みりん脚本wあれは私が転属して間もないときだった。当時、同僚になった新しいパートナーに、名推理と緻密な調査 且つ、的確な判断であらゆる困難な事件をも解決し、 この業界でもかなり名を轟かせていたアーク刑事という 一風変わった人がいた。 私はいつ彼がその素晴らしい才能を見せ付けてくれるのか、 不謹慎ながら事件が起きるのを待ち遠しく思っていた矢先であった。 アーク刑事:「みりん刑事、たった今通報があった。悪質な下着どろぼうらしい。」 みりん刑事:「アーク刑事、それは我々の畑の仕事なんでしょうか?」 アーク刑事:「うむ。。確かにそうだが私には何か匂うのだ。でも決して下着が匂うと 言ってるわけじゃないぞ!みりん刑事」 みりん刑事:「は。。はぁ。。」 そう言ったアーク刑事の口元から、かすかによだれが出ているのを私は見て取った。 ☆そして被害者宅☆ アーク刑事:「みゆきさんご本人ですね?」 みゆき:「はい。みゆきりんりんと申します」 アーク刑事:「みゆき が苗字で りんりんが名前なんですね?」 みゆき:「はいそうです。ハーフなもので。。」 アーク刑事:「そうですか。。で、早速ですが、取られた下着というのはベランダに 干していたものばかりですか?」 みゆき:「いえ。。あの。。引き出しの中からも取られてるんです。。」 アーク刑事:「でも見た範囲ではきれいなお部屋で荒らされてるようには見えませんが」 みゆき:「犯人はきちんと開けた引き出しもきれいにしまっていってるみたいなんです。」 アーク刑事:「すると犯人は几帳面で、きれい好きでまっさらな下着を好まれるということですか?」 みゆき:「いえ。。そうでもないんです。実はまだ洗濯前の下着もなくなってるんです。」 アーク刑事:「Σ(’◇’*エェッ!?ということは。。使いふるしも犯人は取って行ったと?」 みゆき:「はい。。犯人が今頃 私の下着で何をしてるかと思うと。。」 みりん刑事:「そうですね、何かはしてると思いますが」 みゆき:「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 アーク刑事:「こ。。これ、みりん刑事、そんなこと思ってても言ってはいけません!」 みりん刑事:「は、失礼いたしました。」 アーク刑事:「みゆきさん、その洗う前の下着の特徴ですが、お話していただけますか?」 みゆき:「工エエェェ(´д`)ェェエエ工 そんなの事件に関係あるんですかぁ?」 アーク刑事:「それがあるんですよ。洗い立てのきれいな下着では他の女性のものであっても わかりません。しかし、何かのシミや匂い、汚れの位置がわかれば立派な証拠に なってあなたの元へ返って来るのです。さぁ、思い出して下さい。何か特徴は? さぁ、さぁ!」 みゆき:「あの。。。実は途中で女の子の日になっちゃったんで。。少し。。汚れてます。」 アーク刑事:「おおぉぉぉ~!それはとても貴重な証言です。もっと詳しく教えて下さい。」 アーク刑事は心なしか鼻息が荒く、興奮しているように私には思えた。 それから数分の質問のやりとりの後、私たちはいったんみゆき宅を離れることにした。 アーク刑事:「みゆきりんりんさん、とにかくこの事件は全力でやらせて頂きます。 たしかこれで下着どろぼう騒動は2度目でしたよね?」 みゆき:「え?は。。はい。前のこともやっと忘れかけてたときでしたのに。。」 私たちはその後、聞き込み調査に力を注いだ。 すると、数人からの目撃情報などの証言が取れた。 そのひとりが近所に住んでいるひろぴょんという女性だった。 ひろぴょん:「えぇと。。あたしがみゆきさんの家を通り過ぎたときは、朝、ダーに 襲われてえっちしてからの帰宅途中だったんで、8時ころかなぁ?」 みりん刑事:「朝8時に帰宅できたということは、実際はもっと早く起きていたわけですね?」 ひろぴょん:「いえ、あまり変わらないです。起きてカップラーメンにお湯をいれたあと、 ダーが急に襲って来て、彼がイッタあとちょうどいい具合にラーメンが 出来上がっていましたから。」 みりん刑事:「つまり3分。。はやっ!ww」 ひろぴょん:「そうなのよねぇ。。。(┬┬_┬┬)えぇぇぇん(泣)」 みりん刑事:「で、帰宅途中の話にに戻りますが、その時みゆきさんちのベランダは見ましたか?」 ひろぴょん:「はい、ちょうどみゆきさんが楽しそうに、ひだまりの詩歌いながら ベランダに下着を干してるところでした。」 みりん刑事:「あなたはあの日、この道をもう通りませんでしたか?」 ひろぴょん:「あ、そういえばダーの家にかっぱを忘れて夕方取りに帰ったので通ってますね。」 みりん刑事:「そのとき、みゆきさんの家付近で誰か見かけませんでしたか?」 ひろぴょん:「ちょうど宅急便の人が来てましたよ。声の大きな男の人で、玄関で『カップラーメン 5ケースお持ちしまたしたぁぁー』」って叫んでました。」 みりん刑事:「みゆきさんは出てきたようでしたか?」 ひろぴょん:「はい、彼女は『ちょっとぉ、でっかい声でラーメンラーメンて言わないでよぉ!』って 言ってました。そしてみゆきさんは、送る物があるからついでに持って行くように 指示してました。」 みりん刑事:「ほー、で、そのとき洗濯物はまだ外にありましたか?」 ひろぴょん:「あ、そういえばもうなかったかもぉ。。」 次に私が証言を取り付けたのは、プリンという女性だった。 みりん刑事:「つまりあの日、あなたはみゆきさんの家に遊びに来ていたわけですね?」 プリン:「んが~~~!!そそそ。あの日もあたし酔っぱでさぁ、いろいろドジちゃったしぃw」 彼女は明らかに今日も酔っぱだった。 みりん刑事:「あなたは彼女の家に夕方までいたわけですね?」 プリン:「んが~~!!はいはいそうですよーだ!みゆきが怪獣の幼稚園のお迎えと 郵便局とマックとケンタから帰ってくるまでお留守番だったじょおおお!」 みりん刑事:「プリンさん、そのとき人の気配とか感じませんでした?」 プリン:「それどころじゃなかったわぁ~!寒くてストーブつけようとしたら 灯油こぼしちゃってさぁ、パニクってるあいだに頼まれてた風呂のお湯も 出しっぱにしちゃうしさぁ~。もう最悪ぅぅぅ!んがぁぁぁぁぁ!!」 その他のいくつかの調査もひと通り済み、私はアーク刑事にすべてを報告した。 だが果たしてこれだけの材料でアーク刑事の名推理が冴えるのだろうか。。。 数日後、私とアーク刑事はみゆきりんりん宅へ再び訪問した。 アーク刑事はとてもご機嫌な様子だった。 アーク刑事:「みゆきさん、事件はすべて解決しました。すべての証拠がひとつの方向を指しています。 真実はひとつです。間違いありません。」 みゆき:「え?それで。。犯人は逮捕したんですか?」 アーク刑事:「いえ、まだですが。。この場にて犯人をお教えしようと思いましてね。」 みゆき:「で、だ、誰なんですか?私の使い古しのパンティまで持って行った人って!」 アーク刑事:「まぁ、もったいぶっててもしょうがありませんね。まず結論から言いましょう。 今回の事件の犯人は。。。みゆきさん、あなたです!!」 みゆき:「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lええぇぇぇ!な、何をバカなこと言ってるんですか! あたしは被害者なのよ!精神的苦痛を味わってるの!賠償金を請求できる立場 でもあるんですからねっ!!」 アーク刑事:「そう。。動機はそれです。お金です。みゆきさん、あなたはお金が欲しかった。 パパから借りた借金の返済に必死だったのです。」 みゆき:「うっ。。そ。。それは。。。」 アーク刑事:「あなたは前回の下着泥棒事件のときに、賠償金としてあのときの犯人の いちいち という男から50万円をもらっています。」 みゆき:「それが悪いっていうの?ショックで立ち直れなくなるくらいだったんだから それくらい当然じゃないかと思いますけど?」 アーク刑事:「それはそれでいいでしょう。しかし、あなたに問題が起きたのはそれからです。 福山オフ会出席のため、あなたは旅費をまた借金することになりました。 そしてこちらの調べによると、オフ会後、あなたは実家の台湾へ広島から大阪、 そして台湾へと行っています。かなりな経費です。」 アーク刑事は 今だと言わんばかりにたたみかけた。 アーク刑事:「あなたはまた いちいちからお金を取る予定で、今回の犯行時刻に非通知で、 出会い系サイトからだと装い彼とデートの約束をし、人気のないところに呼び出して あなた当人はその場所へ行かなかった。。。つまり、いちいちさんのアリバイを 証明できないように偽装したのです。」 みゆきりんりんの顔から少しずつ、冷静さが失われていった。。。 みゆき:「うそよ!そんなのでっちあげだわ! ちゃんと犯人があたしの下着を盗んで行ったのよぉぉぉぉ!」 アーク刑事:「いえ、それは時間的に不可能なんです。まず、あなたが洗濯物をベランダに 干している時刻は、ひろぴょんさんに目撃されています。そしてその後、 プリンさんが遊びに来られて、夕方まで滞在してます。そして夕方ひろぴょんさん がまたみゆきさんの家を通る時間にはもう洗濯物はありませんでした。 つまり犯人は、誰にも見られずに下着を取るのは不可能なんです。」 みゆき:「でも現に、下着は何枚もなくなっているんですからね! これをどう説明するんですか?説明してみて下さいよ!さぁ早く!!」 アーク刑事:「はい、お安い御用で。あの夕方、ときちょうど宅急便が来ていました。 あなたはそのとき ある荷物を配達人に渡しています。それは彼氏の家に戻る途中の ひろぴょんさんが偶然にもまた目撃しております。そして何を隠そう、その荷物 の中身があなた自身の下着だったのです。」 みゆき:「そんなの。。推理でしかないわっ。証拠でもあるの?証拠出しなさいよ! 金さんの桜吹雪なんか出したって 信じるもんですか!!!」 アーク刑事:「まだ、往生ぎわが悪いですねぇ。あのですね、荷物の行き先はすでに調べてあります。 みりん刑事、言ってくれたまえ。」 みりん刑事:「は!その荷物の行き先はみゆきりんりんさんの実家のでした。 母親に、洗濯機が壊れたのでよろしく頼むと手紙も添えてありました。確認済みです。」 アーク刑事:「どうです?まだ反論できますか?もう犯人はあなたしかいません。 確かに いちいちさんはエロで誘惑にもすぐノッテきますが、今回はあなたです。 つまりこの事件はあなたの狂言ということになります。」 みゆき:「だって。。。だって。。。お金が欲しかったんだもぉぉぉぉぉん。 (TロT)うわぁぁぁぁぁぁぁぁん。」 アーク刑事:「しかしながら、この件はまだ、上には報告していません。 もし、この紛失している下着が見つからないことにしておけば、証拠はありません。」 みゆき:「え。。。。?ど、どういうことですか?刑事さん」 アークさん:「えぇ。。つまり。。ですね、この下着を私の責任において、私が保管するということに しておけばあなたの名にも傷がつかないというわけです。どうしますか?」 みゆき:「そ。。それで許してもらえるのなら。。。是非そうして下さい。」 アーク刑事:「もっとはっきり言って下さい。何をどうして欲しいんですか?」 みゆき:「わ、私の。。下着を。。刑事さんが。。あづかって下さい。。。」 アーク刑事:「はい、わかりました。どうしてもと言うならそうしてあげましょう。 みりん刑事、これも人助けだ。わかるね?」 みりん刑事:「はい、なんとなくですが。」 アーク刑事:「なんとなくわかればそれでいい。」 以上で、この事件は1件落着したわけだが、その後私は、用事で夜にアーク刑事の自宅に 数回電話をしているが、その都度、息づかいの荒いアーク刑事のボイスを聴いている。 しかもたまに、ボイスがこもっていて、何か顔を覆いかぶさっているような感じられた。 それにしてもアーク刑事の冴え渡る名推理は目を見張るものがあった。 私はこの体験を一生忘れないであろう。。。 (完) |