七海ひろきディナーショー『Dearest』(宝塚ホテル)
HIROKI NANAMI 5th Anniversary Orchestra Concert “Dearest”【Blu-ray】 [ 七海ひろき ]実は男装の麗人が、かな~り好きなMizumizu。七海ひろきはミュージカル『七色いんこ』(原作:手塚治虫)を見てファンになった。恋人役の有紗瞳も良かった。「二次元原作のキャラを演じて、漫画よりスタイルいいって、ど~ゆ~こと(主役の七海さんへの感想)」「ほぼ原作どおりのコスチューム着て、漫画のキャラクターのイメージ通りになるって、ど~ゆ~こと?(恋人役の有紗瞳さんへの感想)」と驚いたし、舞台狭しと踊ったり、駆け回ったりしながら(あれじゃ、若くないとできない)歌もきちっと歌う、その実力はなかなかのものだった。惜しむらくは、もう一度聴いてみたい、なんなら歌ってみたいと思えるようなメロディーラインの曲がなかったこと。ま、でもこれは作曲者の問題だし、そうそうミュージカルのスタンダードナンバーになるような名曲は生まれるものではないから仕方ない。そう考えると、アニメ『鉄腕アトム』はすごい。♪空をこえて~ ラララ星のかなた~のメロディーラインは、日本人ならほぼ知っている。あの曲を作るにあたって、手塚治虫本人が「日本の伝統的な五音音階にならないように」と注文を出したというが、本当に、天才。日本の「アニソン」文化は、鉄腕アトムに始まったといっていい。で、その七海ひろきと有紗瞳が共演するディナーショーが宝塚ホテルで開催されると聞いて、さっそくチケットをゲットしたのだ。このポスター、カッコよくて大好きだ。会場は満員で、99%は女性。七海ひろきアクリルスタンドを持ってきてテーブルに置いてる人も。後ろにはわりと大げさな機材も持ち込んだ撮影スタッフが。ファンサイトで配信するのだとか…時代はもう完全にコレ。テレビが終わるわけです。食事は無難なコース。これだけの人数分を一度に作るのだから、繊細な火入れだとか、絶妙な味付けだとかは期待できないが、といってガッカリするレベルでもなく、盛り付けはどの皿も均一に美しかった(さすがだなぁ)。隣に座った母娘は「美味しいね~」とめちゃくちゃ盛り上がっていたので、絶品と思ったゲストもいるということだろう。二皿目の舌平目のポーピエットは撮り損ねた。合わせてある野菜はホウレンソウ。舌平目、ホウレンソウのポーピエットって、なんとも凡庸なメニューだ。ポーピエットって、もともと好きじゃない。魚をいじりまわしてまずくするフランス料理の定番。新鮮でない魚をごまかす料理というべきか。パリでも有名ビストロで食べたが、白身魚の身がぱさぱさでボヤけた味のソースでごまかしていた。日本の魚はおいしいので、日本で食べるポーピエットで大きなハズレはないが、やはりね、新鮮でおいしい魚には、重っぽいソースをかけるより、絶妙な火入れ(これはめちゃくちゃ難しい)で塩だけ(塩加減の難しさよ! 食べる側の好みの平均値をいかないといけない)のシンプルな調理こそが最高なのだ。ま、この大人数にそんな料理が出せるわけないので、好みだけの意味のない論評だが。肉料理は、これまた無難な和牛フィレ。神戸に近いとはいえ、肉質はさほどでもない。正直、Mizumizuが山口のスーパーで買ってる山口のブランド牛のフィレ肉のがずっと美味しい。ソースは可もなく不可もなく。量的にはこれぐらいで十分。プレートの大きさに対して寂しい盛り付けだという意見も出そうだが、量より質を確保するほうを選んでいる感じでMizumizuとしては好感持てた。料理については、あまり褒めているとは思えないコメントになってしまったが、スターを呼んで、それなりの人数のゲストを集め、それなりの値段でそれなりに満足感のある料理を出すというホテル側のミッションの難しさを考えれば、十分及第点。デザート。Dearestの文字もきれいな盛り付けだった。パリブレストの味は可もなく不可もなく。ドリンクは何を頼んでもよく、頼めば提供もはやかった(←比較の対象がイタリアになってることに注意)。ショー自体は、コンサートほど聴かせるものではない。そのかわり、「推し」が席近くまで来てくれるという特典(?)がディナーショーの楽しみ。ゲストはみな、盛り上がりながらもお行儀よく接していた。自分たちで楽しい時間にしようという、ゲストのほうの意気込みも感じられるのが、コンサートにはない熱気になっていた。豪華な雰囲気の場所で美味しい料理を食べて、スターの歌や踊りを身近で楽しむ――ディナーショーのコンセプトは十分に納得できたが、いいとこ取りをしようとする分、料理もショーも中途半端になってしまうのは仕方ない。料理だけを堪能したければ、大人数の宴会ディナーではなく、少人数しか予約をとらないレストランに行けばいいのだし、歌や踊りだけが目当てなら、音響の良い、照明設備や舞台装置の整った劇場やコンサートホールでのショーに行けばいい。結構、当たり前の感想で終わった、七海ひろきディナーショー(於・宝塚ホテル)だった。