2015/01/22(木)17:26
高齢者を理解する
※他者とかかわる能力の低下
年をとるにつれて、視力や聴力が衰えてきます。このことは、外からの新しい情報や知識を自分のものにすることを困難にさせます。
ことに、対話によるコミュニケーションができにくくなることは、老いた人を自閉的な世界に追い込んでしまうかもしれませんし、
関心が外界から自分自身に向かうようになり、ありのままの現実を否認したり、体の病気に執着する人もいるでしょう。
体の老化を過大視し、病者であることを生きがいとするような人から、嫌なことを回避するために病気に執着を示す人まで様々ですが、
病者であることは、それだけ多くの人の注目を集めることができるのですから、疎外された人にとっては他の人とかかわる唯一の接点になりかねないです。
また、感情を抑制するちからもしだいに減退するのですが、
感情的な敏感さはそれほど衰えないために、些細なことでイライラしたり、愚痴をこぼしたりしやすくなるといえましょう。
自分の能力がないために、自分の思い通りのことができないにも関わらず、
そのことを他のひとたち(嫁や子どもたち)のせいだと思ってしまうのは、心の弱さを守る合理化の仕組みが働くからです。
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(岡堂哲雄・長濱晴子著『老人患者の心理と看護』中央法規出版より)