180254 ランダム
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みずくらぶ。(洋楽ネットラジオ)

②(お前、それはちゃうやろ!)

 これは私が京都に住んでから初めて仕事をした時の話。とある派遣会社に所属し、そこから滋賀県は野洲にある大〇〇ス〇リ〇ンという会社へ派遣された。派遣先での仕事内容は『精密機械の検査補助』。メインになって仕事している社員さんの補助という形である。

 そこでの結末は最後に記すとして、そこへ仕事をする前日に挨拶方々訪れた時の事だった。簡単に挨拶を済ませて、話が野洲駅からのバスの事へと切り替わった。派遣先のお偉いさん(担当者)曰く、
「野洲駅の東口から工場へ直行するバスが出ます。明日はそれに乗って下さい」
 との事。勿論お偉いさんの言うことなのだから、素直に従うのが普通。

 そして当日。初めての場所なので時間にゆとりを持たせて野洲駅に降り立った。やはり米原方面の電車は空いている。守山を過ぎればガラガラに近い。とはいえ東京の電車に比べれば、大阪方面の電車の混み方など雲泥の差である。まだまだ甘いものである。然し、この関西の複々線を東京に持っていったら、嘸かし通勤地獄は解消されると思うのだが。関西にできて東京にできないとは、まさに本末転倒である。

 野洲駅の東口にはコンビニが一つ。その前にはロータリーが広がっていて、民間のバスやタクシーが並んでいる。何とか製作所行きのバスがあり、そこから沢山の人が乗る姿が見える。
 さて、そろそろバスの来る時間だと思うのだが……。然し待てど暮らせどバスの来る気配がない。おいおい。これはどういう事なのか?

 派遣元に電話して聞いてみたが、はっきりとした事が判らない。当然である。私がいちばん最初に仕事に行くのだから。担当者以外に詳しい事が判る筈がない。グスグスしていると遅刻である。初日から遅刻は拙い。然るべき対処法はタクシーである。然し私は所持金が殆どなかったのである。まだ京都市内であればMKを使う事ができるが、滋賀では安くあげられない。刻々と時間が迫る。仕方がない。タクシーを使おう。

 ギリギリで到着。何ともやり切れない気持ちが根付く。いったい昨日のお偉いさんの言った事はなんやねん。嘘か? と思った。なんでお偉いさんの言う事を聞いたのにこんな目にあわなあかんのか? 疑問が沸々と涌いてくる。

 初日の挨拶も済ませ、その日は事務所で機械の説明書を読むだけの一日だった。まあそれはいい。初日から満足に働ける状態であれば、最初から社員として働いている。態々二時間もかけてここまで通わない。
 それはさておき、私は朝方の疑問を事務の女性に尋いてみた。この女性は年の頃なら25歳くらい。背丈は小さいが長い黒髪が特徴的だった。その彼女とのやり取りを文字にすると、

「あの、今日、朝バスに乗れなかったんですよ。ずっと東口で待っていたんですが……」
「え?」
「バスは西口から出るんですか?」
「ああ!」

 もしもこの女性が毎日の通勤を車でしていたら、私も仕方がないと諦めた。だが彼女は毎日野洲駅からバスに乗って来ているのである。そして昨日、そのバスの時刻について説明したのは彼女だったのである。私は素直にその説明を聞いたのに、とんだ赤恥をかいたのだ。

 東海道本線の東側にあるこの工場へ行くバスが、どうして野洲駅の西口から出るのかといえば、通学路があるのを考慮したもの。朝方は西口からバスが発車するのである。西口を出たバスは途中の高架下を潜り、東側の工場へと進むのである。それは特殊な事情である。誰しも東側にある会社に行くのに西側からバスには乗らない。乗る訳がないと思うのが普通だ。

 そういう特殊な事情があるにも拘らず、然も毎日利用しているにも拘らず、どうして真っ先にそれを言わないのか? 所詮アルバイトの身分だが、初日に限れば言わば客と同じである。もし相手が得意先の人間だったらどうするのか? お偉いさんのいう事を信用したのに商談や取引に遅刻したら、どう対処すれば良いのか? まず破談になるのが普通だ。事務の仕事はそういった事情を説明するのではないのか? ああ! の一言で済まされる問題ではないぞ!

 私は根に持つタイプである。全部に関してはそうではないが、基本的な事ができていない場合は根に持つ。即ちそれが相手の状況及び自分の今後に影響するからである。ここの場合も、結局2カ月しかいなかった。というよりはいれなかったと記した方が正解かもしれない。とにかく全部の人間が人材派遣(アウトソーシング)の意味を理解していなかった。理解しようとする気持ちさえなかった。それでは私は板挟みである。そんな場合はこちらから御免蒙るのが適切である。契約すらしていないのだから辞めるのは自由である。私だって生活がある。生活の為に仕事をしているのだ。振り回される為に仕事をしているのではない。


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