2006年:本・映画のページ2006年の読書・映画鑑賞の履歴☆1月1日(日)☆ 『男たちの大和』(映画) 広島県・呉市の海軍工廠で完成した、「世界最大最強の戦艦」大和。 その大和が昭和20年4月、沖縄に向けた「水上特攻」の命を受け、3000余名の乗組員たちと共に出撃。 アメリカ軍艦載機延べ300機の激しい爆撃と、魚雷攻撃を受け、轟沈した…。 愛する人・友・祖国を守るため戦い、散っていった若い乗組員達の大和での奮闘が、激しく描かれている映画だった。 これまで、戦争映画を見ても、何となくリアルに感じることができなかったけれど、 今回、この映画を見て改めて“戦争”について深く考えさせられた。 実際に戦争を知る人が少なくなっていく中で、多くの人にこの映画を見て欲しいと感じた。 ☆1月8日(日)☆ 『にぎやかな天地 上・下』(宮本輝著) 数量限定の豪華本の制作を行っている船木聖司が主人公。 仕事を通じて関わった人達、祖母の離婚によって関わることになった人達、父親の死に関わった人達。 多くの人との交流によって、主人公が成長していく様、主人公を取り巻く人たちの成長が描かれ、 そこから仕事や人生の大切なことをそっと教えてくれる、そんな本だった。 宮本輝の本にしては、ちょっとテーマがあちこち飛びすぎていて、 いまいち主張にかける本だったとは思うけれど、いつものごとく、本の所々で心に響くものがあった。 ☆1月24日(火)☆ 『さぶ』(山本周五郎著) 社会人になってから、一度読んだことはあったが、もう一度読みたくなって本棚から取り出した。 同じ経師屋に住み込みで働く職人、さぶと栄二。 全く性格の異なる2人が、心を通わせ生きていく様が描かれている。 やがて栄二に訪れる無実の罪。だが、さぶはいつでも英二を思い、 どんなことがあろうと、信じる心を無くさないのであった。 そして最後に判明する、衝撃の事実…。心に残る一冊です。 ☆1月26日(木)☆ 『博士の愛した数式』(小川洋子著) 交通事故の為、記憶が80分しかもたない数学博士と、 そこで働くことになった家政婦・その息子をめぐるお話。 平凡な日常が描かれているのだか、博士を思いやる家政婦とその息子のやさしさ、 博士の温かさが、本のあらゆるところから感じることができた。 もうすぐ、映画化されるとのこと。どんな風に映像化されているか楽しみです♪ ☆1月26日(木)☆ 『評決のとき』(映画) この映画は、私が一番好きな映画。本当にいい映画だと思う。 ので、自分でもビデオを持っているのだけど、たまたま今日のお昼にテレビでやっていたので観た。 久しぶりに観たので、やっぱりものすごく感動した。 暴行された少女の父親が犯人を射殺。父は黒人。犯人は白人。陪審員は全員白人。 そんな状況の中で、若い弁護士が闘う。周りの人を犠牲にしても、正義の為に闘う。 そして迎えた最終弁論。そこで彼が語ったこととは…。 最後の言葉に思わず涙が出てしまう、そんな映画です。是非是非たくさんの人に見て欲しい。 ☆1月28日(土)☆ 『LOVERS』 唯川恵、江国香織、川上弘美、谷村志穂など、有名女性作家の短編集を集めた本。 全ての小説に、なんだか哀愁だたよっていて、とても切ない気持ちになりました。 大切な人に会いたくなる、そんな本です。 ☆2月4日(土)☆ 『塩狩峠』(三浦綾子著) 高校時代に読んだことがあったが、話の内容をかなり忘れてしまったので、もう一度読んでみることにした。 主人公・永野信夫の一生を描いた作品で、彼の心の成長や、キリスト信者になるまでの道程が繊細に描かれている。 また、肺病とカリエスを煩うふじ子を、生涯愛すると誓った彼の気持ちが、とてもうまく表現されている。 旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして暴走する列車に飛び込み、自らの命を犠牲にして、大勢の命を救った最期。 感動します。地に足をつけて、自分の人生をしっかりと歩んでいかなければならない、と感じさせてくれる一冊です。 ☆2月10日(金)☆ 『あおぞら』(星野夏著) 読み終わってまず、よくここまで自分が体験してきた辛いことを書くことができたなぁ、 本当にものすごく勇気がいったんだろうなぁ、と思いました。 読んでいると、こっちまで辛くて苦しくて悲しくなって、涙が出てきてしまいました。 友達からの暴行や、彼の死…。ありえない現実。でも、頑張って生きている姿に胸を打たれました。 ☆2月20日(月)☆ 『きみの友だち』(重松清著) 主人公・恵美を囲む人達の学校生活を綴った短編集。でも、全ての短編が繋がっている構成になっています。 学校でのイジメや人間関係、ライバルとの競争やらを通じて、本当の友達とは?を考えさせられる作品です。 しかも、どうしてここまで繊細に人の気持ちが書けるんだろう、と心から感心しちゃう。 そして読んだ後に「いい本だったなぁ」って素直に思える。 そういえば、重松さんの本は「その日のまえに」を読んだ後も、同じような気持ちになったな。 もっともっと重松ワールドを見てみたい、そんな気持ちになりました。 ☆3月19日(日)☆ 『号泣する準備はできていた』(江国香織著) ケアンズに来て初めて読んだ本。知り合いが貸してくれた。 恋愛話の短編集。うーん、、、個人的にはいまいちでした。江国ワールドは難しいかも。 ☆3月20日(月)☆ 『あすなろ物語』(井上靖著) サイクロンで停電していた最中に読んだ本。 主人公梶鮎太の幼少時代から壮年時代までの、それぞれの時期の6つの物語から成っています。 あすは檜になろうと念願しながら、永遠に檜になれないという悲しい説話を背負った“あすなろ”の木。 この説話の持つ哀しさや美しさを、小説の形で取り扱っているようです。 それぞれの物語には、印象深い女性も登場する。彼女らの人生に、生きることを考えさせれたりする。 明日は何者かになろうと努めている多くの「あすなろ」。今の時代、「あすなろ」はどの位いるのだろう? 自分自身の生き方も含め、生きること、愛すること、人間の運命について、考えさせられる傑作でした。 井上靖の作品は初めて読んだのですが、とてもよかったです。そこには人間愛がある気がしました。 ☆3月25日(土)☆ 『命の風 上・下』(デビット・ゾペティ著) パラグライダーを愛する男女2人の恋愛物語。 スカイダイビングをやっている私にとって、パラグライダーの話はとても興味深かったし、 空中で2人が激突してしまう悲劇は、相当胸の痛い話でした…。 でも、主人公・岩井健の人生は、心から応援してあげたくなるもので、 まるで自分もそこにいるかのような錯覚を覚えるほど、繊細な心の描写・風景の描写には、感動しました。 高校生の時、彼の著書「いちげんさん」を読んだ時には、あまり感銘を受けなかったけど、 この「命の風」は、ものすごく面白かったです。この本を貸してくれたMさんに感謝! ☆3月27日(月)☆ 『クォーター・ムーン』(玉岡かおる著) 7年越しの恋人に別れを告げ、長い旅を経て故郷の大阪に戻った水谷さつきが主人公。 愛に戸惑い、仕事に悩む25歳。私も、25歳には色々あったな、なんて懐かしく思いながら読みました。 あ、でも愛に戸惑ってはいないですよ(笑)。 ☆3月30日(木)☆ 『阿寒の果て』(渡辺淳一著) わずか18歳の若さで自殺をした、天才画家「時任純子」をめぐる物語。 色々な人が接した純子を描き、彼女の真の姿を探ろうとする。 まるで本当の話だったかのような錯覚を覚える、描写の鋭さと人間への観察力。素晴らしかったです。 ☆3月31日(金)☆ 『女学生』(赤川次郎著) まさかケアンズで赤川次郎を読むとは…。 でも短編集から成るこの小説、人生の教訓みたいなものが隠されていた気がします。 ☆4月3日☆ 『龍は眠る』(宮部みゆき著) ☆4月8日☆ 『十九、二十』(原田宗典著) ☆4月11日☆ 『天使は神にあらず』(赤川次郎著) ☆4月14日☆ 『こころ』(夏目漱石著) ☆4月25日☆ 『レフトビハインド』(ティム・ヘライ、ジェリー・ジェンキンズ著) ☆4月30日☆ 『トリビュレーション・フォース』(ティム・ヘライ、ジェリー・ジェンキンズ著) ☆5月6日☆ 『ベター・ハーフ』(唯川恵著) ☆5月15日☆ 『悲しみよ、こんにちは』(サガン著) ☆5月23日☆ 『スプートニクの恋人』(村上春樹著) ☆5月26日☆ 『アレグリア』(デビット・ゾペティ著) ☆6月3日☆ 『旅日記』(デビット・ゾペティ著) ☆7月21日☆ 『不信のとき 上・下』(有吉佐和子著) ☆7月22日☆ 『スピリチュアル生活12ヶ月』(江原啓之著) ☆7月24日☆ 『想い出にかわるまで』(内館牧子著) ☆9月5日☆ 『包帯クラブ』(天童荒太著) ☆9月8日☆ 『ナラタージュ』(島本理生著) これ、2006年版この恋愛小説がすごい、第1位の本なんです。 で、読んでみたら、止まらなかった。ご飯食べるのも忘れて一気に読みました。 ホント、よかったですよ。胸が苦しくなる場面があり過ぎて辛かったけど。是非読んでみて下さい。 ☆9月10日☆ 『恋』(小池真理子著) さすが直木賞受賞作。ちょっとミステリーっぽい物語の展開に、惹きつけれられ、ひたすら読み続けました。 主人公が犯罪を犯すに至るまでの経緯が、尋常じゃないにも関わらず、ぐっと胸に響きました。 個人的には、最後の終わり方、優しくてとても気に入っています。 ☆9月15日☆ 『花の降る午後』(宮本輝著) 久しぶりに宮本輝の本を読んだ。やはり宮本輝はいいなぁと思う。 神戸のフランス料理店のマダム、甲斐典子の仕事・恋愛・人生の話。 1人の女性として、地に足をつけて一生懸命生きている姿に感動する。 また宮本ワールドにどっぷり浸かりたくなりました。実家に帰ったら宮本輝の本、大量にあるのになぁ。残念! ☆9月22日☆ 家族狩り五部作:『幻世の祈り』『遭遇者の夢』『贈られた手』『巡礼者たち』『まだ遠い光』(天童荒太著) 約2年前に一度読んだ家族狩り5部作。もう一度読みたくなったのでケアンズに持って来た。 家族とは、愛とは、社会とは何か、色んな人々の生活を描く中で、その問題をずっと投げかけ続けているこの作品。 虐待や家庭内暴力、無関心など、本当に重~いテーマがぎっしり詰まっているけれど、 自分は、家族はこれでいいのか、と読者に考えさせる大作だと思う。 読み応えのある長編小説を欲している人には、絶対のオススメ! ☆10月21日☆ 『草原の椅子』(宮本輝著) この本を読むの、もう3回目かも…。でも、読み返すたびに、いつも最高の本だと思う。 50歳にして親友となった遠間と富樫の2人の会話が、特に心にぐっときます。 世界における日本という国、日本人とは、人間にとって大切なこととは何なのか、常に語りかけてきます。 その中で頻繁に語られる『心根』。いい言葉ですよね。心根の豊かな人間。そんな素敵な人になりたいです。 |