2006/12/12(火)06:33
アップタウン・ガール/ビリー・ジョエル
(承前)
1983年、Billy Joel は離婚します。(すごい書き出しだな)
『ストレンジャー』(1977年) 『ニューヨーク52番街』(1978年)
2作の大成功の後
それらの洗練されたサウンドから一転、ロックを強調したアルバム
『グラス・ハウス(Glass Houses)』(1980年) をリリースし
ふたたびビルボード1位。
グラミー賞も3年連続で獲得
(最優秀ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞。フィル・ラモーンも最優秀プロデューサー賞を受賞)
11月28日の東京ドームでは
「ガラスのニューヨーク(You May Be Right)*」(7位)
「ドント・アスク・ミー・ホワイ(Don't Ask Me Why)*」(19位)
「ロックンロールが最高さ(It's Still Rock & Roll To Me)*」(1位)
を演奏してくれました。
このうち、「ロックンロールが最高さ」は
シングルとしては初の1位を獲得します。
1982年。この年は多難な年。
次作を製作中の4月、オートバイ事故で右親指と左手首を骨折。
(ピアノ・マンがですよ!)
1ヶ月の入院を経て完成させたアルバム
『ナイロン・カーテン(The Nylon Curtain)』(9月リリース)は
アメリカの抱えるシリアスなテーマを扱った意欲作でしたが
(敬愛するジョン・レノンの死の影響もあるかな?)
その分、敷居が高く
最高7位と、当時の彼としては低迷します。
「プレッシャー(Pressure)」
「アレン・タウン(Allentown)*」
「グッドナイト・サイゴン~英雄たちの鎮魂歌(レクイエム)(Goodnight Saigon)」
も、20位・17位・56位。
そしてこの頃には
マネージャーとして、私生活のパートナーとして
苦楽をともにしてきたエリザベス・ウェーバーとの結婚生活が破綻。
(翌年、財産を等分することで離婚協議が成立)
ここで転機が訪れます。
『ナイロン・カーテン』ツアー後にバカンスで訪れた
カリブ海のリゾートアイランド、サン・バルテルミー島で
クリスティー・ブリンクリー(Christie Brinkley)に出逢います。
5つ年下のスーパーモデル。
長身でスレンダー、スタイル抜群の超美人です。
(彼女も81年に離婚したばかり)
ビリーはひと目惚れ 交際を始めます。
そんな時期に作ったアルバムが
『イノセント・マン(An Innocent Man)』(1983年) 。
日本語にすると、無垢な男!
前作の重苦しさからガラリと変わり
彼の少年時代、そしてアメリカが陽気でイノセントだった時代の
オールディーズやモータウンのサウンドを取り入れ
彼の全アルバム中、最もポップで解放的な作品です。
ジャケットは(もちろん)ブーツに革ジャン姿。
『ナイロン・カーテン』の3倍以上、
『ニューヨーク52番街』『グラス・ハウス』に匹敵するセールスの
大ヒットを記録します(ビルボードの最高位は4位)。
「イノセント・マン(An Innocent Man)*」(10位)
「ロンゲスト・タイム(The Longest Time)」(14位)
「あの娘にアタック(Tell Her About It)」(2度目の1位)
「アップタウン・ガール(Uptown Girl)」(3位)
「夜空のモーメント(Leave a Tender Moment Alone)」(27位)
「キーピン・ザ・フェイス(Keeping the Faith)*」(18位)
と、10曲中6曲もシングル・カット。
「君はクリスティ(Christie Lee)」なんていう、そのまんまな曲も含め
歌詞の面でも10代の頃に戻ったかのような純真さを示しています。
そして今回とりあげた
オールディーズ風の陽気なラブ・ソング
「Uptown Girl」(アメリカで3位。イギリスでは初の1位)
では、クリスティー・ブリンクリーをPVに出演させます!!
そんな「あの娘にアタック」(笑)が成功して
1985年3月に、めでたく結婚します (でも...)
試聴と歌詞原文(公式サイト)
http://www.billyjoel.com/discography/disco_09.html
フルサイズのPV(Sony Music Box)
http://link.brightcove.com/services/
link/bcpid37114593/bclid36994921/bctid5743716
歌詞の和訳
http://plaza.rakuten.co.jp/miyajuryou/3014#uptowngirl
このアルバムには、日本限定で
ビリー自身による曲解説が付いています。
この曲は<典型的なロミオとジュリエット・タイプ>。
高嶺の花に想いを寄せる
ダウンタウンの男のラブ・ソングです。
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僕にとってのリアルタイムなビリー・ジョエルは
『イノセント・マン』と、
初のベスト盤(2枚組)で、アメリカだけでも2100万枚を売り上げた
『ビリー・ザ・ベスト(Greatest Hits Volume I & Volume II)』(1985年)
です。
だから、今回のコンサートに1つだけ苦情を入れるとしたら
『イノセント・マン』から、もう少しやってほしかった。
アカペラ・ナンバー「ロンゲスト・タイム」(このPVも好き)
...は無理としても
「アップタウン・ガール」は、ね。
ワールドツアーの中でやった会場もあるみたいだから
封印したわけではなさそうだし。
そういう意味を込めて、今回はこの曲にしました。