先日の６日に広島県に原爆が落とされてから58年目の式典が開かれた。そして９日には長崎県に原爆が落とされてから58年目の式典が開かれようとしている。第二次世界大戦（太平洋戦争）が終わってから半世紀以上の月日が流れたのだが、それでもまだ58年しか経っていないという実感しかない。確かに歴史を紐解けば古い記録なのかもしれないが、こうして原爆に対する式典が毎年開かれ、未だに被爆の後遺症に悩まされる人たちがいて、戦争で家族や兄弟、親類を亡くした人たちが涙を浮かべているのである。そして更に歴然と戦争の影を残しているのは、日本各地に存在するアメリカ軍の基地である。その基地からジェット戦闘機が毎日の様に上空を飛び交う光景がある限り、そこに戦争の終わりはない。どれだけ日米同盟、日米安保云々があったとしても、恐らく今後終わりを迎える事は永遠にないだろう。それが戦争に負けた国が受ける仕打ちなのだから。

　その戦争に決着をつけた原子爆弾が全世界で最初に（対人用として正式に）投下された広島では、式典を前にして平和の折り鶴が心ない大学生によって焼かれる事件があった。大学生といえば最高の学歴である。最高峰の頭脳があり、大人になる前における最高峰の常識がある筈なのに、まるで子供の様な悪戯をしたのである。芸能界を引退した上岡龍太郎さんが以前に『日本人は幼児性が高い国民』と揶揄していたが、その傾向が益々強くなってきているから始末が悪い。同じ敗戦国であるドイツでさえも、この様な愚行はしない筈である。またドイツやヨーロッパ諸国では戦争以外の面においても日本人よりも数段物事を考えている。例えば環境汚染にしても深刻に考えているし、自分たちでできる事は可能な限り早急に、そして率先して取り組む。環境問題は国民全員が考えていかなければならない事なのだから、足並みを揃えるのが重要になってくる。だからこそ数年もしないうちに大凡の取り組みができあがってくるし、更なる発展を目指して動き出す。ところが日本では海外の情報を国政が封じ込めたり、対岸の火事といって蔑ろにする傾向が強い。そして結果的に取り組む姿勢をみせた時は、単なるパフォーマンスだったり、半ば手遅れの状態だったケースが殆どである。言葉や肌の色が違っても同じ地球人には変わりがないのに、これだけ民意の低さが露呈するのは本当に恥ずべき事だと思う。戦争に負けて反省と繁栄の両面を考えなければならないのに、片方だけに意識を集中しすぎてしまった。

　イラクへの自衛隊派遣が正式に決まり、いざ出陣という段になって国政がイラクでの『非戦闘地域』と『戦闘地域』の区別が判らず、自衛官は疎かその家族までをも困惑させている。結局日本政府はブッシュ大統領の言いなりに従うだけで、その後の情勢がどう変化しようともお構いなしの態度である。フセインの息子たちが殺害され、フセイン元大統領自身の捜索だけの段階になったとはいえ、相変わらず戦闘が絶えず、毎日の様に米兵が殺害されたり死亡したりしている。そんな中に自衛隊がノコノコと出ていっても、無駄に殺されるだけである。死と隣り合わせの状況下で機関銃一つ撃つのに国政の合図を待っていては到底間に合わない。殺すか殺されるかの瀬戸際に立たされる彼らの身になって考えた事があるのだろうか？　況して強行派のブッシュ大統領の事である。自衛官が死んで米兵が助かれば『これ幸い』としか思わないかもしれないのである。そうなった時に国政は慈悲の気持ちを持てるのか？　アメリカに躍らされ、結局は犬死にしか道がなかったとしたら、それこそ『世界中の物笑いの種』である。

　それを予感させるのが、この日記のタイトルに掲げた『自衛官募集にモーニング娘。を使う愚行』である。なんでもこれまでのアイドルが制服姿であったのに対し、若者に気軽に応募してもらえる様に普段着に変更したというのである。これは危険としか言いようがない。戦争に行く事、殺されるかもしれないという現実に向かわせる事を国政が奨励していると同じである。勿論ホイホイと起用を受け入れるタレント側にも問題がある。どうして辞退しないのか？　金になれば何でもしていいのか？　半ば戦争に加担する様な行為を金目的の為にしていいというのか？　国政も幼児性が高いが、タレント側も幼児性が高いというのは本当に情けない限りである。この国の憲法は何の為にあるのか。第二次大戦に負け、永遠に戦争を放棄したのではないのか？　天皇の名の下に沢山の人たちが死んだ事は作り話だったというのか？　恥を知れ！　と言いたい。