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テーマ:洋楽(3281)
カテゴリ:外国語詞和訳
「Ai No Corrida」(1981年)。 声に出すと分かります。 「愛のコリーダ」。 日本映画(正確には日仏合作)に触発されて作られた曲です。 昭和の初め(1936年。2・26事件のあった年ですね)に起きた 「阿部定事件」。 共に好色だった、鰻屋の主人・石田吉蔵と女中の阿部定は 不倫が発覚し、逃避行(当時は"姦通罪"がありました)。 性交の合間に 戯れ半分(窒息する感覚と性の絶頂には通じる部分がある、らしいです) 本気半分(社会的に追い詰められていますからね)で 首を絞めるのを繰り返した結果 定は吉蔵を絞殺。 そして定は吉蔵の陰茎を手放したくないと考え 肉切り包丁で切り取り、逃亡します。 2日後、逮捕。 懲役6年の実刑が下り、5年で仮出所します(没年は不明ですが、長生きしたようです)。 事件発覚後から、この前代未聞の事件は世間の耳目を集め 阿部定フィーバーと言っていいような話題となります。 http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/abesada.htm そんな阿部定事件を元に、大島渚(監督・脚本)が作った 究極の性愛と死をテーマにした映画が 「愛のコリーダ」(1976年)。 日本では当時の映倫で2分間カット、さらに大きなボカシが入り 出版した関連本はわいせつ文書販売罪で起訴されます(無罪確定)。 一方、カンヌ映画祭で初公開された海外では大ヒット(もちろんノー・カット)。 衝撃と賞賛をもって受け入れられます。 http://www.sankei.co.jp/mov/review/2000/lempire_des/ http://www.geocities.jp/cine_graffiti/new_picture/2001/010201Colida2000.htm クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)もその1人。 この映画にインスパイアされて、「Ai No Corrida」を作りました。 と言っても、彼はプロデューサー(アレンジャー)で 作詞・作曲は、チャス・ジャンケルとケニー・ヤング。 演奏は"クインシー・ファミリー"と言っていい面々。 スティーヴ・ルカサー(g)、ルイス・ジョンソン(b)、ジョン・ロビンソン(dr、ルーファスのメンバー)、ポウリーニョ・ダ・コスタ(perc)、ハービー・ハンコック(key)、など。 メイン・ボーカルは秘蔵っ娘のパティ・オースティン。 収録されたアルバム『The Dude』は (1981年、日本盤のアルバム・タイトルは、もちろん『愛のコリーダ』) (試聴 http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=97343&GOODS_SORT_CD=101) 81年のグラミー賞では空前の12部門ノミネート。 http://www.eririn80.com/blacom/artist/quincyjones.html ジャンルとしては、「クロスオーバー」でしょうか。ジャズ・ロック・ファンクの"交叉"。 (後に"フュージョン"("融合")と呼ばれるようになるジャンルですね) 「愛のコリーダ」以外にも 「Just Once」「One Hundred Ways」(ジェイムス・イングラム大抜擢) 「ヴェラス」(ジャズ・ハーモニカのトゥーツ・シールマンスによるインストゥルメンタル) 「心の傷跡」「ラザマタズ」など とにかく名曲、豪華メンバーの名演奏ぞろいです。 プロデューサーが自分名義のアルバムを発表して (しかも作詞・作曲・演奏をせずにアレンジとプロデュースだけ担当して) これだけの成功を収めたのは空前絶後でしょうね。 1933年シカゴ生まれ。 18歳でジャズ・トランペット奏者としてデビュー。 その後アレンジャーとしてレイ・チャールズ(少年時代、彼に譜読みを教わったらしい)や サラ・ヴォーン、カウント・ベイシーなどを手掛ける。 そして映画音楽 (マイケル・ジャクソンとの出会いも、クインシーが音楽を手がけた映画にマイケルが出演した事がきっかけです) ポピュラー音楽に進出し 当時はクェストレーベル(頭文字のQですね)を創設し ジョージ・ベンソン『ギヴ・ミー・ザ・ナイト』や マイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』を手がけていた頃です。 (スティービー・ワンダーの最高傑作『キー・オブ・ライフ』にも影響を与えたそうです。彼ももちろん『The Dude』に参加しています) その後もマイケルの『スリラー』『バッド』 アフリカ救済チャリティ「We Are The World」 テレビドラマ「ルーツ」など(多すぎて、以下省略) 80年代は彼の時代だと言っていいかも知れません (何しろマイケルのアルバム3枚だけで1億枚前後) 黒人音楽の巨匠であり、史上もっとも成功したプロデューサーです。 http://www.hmv.co.jp/news/newsDetail.asp?newsnum=305230005 歌詞の和訳は、こちら。 追記その1 「Corrida」はスペイン語。意味は"闘牛"です。そこから"せめぎ合い" "攻防" といったニュアンスも生まれます。 http://members.jcom.home.ne.jp/nekohs/aino.htm (映画のチラシの背後に闘牛のシルエットが描かれています) 追記その2 映画のフランスでの題名は「L'empire des Sens」。 和訳すると"官能の帝国" でしょうか。 http://www.amazon.fr/exec/obidos/ASIN/B00005QT0M/402-9246583-8102547 (パッケージ写真を拡大できます) そちらを英訳した「The Realm of the Senses」("官能の王国")という英題もあるようですね。 (「Ai No Corrida」じゃ意味分かんないですもんね) http://www.timeout.com/film/77627.html 追記その3 チーフ助監督は崔洋一。 http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=120154 追記その4 日本語が登場する歌の特集 http://allabout.co.jp/entertainment/technopop/closeup/CU20040511A/index2.htm 追記その5 ジャケットに登場している不思議な形の像は、クインシーの私物だそうです。 追記その6 師匠にあたるレイ・チャールズとのコラボはこちら(1曲目)。 http://www.vh1.com/artists/az/jones_quincy/videos.jhtml 追記その6 パティ・オースティンのこのアルバム、落ち着いた歌が多いのですが http://wmg.jp/artist/pattiaustin/WPCR000011075.html M5が一番近い歌い方かな。 追記その7 カナダドライのCMで使われていますが 山田優は、こういう内容の曲だって知ってるのかな? http://www.canadadry.jp/ ハンドル・ネームと性別の入力が必須ですが、そのまま[ENTER] しても何の問題もないです。 そうすると、サビがエンドレスで流れます。 [VIP Room] の右上にある山田優の画像をクリックすると、CMを見ることが出来ます。 追記その8 Quincy Jones → くいんしー・じょーんず → くいし・じょー→ 久石譲(ひさいし・じょう、本名は藤澤守) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%85%E7%9F%B3%E8%AD%B2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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