昨日、北朝鮮（朝鮮民主主義人民共和国）の貨客船『万景峰号』が今年になって二度目の入港を実現させた。３月の入港中止から凡そ半年が過ぎ、唯でさえ危機的状況の北朝鮮国内なのに、そうした状況は無視されて、来月行われる行事の為に入港を強く求めてきたのである。蓮池さんの兄の透さんが『万景峰号が人道の為のものならば、拉致問題だって人道でしょう』と語っていたが、金政権を讃える為だけの行事の為に入港を強く要請してきた背景を考えると、そこに人道という文字が見えてこない。況して前回の入港拒否の理由の一つである「船舶設備の不備」を指摘され、今日までの間に完全に改善されたと思っていたら、案の定不備を指摘されて、本日の出港ができなくなった。もともと不備を承知の上できたのか、それとも国家的危機が不備を改善させるだけの資金を調達できなかったのか、そのどちらかだろうが、それにしてもお粗末極まりない。これでは先日の中国の港での設備拡充の為の寄港映像もパフォーマンスにしか見えてこない。北朝鮮の考え方の本質は判らないが、こうまでして金政権のプライドを保ち続ける意味が何処にあるのだろうか。確かに在日朝鮮人が故郷へ訪れる為の渡り船なのかもしれないが、これまでの間、ずっと不備が平然とまかり通っていた事も信じられない。如何に日本が北朝鮮に対して及び腰外交をしてきたかが感じられる。戦後補償問題は蔑ろ、現在の拉致問題も棚上げ状態の中で、不備の船が平然と入港できるという現実も呆れてしまう。

　その北朝鮮は戦後補償問題を強く要求してきている。それが実現しない限りは拉致問題は解決できないとしている。ところが昨年の９月17日の会談で金総書記は拉致を正式に認めた。蓮池さんをはじめとする５人の日本人が帰国を実現したのは何よりの証拠である。拉致というものは国際レベルでみても「立派な犯罪」である。アメリカのブッシュ大統領は『拉致はテロだ！』と言い切った程である。そうした大罪を認めておきながら、未だに裁判にもかけられず生き延びている事からして尋常でない。また一方で北朝鮮から日本に来港する貨物船の座礁事故も後を絶たない。況して彼らは満足に保険にも加入していないから、後始末は日本の税金が充てられている有様である。それらの回数及び費用を計算したら、補償問題の金額に到達するか、それ以上のものになるだろう。ここは日本政府が強く現実を言い聞かせて、相手に考えさせるべきだろう。お互いの補償問題（日本は拉致問題が最優先されるべきだから、座礁事故の後始末の費用は帳消しくらいの覚悟が必要かもしれない）で譲歩する方針で今後の話を進めていくべきではないだろうか。いつまでも延ばし延ばしにしてはいけないのだ。何処かで歯止めをかけなければ、北朝鮮の最近の情勢が揺れ動いているだけに、手遅れになる可能性がある。その前に何とかして解決させるべきである。

　その拉致問題を解決させるべく、阿部官房副長官と中山参与が中心になって動いている。阿部副長官は将来の総理候補と騒がれてもいる。さすがに次期総裁選云々はあり得ないが、現在の小泉政権の間に解決が可能かどうかも疑わしい。いっその事、阿部副長官が総理となって動いた方が、解決が早まる様な気もする。小泉総理大臣は自らを『永田町の変人』と呼んでいるが、変人が北朝鮮の奇人を相手にしても話が纏まる訳がない。だからといって真面な人間が奇人を相手にして太刀打ちできるかどうかも疑わしいが、それでもお互いが振り向かないよりは数段マシだろう。国民からの視線の強さ、将来の有望性、物腰、語り口云々を加味しても、次の総理大臣は阿部副長官が適していると思う。民主党が政権を奪取する様な事があれば話は先送りになるかもしれないが、その民主党の最近の動きが聞こえてこないのはどうした事か。ニュース素材にもならないのであれば、先行き不安としか言いようがない。やはり悪人顔の小沢一郎を抱え込んだのが災いしているのか……？