2007/08/22(水)09:49
一通の手紙
手紙の内容で二人は驚愕した。
「我々の街、ブルーアが魔物によって壊されつつあるのです。
どうか、アグルさん、リースさん。我々を助けてはくれませぬか?
その聖龍の力で・・・・。
もはや猶予なぞありませぬ。どうか我々を・・・・。」
手紙の主はブルーアの長であった。
「どうするの?アグル。このまま放っておいたら、ブルーアの街はなくなってしまうわ。」
「そうだけど・・・。何だか妙な違和感があるんだ。
それに、何でブルーアの長がボクのことを知っているのか。
せいぜいキグストぐらいしか、ボクの事は流れていないはずなんだけどね。」
手に持っていた手紙をおいて、腕組をする。
迷ったときにとっさに出る癖だ。
「うーん・・・・。きっと、キグストかグランマースの人がブルーアに行ってアグルのことを話したのよ。きっとそうだわ。」
「そうだといいけど・・・・。」
只ならぬ予感を、アグルはひっそり感じていた。
夜。魔物に怯えていると言わんかのように、グランマースの活気はなくなっていた。
「アグル、そろそろ行くわよ。」
リースは食料から何からを用意したバックを持った。
ヒューマノイドとも言えど、ちゃんと人間のものは食べられる。
「うん。しばらく、ここともお別れだな。」
名残惜しそうに、アグルは戸を閉じた。
「リース、いいかい?危ないから下がってて。」
アグルはリースを後ろに遠ざけた。
ブルーアの街は最北の果てだ。当然長旅になる。
アグルは何かの呪文を唱え始めた。すると周りに眩く、青白い光が走る。
その光に包まれたかと思うと、見るうちにアグルの姿が変わっていく。
光が消えたとき、アグルは以前のアグルではなく、蒼竜へと化していた。
「久しぶりね、その姿を見るの。」
リースが歩いて来てアグルの頭をなでる。
何も言わないアグルだが、そうだね、と言っている事はリースには分かっていた。
「さぁ、行こうか。ぐずぐずしていたらブルーアの街が破壊されてしまうかもしれないわ。」
リースはとっさにアグルの背に乗る。同時にアグルも羽ばたきを始めた。
飛び立った瞬間。周りにひっそりと青白い翼の羽がその場に残った・・・・・。