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★RYUの事・・・『10』

脊損センターは泌尿器科でも有名だ。

ここに入院するまでRYUはオムツだけを使っていた。

一度に3種類・・・車イスに座っている事が多くなり元々アトピーがあったRYUはかぶれたり蒸れたりしたし 

かえるのも大変だった。

麻痺しているのであれば時間を見てトイレに行き 導尿という方法もあったのだが1~2度訓練で試したものの 

RYUにとっては痛みがひどく無理だった。

事故で腰をひどく骨折した為 括約筋が断絶されて尿を自分の意志で止める事が出来ない。

かといってずっとオムツをつけていたのでは 長時間の外出も出来ないし 本人も

極力水分を控えようとしてよく膀胱炎になった。

RYUの膀胱は変形してきれいな形ではない。


でもここへ来て泌尿器の先生が「ユリドームを試してみましょう」と言われた。

「それは何?」私もRYUもわからなかった。

それはコンドームのようなもので 男性用。

直接装着し根元を専用の小さなバンドで止める。

先の方にチューブをつなげてそれをパックにつなぐ。

そのパックを足のふくらはぎあたりで固定する物。

初めは何度も失敗して 車イスに乗り移るのにチューブを引っ張りはずれてしまったりしたが その内に慣れてきた。

慣れてしまうとこれはとても良かった。 

オムツも大元の一枚でよくなったし こまめにトイレで尿を捨てれば 臭いも
気にしなくていい。

「前の病院ではこういう物がある事すら教えてくれなかったよねー」とRYUと話した。


ところが一ヶ月ほどして 三泊で外泊していた時RYUが「オシッコが出る時に痛みがひどい」と言った。

「どうしよう・・」と思ったもののその日は土曜日でもう19時をまわっていた。

「膀胱が痛いの?」と聞いても「膀胱炎の痛みと違う」と言う。

様子を見て明日の朝病院へ行く事にしたのだが 尿が出ている度に涙目になって痛みを堪えている。

「ちょっと見せて」と言っても「いいって!!」と見せない。

入院して2ヶ月足らずだったがリハビリ訓練のお陰でRYUはオムツ替えも入浴も1人で出来るようになっていて

私が手を貸すのを嫌がっていた。

「そんな事言ってる場合じゃないやろ!!」と無理やり脱がせた。

見た目変わったところはないが根元のベルトでしめるあたりが少し赤くなっていて「その辺が痛い・・」と言う。

かぶれてるのかな・・と考えているとRYUが「いたっ!」と言った瞬間根元から液体がピューッと出てきた。

「えっ?何!」慌てて抑えるとどう見ても尿だ・・・

「オシッコが何故こんな所から・・・」すぐに病院へ電話したが やはり先生はおられず 次の朝一番で病院へ・・・

「尿道からここへ穴が貫通したような状態ですねー」

「ここから尿が出ています」 「そんな事はわかってるよ!!」と思ったが口には出さなかった。
 

結局ユリドームを使う事は中止になり 何よりRYUが「こんな痛い目に合うのは二度と嫌だ」と元のオムツに戻ってしまった。


泌尿器のその症状で入院が長引いてしまったが 5月5日に無事退院した。

ほんの3ヶ月の間にRYUは見違えるように自分の事が出来るようになり 体重も増え見るからに健康そうに見えた。

車イスという以外は・・・






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