして、僕はそんなこと望まない。」確かに彼は人の不幸を望みませんし、そんな彼の悪口で呪われるのはいまだに信じられないことでもありますから、美奈子は再度確かめました。「本当に本当なの。」「彼女が発見して、大学の学部の後輩たちに注意して、間接的に僕の耳に入ったから検証してみたのだが、本当だ。そして、彼女が知らないところでも、我が家の土地の処分にかかわった、事件屋、不動産ブローカー、暴力団組長と若頭、とその段階で既に4人死者が出ていた。当然ながら、僕は全く関与していない。」そのことは、以前にも聞いたことがありました。「ちょっとした怪我ぐらいなら偶然と考えることもできるけど、それほど重なると偶然とは言えないし、死人まで出るのは穏やかならないわ。大体、どうして死んだのよ。」「事件屋と不動産ブローカーは病死、暴力団組長と若頭は、抗争事件による暗殺。」これは穏やかならない問題ですから、彼女が気付いたきっかけをたずねました。「じゃあ、真智さんが気づいたのはどんな事件だったの。」「あはは、凄くありふれた事件だったから、真智さんでなければ気付かなかったかも知れない。」「つまりは、ちょっとしたことでしかなかったのね。」「うーん、ちょっとしたことと言うには結構大したこともあったがね。」「そもそも、何故悪口言われたのよ。」夫には、悪意と嫉妬の心自体が欠けているのですから、そんな人の悪口を言うのが不思議でした。「ああ、遠因としては、僕は、恐ろしく要領がいいんだよ。」それは、結婚してみてわかりました。のんびりしている、いや、むしろぐずぐずしているようにさえ見えるのですが、実際は、彼が一番仕事が速いのです。「それは、わかったわ。あなたが本当にぐずぐずしていることは、やらない方がいい結果になることでもあることはこの43年でよくわかったし。それより、なんで他人があなたの悪口言うのよ。いや、なんでそんな人たちにあなたが悪口言われないといけないのよ。」夫は、人付き合いの悪さは天下一品、友達も皆無。いや、友人というものを全く必要としない人間なのですから、何を好き好んでそんな彼の悪口を言うかなと、美奈子は疑問でした。「真智嬢が気づいたのは、僕があまりにも実験を早く片付けるものだから、「あいつずるしてるんやないか。」とか、「世の中不公平じゃ。」とか文句を垂れていた学生が、ことごとく不運な目にあったからなんだよ。」「どんな不運よ。」「一番最初は、自転車でこけて顔面負傷だったかな。それから、白衣をひっかけて実験試料をパーにするとか、洗浄したビーカーやフラスコが入った入れ物をひっくり返してうん万円単位の損害を研究室に与えたとか、車や自転車の鍵を無くしたとか、本当に大したことではなくても、妙に続いて起こったから、彼女がふと疑問に思って共通点を探ったら、僕の悪口だったというわけ。それで、「神坂先輩の悪口を言うことと、言った人が不運に見舞われることは、高度に有意な関係にあります。」と、分析結果を披露しつつみんなに注意してくれたんだ。大変優秀な彼女が、科学的と言うか数学的と言うかの分析をした結果だったし、事実、ちょっとした事件事故が頻発していたことは皆も認識していたものだから、その後は誰も僕の悪口は言わなくなったし、不運としか言いようがない事故の連鎖は、そこでぱったり途切れた。だから、彼女の言ったことが正しかったことも証明された。大学の方は、それでめでたしめでたしで終わったんだが、僕自身の私生活では、その後も、付き合わざるを得なくなった組関係の人たちや、就職してからの会社の先輩後輩にも犠牲者が出た。その中で一番かわいそうだったのは、親代わりを務めてくれた佐々木氏とその息子さんだ。」組関係や会社の人たちなら、彼は無用に嫉妬されていましたからわかるのですが、佐々木氏と息子さんは考えられません。「えっ、何故。あの人私のことをすごく気に入ってくれてたのに。それに、息子さんってまだ小学生だったでしょう。」「佐々木さんには、僕は面と向かって注意したんだ。「僕の悪口は言わないでください。言うなら、面と向かって言ってください。そうしないと、呪われます。」と。」「それなのに何故。」誠実であり、信用があり、予言者でもある夫の言葉を信用しなかったとしたら、それはそれで不思議です。「元は、彼の夫婦喧嘩だったんだ。それで、明らかに奥さんの方が悪いから、あなたが言っても聞き入れないなら、僕がお話をしましょうかと持ち掛けた。しかし彼は、「かあちゃんのことは、俺が何とかする。お前は出ないでくれ。」と断った。」他人のことには首を突っ込まない主義の夫ですから、そこまで言ったのは余程のことだったのだと思いました。「それで、どうなったの。」「当然、夫婦仲は更に悪くなった。ここで、大きな誤算が生じた。」美奈子、ピンときました。「あっ、息子さんがあなたの悪口言ったのね。」「そう。「お父さんとお母さんの仲が悪くなったのは、神坂さんと会ってからだ。神坂さんて悪い人だ。」って言ってしまったんだな。佐々木氏は大慌てで息子の口をふさごうとしたのだが、遅かった。」「で、どうなったの。」「息子さん本人と奥さんの不注意だったとしか言いようがないのだが、3日後に、当時まだ8歳だったと思ったが、彼の息子さんは、家の前で車に轢かれて死んでしまった。」ある面、物凄く因果応報的な結果になったことになります。「佐々木さんは。」もろヤクザの強面の人でしたが、子煩悩で優しい人でしたから、美奈子はそのことを知って悲しくなりました。「まあ、ショックだったんだと思うし、更に息子の死をめぐってのどうしようもない夫婦げんかも続いて、つい僕の悪口も出てしまったんだ。悪い時には悪いことが重なるもので、不動産業の方もうまく行かなくなって、最後は、副業で経営していたスナックのホステスと心中したことになっている。」夫が、「したことになっている。」と断ったからには、真相は違うはずです。「本当はどうだったのよ。」「佐々木氏、いくら奥さんともめていても、浮気をするタイプではなかったから、組関係でやばいことやって、恐らくそのホステスも恐らくヤクだったんだろうけど、やばいことやって、二人して消されたというのが真相だと思う。」全てを見通すような夫が言うからには、それが真相です。「怖い世界ね。」「そう。極道の世界、ヤクザの世界は、甘いもんやあらへん。」でも、夫は無事です。「あなたは、何故無事だったの。」「それは簡単だ。僕はヤクザを利用しようとはしなかった。両親は彼に正当な手数料を払って利用したが、僕は、友人としては付き合ったが、彼を利用しようとはしなかった。」でも、佐々木さんは、私のことを痛く気に入ってくれて、自分のマスタングを私のために貸してくれたり、夫の親代わりを務めてくれたり、親切にしてくれたのです。「親切にしてもらえたし、大分関わったような気もするけど。」「結婚して、仕事の関係で栃木に来てからは、佐々木さんとは切れてしまっただろう。」確かにそのとおりでした。「そうだったわね。私もそれ以降会っていない。」「おかしくなったのは、それからだったし、何といってもさげまんチャンピオンの母と関わったのが運の尽きよ。僕は、母と付き合うとロクな目に遭わないと注意していたのだが。」言われてみると、彼の母ですから、私にとっては義母なのですが、義父母が離婚した後、義母とかかわった男たち、離婚した義父だけは長生きしましたが、彼女と再婚しようとした男3人が3人とも、彼女にプロポーズして3年以内に皆病死してしまったということなのです。「お母さんと再婚しようとした男の人たち、皆死んだって言ってたわね。そうなると、あなたよりも、お母さんの呪いの方が強かったんじゃないの。」それは、彼も認めていました。「そうだよなあ。僕は全然付き合いなくなっていたしな。その可能性の方が大だ。でも、佐々木氏親子だけでなく、母にプロポーズした人間3人が立て続けに死んだんだから、週刊誌がかぎつけたら記事にされそうな内容だったな。」言われてみると、次々と婚約者を毒殺した女の記事が週刊誌を賑わしたこともありました。「毒殺したわけじゃないわよね。」「あはは、違うよ。3人とも病死だし、ただ単に運が悪かっただけだ。」でも、3人も続くと、偶然とは言えなくなります。「あなたの悪口と同じで、聖護院真智さんに、相関関係があると言われちゃうレベルなんじゃない。」「いや、彼女は自分で現認した結果だったし、母に絡んだ男たち、一人は当時既に73歳の爺だったし、他の二人は若かったが、母よりは少し年上だったし、三人ともガンだったと聞いているし、相関関係は否定できるだろう。逆に言えば、うちの母にかかわったらろくなことがない、そっちの相関関係の方がはっきりしている。」美奈子、もうどうでもよくなったので話を戻しました。「お母様のことは放っておいて、元に戻ると、何故あなたの悪口言うのかしらね。」元々、悪意、妬み嫉みとは無縁の夫なのですから、彼の悪口を言う人の気が知れません。「ああ。美奈子みたいに純真無垢なら、僕の悪口を言おうなんて考えないだろう。」純真無垢と言われると面映いものがありましたが、彼が私と結婚した理由の一つに、私が純真無垢であることを挙げていましたし、確かに私は、他人の悪口を言う気はしません。「悪口は嫌いよ。」「だから、美奈子はいい人なんだよ。」「元々、何故人の悪口言うのかしらね。言って得するものじゃないと思うんだけど。」美奈子は、むしろ損得の方を考えました。「心の貧しさかな。」余計わけがわからなくなったので、聞き返しました。「へ、何故。」「心の貧しい人ほど、正しいことを言われると、カチンと来るものなんだ。それで、反発して、「あいつは生意気だ。」「仕事する気がない。」「屁理屈こねる。」「言うこときかん。」なんて言うんだな。遠因としては、僕が飲みニケーションをしないこと、お世辞を全く言わないことと、無用な言い訳はしないこともあるかな。」「損したんじゃないの。」「いや、別に損したとは思わないな。むしろ、出世せずに助かったし、最後まで現場で仕事できた。」美奈子、悪口の例は、夫が陰で言われているものであろうことがわかりましたし、彼と結婚したら、自分も嫉妬されて「どうせ色仕掛けでひっかけたのよ。」とか、「田舎者のくせに。」とか、「高卒のくせに。」とか、「家柄もないくせに、不釣り合いよ。」とかめちゃくちゃ悪口言われたことがありました。「あなた、確かに上司に堂々と逆らうけど、屁理屈じゃなく、反論できないように理路整然と主張するものね。だから相手は反論のしようがなかったんじゃないの。」「確かにそうだな。面と向かって反論されたことはほとんどない。」「だから陰口叩かれるんだろうけど、所詮、悪意による嫉妬としか言いようがないわ。」「そうだな。つまりは、ここでも僕の鏡のスタンドが発動したと考えればわかりやすい。」そう言われると、美奈子も理解できました。彼は、悪意を鏡のように反射させますし、聞いたところによると、暴力も見事に返すそうで、彼を傷つけようとした人間は、偶然のように自分が傷つくのだそうです。「なるほど、鏡と考えるとわかりやすいわ。それでなくとも、あなたは物理学を無視した現象起こすし、肉体もあり得ないほど強靭だもんね。あなた殴ったら、自分の方が怪我するわ。」幼稚園の時にタクシーが足を轢いて行っても無傷でしたし、高校の時にはサッカーのゴールキーパーやって、手で軽く触れただけで、時間が止まったかのように強烈なシュートをぴたっと止めたし、強風にあおられた鉄の扉に指2本を挟まれても全く無傷でしたし、馬を扱い始めてからは、馬に蹴られても、踏まれても、倒れた馬に巻き込まれて腕を馬と鉄柱の間に挟まれても、馬の下敷きになっても無傷でしたし、確かにあり得ないほど強靭な肉体の持ち主なのです。「そう。おそらく、母に殺されかけた臨死体験の時に、神様のイギギ様がプレゼントしてくれた「普通の人間よりも丈夫な肉体」のお陰だろう。」彼、2歳の時に臨死体験をしているのですが、その時に転生を司るというイギギ様に、「このまま帰したら、虐待されて直ぐにまた舞い戻ってくることになるから、少し丈夫な体にしてあげよう。」と言われてその通りに超人的な肉体を授かっていたのです。それを思えば、彼の悪口は、神様を冒涜するようなものかもしれません。「そうか。あなたの悪口の呪いって、神様の怒りでもあるのかしら。」一郎美奈子夫婦の子供たちもかなり霊感があり、幽霊だけでなくいろいろなものが見える長男は、「お父さんって、普通の人と違って、背後霊じゃなく、光を背負っているんだよ。だから、もの凄く強力な守護霊か神様がついているよ。」と言いましたし、本当に神様がついているのかも知れません。「そんなことはどうでもいいし、会社とも縁が切れたから今更どうなろうが知ったことではない。」彼、一応親切なのですが、本当は、他人がどうなろうが知ったことではないというのが本質なのです。「そうね。会社と切れて気楽になったわね。でも、あなたってほかの会社の人たちや地元の人たちからは好かれていたし、絶大な信用があるんだから、不思議なものね。」確かに彼は、他の会社の人たちや地元では人気があり、今は地元自治会のボランティアを務めているのです。「ちゃんと僕を見て評価してくれる人には、親切にして返す。それだけだ。」これも鏡かなと思った美奈子でした。でも、美奈子は、そんな彼でしたから、会社の人たちと付き合いをしないで済んで大変ラッキーだったのです。彼女、東北の田舎出身だったせいか、両親や兄弟姉妹に酒乱が多く、酔っぱらいが大嫌いで、酒癖の悪くない人が理想でしたから、彼との結婚は、願ったり叶ったりだったのです。一郎、酒癖が悪くないというよりは全く酔いませんから、逆にばかばかしいと、会社の飲み会はほとんどパスし、仕事関係で酔っぱらいが家に押しかけて来ることが皆無だったことも美奈子には幸せだったのです。「まあ、何よりもあなたは家では全く飲まないし、我が家に酔っぱらいが全く来ないで済んだから、私もラッキーだったわ。」「僕がお金を使ったのは、車と家ぐらいか。」面白い話で、一郎は仕事でメンタルトレーニングの教官を務めることになった時に、自分自身の目標として、「いい家と車を手に入れること」を設定したのです。そして、1年後にはどちらも手に入れていましたから、彼の講義の裏付けともなり、信用の元にもなっていました。収拾つかなくなってきたから、続くかな。画像は、娘の母の日プレゼントを庭に植えたら大きくなったアジサイの花です。
Jul 1, 2023
暑くなったり寒くなったり那須は不安定なお天気です。流石に雪は降りませんが、朝は3度から4度で冬並みでした。さて、続きですが、今回は神坂夫婦の会話でいきます。神坂一郎は、ずっと気になっていたことがありました。「気になっていたのだが、もしかしたら死んだ母も前世記憶があったのかもしれない。」夫一郎の言葉に、美奈子は反論しました。「お母様、あなたの前世が婚約者だったのでしょう。」「そう。京都帝国大学の学生だったが、学徒動員で戦死した。」「もし、記憶があったら、あなたのことを執拗に虐待したりしないのでは。」夫から幼児の頃からの虐待と臨死体験の話を聞いていましたから、美奈子は信じられませんでした。一郎は、逆でそのために虐待したのではないかと思っていました。「母、おかしなことを言ったことがあったんだ。」「おかしなことって。」「一郎、あんたは前世もずっといい家の子供ばかりだったでしょうって、言ったことがあったんだ。」つまりは、夫だけでなく義母も前世を知っていたことになります。「そうだとしたら、余計変よ。そんな息子を虐待するなんて信じられない。」「単なる逆恨みなんだよ。」「逆恨みでも、虐待するなんておかしいわ。」美奈子は、義母高子の夫に対する虐待や悪行は、一言で言えば逆恨みかもしれませんが、人間として許せないと思っていました。「確かにおかしいんだ。母親が子供にすることじゃない。いや、人間のすることじゃない。萬屋錦之助さん演じた「破れ傘刀舟悪人狩り」の名セリフ、「てめえら人間じゃねえ!叩っ斬ってやる。」と何度も言いたくなったな。」それなのに、夫は、親孝行の息子を貫いて最後まで母の面倒を見たのです。「よく耐えたわね。」「やくざの佐々木さんにも、「俺だったら、たとえ自分のおふくろでもぶっ殺してたな。」と言われたが、そこは完全に割り切った。というよりも、サヴァンの予知に従って最善の選択をしただけだ。」美奈子も、サヴァンというよりも超能力者と言った方がよい夫のことだから、その通りなのだろうとは思いましたが、超越的なサヴァンの予知というよりも、夫には感情が欠けているからこそできたのだとも考えていました。「あなたには、普通の人間の感情が欠けているからこそできたんじゃないかしら。」「それもあるかな。大分昔に16歳の少年が、借金しまくって自分がバイトで稼いだ金にまで手を付けたりしたむちゃくちゃな母親を殺した事件があったが、僕は、いくらひどい母親でも、殺してしまったら自分のためにならないと冷静に判断しただけだ。」普通の人間には、そこまで割り切ることは難しいと常々美奈子は思っていました。「だから、感情が伴うと難しいんだって。大体あなたの両親、自分たちの離婚調停の時に、間に立ったあなたを悪者にしたんでしょう。それも信じられないわ。」夫の両親は、ろくに働きもせずに祖父母の莫大な遺産を全て浪費し、お金がなくなったらお互いに相手のせいにして離婚調停を始めたものの、義母の高子と義妹の君子は感情的になって怒鳴り散らし、対する義父の常和は、静かに応対したものの、被害者面して嘘をつきまくって、泣き真似までして調停委員をだまそうとしたため、話し合いにならなかったのです。そのため、調停委員から、唯一まともだった夫が、高子の代わりに調停に出席するように指名された経緯がありました。法律にも明るかった夫は、冷静沈着に調停を取り仕切って、調停委員にも弁護士にも称賛されたのですが、その親孝行息子が提案した財産分与の案を、両者承認して離婚届に調印して終わるはずが、最後の最後に二人して息子が悪いと言い出して調停をぶっ壊し、調停委員と弁護士を唖然とさせたのです。美奈子は、その話を聞いた時、とても理解できませんでした。「私、何度聞いても信じられないわ。孝行息子を悪者に仕立て上げたあなたのご両親のこと。」一郎は、まだ父の方が理解できると考えていました。「あれね、確かに僕も信じられなかったが、「一郎が生まれたから、妻は自分の方を向いてくれなくなった。こんなになったのも一郎のせいだ。」と最後に子供みたいに駄々をこねた父の方がまだ理解できたよ。母は、理屈も何もなく、「働かなかった夫が悪い。そんな夫にはびた一文渡さない。一郎が常和に味方して勝手に財産分与を決めた。一郎が悪い。」と言ったんだよ。弁護士も交えて私が公平に調整し、両親とも了承した案ではんこ押して終わりのはずだったのに、最後にちゃぶ台返しをされたんだな。僕としては、一番理解に苦しんだのは、両親ともに自分が築いた財産じゃなかったのに、自分が苦労して稼いだ財産であるかのように言いまくったことだったがね。全て貴尚じいちゃんが築いた財産だったのに。」「よく我慢したわね。」美奈子は、感情のない夫だからこそ、そんな目にあっても我慢できたのかなと思っていました。「ああ、調停委員も弁護士も呆れ果てていたよ。それで、最後にみんな僕のことは褒めてくれた。高名な裁判官だったという男性の調停委員は、「これほどお互い嘘をつくケースも少ないし、その上に最後の最後で、親孝行に面倒を見た息子のあなたに責任転嫁するとは、あり得ないことです。今後は、離婚訴訟になりますから、ちゃんと法に基づいて判断を行います。あとは、裁判官と弁護士さんにお任せしなさい。あなたは、下手な弁護士よりも調停委員よりもはるかに有能で、よくやってくれました。ご苦労様でした。」と労ってくれたよ。」それも信じられないような話ですが、サヴァンの夫があっさりと諦めたのも少し不可解でした。「それで、ぱっと手を切ったんだ。」「ああ。それもサヴァンの予知とも言えるかな。実際、僕が調整した財産分与が実現したよりも、結果的には良かったしね。」それも信じられない話です。「どうして、その方が良くなったのよ。」「ああ、父はね、僕が手を引いたら誰も自分の言うことを聞いてくれなくなることをよくわかっていたんだよ。だから、調停不調で僕が手を引いた時点で失踪した。だから、離婚訴訟には一度も出廷せず、すんなり、「離婚を認める。慰謝料は5千万円とする。」で、終結した。」そんなお金はもっていなかったはずだし、どうせもらえなかったのだろうと美奈子は確かめました。「慰謝料って、もらえなかったんでしょう。」「そう。行方不明のまんまだったから、請求のしようもなかったな。」まあ、義父に行く分の財産が残ったわけですから、夫が結果的には良かったということは理解できましたが、義父が夫を悪者にしようとしたことは理解できませんでした。「でも、それならなんであなたを悪者にしたのかしら。」それは、一郎にとっても謎ではありましたが、戦争のPTSDなのか、自分以上に感情のない父親でしたし、自己破壊願望みたいなものがあったのかなと考えていました。「父はね、戦争で乗っていた潜水艦と水雷艇を撃沈され、いずれも唯一の生き残りになったし、2回目は、小さな水雷艇を、そこまでする必要があったのかと思うぐらい滅茶苦茶に機銃掃射されて沈没したケースで、他の乗組員は、魚雷の誘爆に巻き込まれたこともあって、それこそ原型をとどめないぐらい悲惨な状況だったと言うよ。父も、銃弾が貫通した跡を見せてくれたけど、お腹に3センチぐらいの丸い跡が残っていた。米軍機の機銃の銃弾、しかもかなり大口径のものが貫通していたにもかかわらず、奇跡的に骨にも当たらず、内臓も全く損傷せず、命が助かったんだよ。2回とも唯一の生き残りで、死神と陰口は叩かれたらしいけど、一応、名誉の負傷の上、大学生だったから日本に生きて帰って来れたんだ。ところが、通常の学徒動員よりも1年以上早かった異例で特殊な動員の際に、報奨金とともに大学の学費も負担してくれる約束も、敗戦で反故にされたし、大学に復学しようとしたら、3歳までアメリカに居たため、実際よりも3歳若い戸籍の問題で、本人と認めてもらえず退学せざるを得なくなったんだ。出征前に海軍兵学校で半年間特別に訓練を受けたことも、自国の海軍すら知らなかった大型の潜水艦で出撃したことも、全て嘘にされてしまったんだ。それで、生きる目的を失ってしまったように思うよ。戦後、大学を卒業したと学歴詐称して一流商社に勤めていたんだけど、母と結婚してからも、嘘を嘘で固めざるを得なくなってしまった。最後にはばれて商社は首になったし、やったことは悪いけど、母よりも理解はできるな。」「それなら、可哀そうなお父様でもあったってわけね。」美奈子、義父の常和は、一郎と結婚する1年前には既に行方不明になっていましたから、会ったこともありませんでした。「いや、嘘つきまくりと子供や妻の金まで盗んだ父だったから、恐らく戦争のPTSDはあったんだろうけど、可哀そうとも思えないな。自業自得だ。」美奈子、最初に戻って義母が夫を散々虐待したことと前世の絡みを聞いてみました。「最初の話に戻るけど、お母様、婚約者の転生の息子を何故虐待したの。それは理解できないわ。」すると、一郎笑い出しました。「あはは、だからこれこそ本当の逆恨みなんだよ。」「だから、何で。どうして逆恨みなのよ。」美奈子には理解できませんでした。「つまりね、婚約者だった京都帝国大学の学生のあんたが死んじゃったから、私はこんなひどい人生になったのよ。あんたのせいよ。で、転生して息子になった僕を虐待したってわけ。」「理不尽よね。」それしか思いつきません。「そう。でも、僕は前世の記憶があって、自分も少しあったものだから、前世の僕のせいにしたかったんだろうと思う。」「つまり、あなたの前世の京大生の婚約者が戦死したから自分は不幸になった。だから、転生したあなたを虐待しても許されるって理屈なわけ。」こじつけではあるものの、母も前世記憶があったようなので、そんな考え方をしたのかなというのが彼の説でした。「そのとおり。言いがかりでしかないが、良く言えば前世の因縁かな。そう言えば、行方不明の父の生死が、思わぬことから判明したな。」「ああ、相続がらみで弁護士が調査してわかったのよね。」常和の親戚の一人が昨年亡くなって、巡り巡って夫にも相続の権利があったことから、弁護士が調べまくって、常和が12年前に亡くなっていたことが判明したのです。「ずっと行方不明で、とっくの昔に死んでるかと思っていたのに、母より1年長生きしていたのは意外だった。でも、弁護士が調べてくれた戸籍、めちゃくちゃだった。」そんなことがあるのか、美奈子は不思議でした。「えっ、戸籍がめちゃくちゃなんてことあるの。」「そう。こんなことが許されるのかと思うほど改ざんされていた。僕が祖父母や当人から聞いた限り、父の本当の母親は、他の兄弟たちとは別人だし、アメリカ生まれの父が、3歳で帰国した際に、祖父が継母である祖母と結婚し、何とその日に父が生まれたことになっていたんだ。だから、父は叔父たちとは異母兄弟だったのだが、戸籍上は継母の長男になっていたし、祖父がアメリカで結婚したことが、全く記載されていなかった。それに、土佐閥の祖父は、薩摩の島津家の娘と再婚したのだが、祖母の姓が祖父と入れ替わっていた。祖父、義和団の乱で北京に諸外国の外交官たちと立てこもって奮戦した外交官の一人だったらしいし、土佐閥の政治力もあったようだから、戸籍を改ざんすることができたんだろう。」美奈子には信じられない話です。「そんなこと許されるの。」「今なら絶対許されないだろうね。それに、父の継母となった祖母も島津家の娘さんだったから、そこでも政治力が働いたんだと思うよ。僕には祖母にあたる人で、叔父の家に同居していた時に何度か会っているんだが、当時既に60歳過ぎていたはずだが、なかなかの美女で、夫の死後旧姓の島津姓を名乗っていたから、あれって思った。そして、戸籍上は島津姓が全く出て来ないんだ。祖父と結婚した後の姓が結婚する時から戸籍に記載されていた。いやあ、帰国当日の入籍出産と言い、こんな改ざんが許されるのかって呆れたな。それに、叔父は、うちの両親が仲人になって結婚していたし、子供も居たはずなのに、そのことも記載されていなかった。まあ、これに関しては、叔父はその後離婚したのだろうし、その際に分籍したり除籍したり操作すれば不可能ではないが、とにかく不可解な戸籍だったよ。弁護士に教えてあげようかと思ったけど、それをやったら、折角確定させた相続人をまだ見直さないといけなくなる可能性もあったから、やめた。」「あなたは、相続放棄したんでしょう。」主張すれば何百万かもらえる話になっていましたが、夫は、最後に面倒を見ていた叔父がもらうべきであり、会ったことも無い自分がもらういわれはないと放棄していました。「ああ。家の方は介護した者がもらうべきだと思ったからね。両親の離婚で得た教訓の一つは、人間、自分で稼いだ財産しか身に付かないってことだったし。」夫は、両親がほぼ0にした財産を、自分で稼いで立て直し、今や300坪の土地と、広い家と、老後に十分な貯えまで用意できていますから、その教訓を生かし、自分で稼いだ財産を身に付けたのです。「そうね。あなたは自分で財産を築いたわ。」「両親の教訓を生かした。それだけだよ。」夫の言葉に、美奈子は義母が悔しがっていたことを思い出しました。「お母様、あなたが賢明なことがむしろ許せなかったのよ。「一郎は、本当に賢いのよね。」と皮肉っていたわ。」「ああ、父のことも、僕はもう気にもしていないと言ったら、「あんたは偉いわね。私は許せない。」って、むしろ悲しそうな顔してたな。二人とも、夫婦の意味を理解していなかったからな。」「夫婦の意味って。」美奈子は、何のことなのかわからなかったので聞き返しました。「夫婦である期間に稼いだ財産は、夫婦で分配すべきもので、たとえば、我が家では僕が働き、美奈子はほぼ専業主婦だったけど、今の財産は結婚した後で築いたものだから、もし分与する場合は折半だよ。両親は、二人とも、自分で稼いだ金じゃなかったのに、権利ばかり主張したし、僕が法の解釈を懇切丁寧に説明し、それに基づいて調停案を整えてやっても、結局はそれを蹴った。つまりは、夫婦の意味を理解していなかったわけだ。」神坂家、今住んでいる土地と家は一郎名義ですが、預金はちゃんと美奈子と折半していました。「要は、その常識を理解していなかったのね。」「そう。そんな人間を相手にしたのは疲れたね。」美奈子、義父母の離婚については夫から聞いていましたが、夫だからこそできた、いや、夫にしかできなかっただろうなとは思っていました。「あなたにしかできなかったと思うわ。」「そうそう。もう一つの教訓があったよ。」「なあに。」「できる人間がやる。できない人間にやらせてはいけない。」夫は、全て実戦で学んだからこそ、財産も知識も身に付いたのです。「あなたは賢明だし正しかった。だから今の幸せな私たちが居るのよ。」「そうだな。当然のことを、正しいことをした。それだけなのだが、人間なかなかそうはいかないもののようだ。」美奈子、義母が夫を虐待した理由は、そんなところにもあったのだろうと思いました。「あなたが正しすぎたから、お母様は虐待したとも言えそうね。」「そうかもしれない。僕のことを子供のころから、優れているが可愛くないって言ってた。」「そうね。お母様、私にも、「一郎は賢いけど可愛くない子供だった。」って言ってたわ。」「それも、虐待の一因だったのかも知れないな。」夫婦の会話、内容を変えて続きます。画像は、2年前に買い取った隣の土地に生えているお花です。今年初めて気付きましたが、どうやら外来植物のハタケニラらしく、駆除に苦労するとありました。今のところ、ひっそりと何株かしか咲いていませんから、とりあえず放っておくことにします。
May 13, 2023