カテゴリ:小説
手紙の内容で二人は驚愕した。
「我々の街、ブルーアが魔物によって壊されつつあるのです。 どうか、アグルさん、リースさん。我々を助けてはくれませぬか? その聖龍の力で・・・・。 もはや猶予なぞありませぬ。どうか我々を・・・・。」 手紙の主はブルーアの長であった。 「どうするの?アグル。このまま放っておいたら、ブルーアの街はなくなってしまうわ。」 「そうだけど・・・。何だか妙な違和感があるんだ。 それに、何でブルーアの長がボクのことを知っているのか。 せいぜいキグストぐらいしか、ボクの事は流れていないはずなんだけどね。」 手に持っていた手紙をおいて、腕組をする。 迷ったときにとっさに出る癖だ。 「うーん・・・・。きっと、キグストかグランマースの人がブルーアに行ってアグルのことを話したのよ。きっとそうだわ。」 「そうだといいけど・・・・。」 只ならぬ予感を、アグルはひっそり感じていた。 夜。魔物に怯えていると言わんかのように、グランマースの活気はなくなっていた。 「アグル、そろそろ行くわよ。」 リースは食料から何からを用意したバックを持った。 ヒューマノイドとも言えど、ちゃんと人間のものは食べられる。 「うん。しばらく、ここともお別れだな。」 名残惜しそうに、アグルは戸を閉じた。 「リース、いいかい?危ないから下がってて。」 アグルはリースを後ろに遠ざけた。 ブルーアの街は最北の果てだ。当然長旅になる。 アグルは何かの呪文を唱え始めた。すると周りに眩く、青白い光が走る。 その光に包まれたかと思うと、見るうちにアグルの姿が変わっていく。 光が消えたとき、アグルは以前のアグルではなく、蒼竜へと化していた。 「久しぶりね、その姿を見るの。」 リースが歩いて来てアグルの頭をなでる。 何も言わないアグルだが、そうだね、と言っている事はリースには分かっていた。 「さぁ、行こうか。ぐずぐずしていたらブルーアの街が破壊されてしまうかもしれないわ。」 リースはとっさにアグルの背に乗る。同時にアグルも羽ばたきを始めた。 飛び立った瞬間。周りにひっそりと青白い翼の羽がその場に残った・・・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.22 09:49:44
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